「被害総額・約60兆円! もしもシン・ゴジラが本当に襲来したら、日本経済はどうなる!?」からつづく)
■「国家経済存続」の前提は成り立つのか?
ゴジラ襲来による金融市場への影響はどう考えればいいのだろうか? ニッセイ基礎研究所の上野剛志さんは次のように説明し始めた。
「東日本大震災では大きな被害を受けたとはいえ、日本の国家経済そのものの存続に疑問符がついたわけではありません。
その後の復興を前提として、金融市場は動きました。ゴジラの場合は話が違う。よくわからない生き物が街を破壊しながら徘徊している。
それに対して自衛隊や米軍も無力。このままゴジラが徘徊すれば、日本全土が壊滅されるかもしれない――つまり、日本経済の破綻が危惧される事態です」

ゴジラに向けてミサイルを放つ自衛隊の攻撃ヘリ。しかし、ゴジラには効かず…。米軍も無力で、このままゴジラが徘徊すれば、日本経済の破綻が危惧される事態に (C)2016 TOHO CO.,LTD.
さすがにこの数十年、日本が「経済破綻の危機」に立たされたような事態はない。そこで上野さんが比較例として挙げてくれたのが3つの国だ。
「1998年のロシア危機と、IMF(国際通貨基金)の管理下に置かれることとなった韓国の経済危機、それに2001年にデフォルトを起こしたアルゼンチンです。
いずれも経済がほぼ破綻状態に陥り、資本の海外逃避、つまり、『キャピタルフライト』が起きました」

日本にある資産を海外へ移すのがキャピタルフライト。どこの国へ資産を移すにせよ、為替市場では「円を売って外貨を買う取引」が発生する。

(出所:CQG)

(出所:CQG)

(出所:CQG)
■キャピタルフライトで通貨価値は半値から3分の1へ
「経済危機に直面した直後、ロシアルーブルとアルゼンチンペソは約3分の1に、韓国ウォンは2分の1にまで通貨安が進みました。
もし、円の価値が2分の1に暴落すれば、米ドル/円は200円。3分の1なら300円となります」

(出所:CQG)
米ドル/円が最後に200円台をつけたのは1980年代。今、1ドル=200円シナリオを唱えれば笑われちゃうだろうが、ゴジラのインパクトならありえないこともなさそう。
「しかし、いくらゴジラとはいえ、200円台はさすがにない。なぜなら…
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