昨日もドル円は106円ちょうどをはさんので動きが続いた。週の後半に控えているアメリカと日本の金利会合を期待してのリスクテークが出てくるので、それでドル円もユーロ円も底堅い。
しかし先週の黒田総裁のインタビューによってヘリコプターマネーといった漫画のようなイリュージョンが消えたことによる急落分のショックも穴埋めできない感じ。
その両方でせめぎあっている状態である。あまり上も下も攻めきれないことを想像しながらのレンジ相場が続きそうなので、私も昨日は106円台があったらドル円は売り、105円台は深押ししなくても買い、ということでポジショニングをしようとした。
しかし今日の日経新聞にも出ている通り、おおむね今回の財政出動の中身がわかってきた。1週間ほど前に20兆円から30兆円の規模になると報道されてもマーケットはぜんぜん反応しなかったように、やはり単なる数字の積み重ねに終わってしまいそうだ。
大きく出ている見出しで「事業規模が6兆円に増額された」という文字だけ眺めると、とっても財政支出を増やしたのかなと思われるのだが、小さい時までよく読んでみると、それを数年にかけてやるという。
そもそも今回の発動分では真水が3兆円を超えるかどうかが焦点だった。真水というのはリアルな支出のことであって、すでに決まっている枠の前倒しや基金への積み増しを除いたもの。その真水部分が今回はどうやら2兆円を下回るようである。
これはかなり大問題だ。すでに大型の財政支出を織り込んでしまっており、少なくとも3兆円はあてにしているところ。またイギリスのEU離脱によるリスクオフの分もカバーしてしまっているのだから、その反動は大きくならざるを得ない。
さらにひどいのは、その6兆円の事業規模に拡大の中身に、まだ策定されてもいない来年度の本予算の分も積み上げられていることだ。これだったら2020年分まで積み重ねて、数字だけ大きくするということは簡単にできる。とても危ない限りだ。
そういう事を見越したのか、今日のアジア時間では完全にリスクオフ。ドル円は早々に前日の安値を下回ってきて、ほとんど戻しらしい戻しも作らずに104円台に突入。日本株も下落しており、政策期待が失望に変わりつつあるのがわかる。私もドル円、ユーロ円といった円絡みの通貨ペアは、もちろんベアで構えないといけないと思っている。戻りを待っているがなかなかない。
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