■英ポンド/米ドルやユーロ/米ドルも頭打ち・反転のサインが
その他の主要通貨ペアでは、英ポンド/米ドルは「リバーサル・ハイ」(※)、すわなち、ザラ場にて高値更新したものの、終値が前日より安くなり、反転のサインを灯していた。
(※編集部注:「リバーサル・ハイ」とは上昇局面において、新高値をつけたあと反転し、前日の終値または安値より安く引けること)
(出所:CQG)
ユーロ/米ドルは豪ドル/米ドルや英ポンド/米ドルほど強烈ではなかったものの、5月3日(火)のローソク足でいわゆる「流れ星」(※)のサインを点灯、当面の頭打ちを示唆していた。
(※編集部注:「流れ星」とは上ヒゲが長く、実体の小さなローソク足のこと。大陽線のあと、窓を開けて寄りついたあとにできたものを特にこう呼ぶこともある)
(出所:CQG)
■GW期間中の米ドル/円相場の傾向とは?
当然のように米ドル/円も、5月3日(火)に安値を更新して、105.55円の安値を記録したあとは保ち合いの市況に入った。
(リアルタイムチャートはこちら → FXチャート&レート:米ドル/円 日足)
105円台のターゲットを筆者はずっと指摘してきたので、これはまったくの想定範囲内であるが、GW期間中の円高傾向が例年ほど強くなかったのでは…と一部読者様は疑問を呈しているかもしれない。
【参考記事】
●米株上昇と金&円上昇、ニセモノはどっち?桜満開のころ、ドル/円は105~106円へ!(2016年3月18日、陳満咲杜)
●NYダウ、原油、中国株反騰は限界に近い。105~106円へのドル/円下落は時間の問題(2016年3月25日、陳満咲杜)
この疑問に答えるには、近年のGW期間前後における米ドル/円のパフォーマンスを調べてみればよい。以下は2008年からの統計だ。
・2008年 GM中動かず、直後3日間 3円程度の円高
・2009年 10日間 5円程度の円高
・2010年 2日間 7円程度の円高
・2011年 8日間 3円程度の円高
・2012年 6日間 3円程度の円高
・2013年 9日間 2円程度の円安
・2014年 4日間 1円程度の円高
・2015年 4日間 3円程度の円安
こういった統計をみると、GW前後における円高の傾向は強く、また、3円程度の円高がもっとも発生しやすいことがわかる。ただし、今年(2016年)に限って言えば、4月28日(木)からすでに6円程度の円高が観察されているから、GW期間前後という全体条件でいえば、もう十分円高になったと言える。
このためか、直近のGW3日間は、むしろ円安方向に振れており、円高の値幅をいくぶん消している。ドルインデックスの底打ちサインとの整合性を考えれば、よりおわかりいただけるのではないかと思う。
■日銀の「有言不実行」のせいで円安は限定的に
もっとも、4月28日(木)からの米ドル/円急落は、日銀の「有言不実行」が原因であったから、容易には修正されない。
【参考記事】
●日銀の「情報漏れ作戦」が裏目に? 市場の報復を受け、ドル/円は100円まで下落も!(2016年4月28日、陳満咲杜)
このため、仮に今晩(5月6日)の米雇用統計が極めて良好だとしても、米ドル高はおもに円以外の外貨安に作用し、円安は限定的だと思う。
この結論は以下の2つの視点をもって解釈されよう。
(1)外貨安によって生じるクロス円相場における円高圧力が米ドル/円に波及してくる可能性
(2)前回コラムの指摘どおり、日銀の「情報漏れ作戦」が裏目に出たから、これから相場の報復にあいやすい。
詳細はまた次回に譲るが、円高トレンドがなお継続されることだけを強調しておきたい。市況はいかに。
株主:株式会社ダイヤモンド社(100%)
加入協会:一般社団法人日本暗号資産ビジネス協会(JCBA)