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1ドル=167円! ゴジラ上陸なら円安襲来!?
でも、なぜ「有事の円高」にならないのか?

2016年09月20日(火)16:56公開 (2016年09月20日(火)16:56更新)
ザイFX!編集部

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被害総額・約60兆円! もしもシン・ゴジラが本当に襲来したら、日本経済はどうなる!?」からつづく)

■「国家経済存続」の前提は成り立つのか?

 ゴジラ襲来による金融市場への影響はどう考えればいいのだろうか? ニッセイ基礎研究所の上野剛志さんは次のように説明し始めた。

 「東日本大震災では大きな被害を受けたとはいえ、日本の国家経済そのものの存続に疑問符がついたわけではありません。

 その後の復興を前提として、金融市場は動きました。ゴジラの場合は話が違う。よくわからない生き物が街を破壊しながら徘徊している。

 それに対して自衛隊や米軍も無力。このままゴジラが徘徊すれば、日本全土が壊滅されるかもしれない――つまり、日本経済の破綻が危惧される事態です」

ゴジラに向けてミサイルを放つ自衛隊の攻撃ヘリだが、ゴジラには効かず…。米軍も無力で日本全土が壊滅の危機に (C)2016 TOHO CO.,LTD.

ゴジラに向けてミサイルを放つ自衛隊の攻撃ヘリ。しかし、ゴジラには効かず…。米軍も無力で、このままゴジラが徘徊すれば、日本経済の破綻が危惧される事態に (C)2016 TOHO CO.,LTD.

 さすがにこの数十年、日本が「経済破綻の危機」に立たされたような事態はない。そこで上野さんが比較例として挙げてくれたのが3つの国だ。

 「1998年のロシア危機と、IMF(国際通貨基金)の管理下に置かれることとなった韓国の経済危機、それに2001年にデフォルトを起こしたアルゼンチンです。

 いずれも経済がほぼ破綻状態に陥り、資本の海外逃避、つまり、『キャピタルフライト』が起きました

上野さんによると、1998年のロシア危機、韓国経済危機、それに2001年のアルゼンチンのデフォルト、いずれも資本の海外逃避、つまり「キャピタルフライト」が起きたという

日本にある資産を海外へ移すのがキャピタルフライト。どこの国へ資産を移すにせよ、為替市場では「円を売って外貨を買う取引」が発生する。

1995年~2002年の米ドル/ロシアルーブル 月足
1995年~2002年の米ドル/ロシアルーブル 月足

(出所:CQG)

1995年~2002年の米ドル/韓国ウォン 月足
1995年~2002年の米ドル/韓国ウォン 月足

(出所:CQG)

1997年~2009年の米ドル/アルゼンチンペソ 月足
200年~2005年の米ドルアルゼンチンペソ 月足

(出所:CQG)

■キャピタルフライトで通貨価値は半値から3分の1へ

 「経済危機に直面した直後、ロシアルーブルとアルゼンチンペソは約3分の1に、韓国ウォンは2分の1にまで通貨安が進みました。

もし、円の価値が2分の1に暴落すれば、米ドル/円は200円。3分の1なら300円となります

米ドル/円 月足
米ドル/円 月足

(出所:CQG)

 米ドル/円が最後に200円台をつけたのは1980年代。今、1ドル=200円シナリオを唱えれば笑われちゃうだろうが、ゴジラのインパクトならありえないこともなさそう。

■世界一の対外純資産が1ドル=200円を阻む

 「しかし、いくらゴジラとはいえ、200円台はさすがにない。なぜなら日本の対外純資産は圧倒的な世界トップ。

 破綻のリスクが高まるとはいえ、海外にある300兆円以上の純資産が不安をある程度緩和するでしょう。そのため、ロシアや韓国、アルゼンチンよりは穏やかな下落となるでしょう。

おそらくはアジア通貨危機での韓国ウォン急落よりも少しマイルドな程度、4割程度の減価で済むのではないでしょうか。1ドル=167円です」

ゴジラ上陸で1ドル=167円程度まで円安が進むと話す上野さん

 200円シナリオよりは現実的だが、それにしても167円とは想像しにくい水準。

 アベノミクス円安の高値は125.85円だから、そこからさらに40円以上の円安が進むことになる。「月足のボリンジャーバンドでプラス7シグマが位置するのが167円前後」といえば、どれだけ突き抜けた水準か伝わるだろうか?

米ドル/円 月足
米ドル/円 月足

(出所:ヒロセ通商

■日経平均はゴジラショックでも1万円割れを回避!?

 「株価についても同様です。東日本大震災で日経平均は約20%下落しました。

 ロシア、アルゼンチン、韓国それぞれの株価指数は経済危機でざっくり5割から6割ほど下落しました。

 不確実性という意味でゴジラは震災以上ですから、20%以上の下落は避けられないでしょうが、ロシアなどの経済危機ほど落ちるとも思えない。

 そこから考えると日本株は『20%以上40%未満』の下落率となるのではないでしょうか」

上野さんは、ゴジラ上陸で日本株は「20%以上40%未満」の下落率になるとの見方だ

上野さんは、ゴジラ上陸で日本株は「20%以上40%未満」の下落率になるとの見方だ

1万7000円を起点とすると20%の下落で1万3600円、40%の下落で1万200円。もしもゴジラが上陸してきたら、このあたりを目安にリバウンドを狙っていくのがいいのかもしれない。

■東証破壊でも証券取引は24時間以内に再開へ

 ……ん? でもゴジラに蹂躙された都心3区には大手証券会社のほか、東京証券所のある兜町も含まれている。証券取引は通常どおり、行われるのだろうか。

 「日本銀行や証券会社、取引所などは自家発電装置や遠隔地などでのバックアップ態勢を整えており、都心南部直下地震などで被災しても24時間以内の証券売買復旧をめざすとしています」

 たしかに政府作成の資料を見ると、そうした記述がある。

東京証券取引所では、データセンターや外部機関の被災等によって売買を一時停止することも想定されるが、可能な限り早期に売買を再開する。(バックアップセンターへ切替えた場合は、24時間以内の再開を目標とするが、当日中の売買再開は行わないことが見込まれる。)

出所:「首都直下地震の被害想定と対策について」(中央防災会議/首都直下地震対策検討ワーキンググループ)より引用

■日本売りの「ゴジラトレード」が始まる!?

 この記述がゴジラにも当てはまるのであれば、東証の破壊から数日のうちには、取引が再開されるはず。しかし、そこでゴジラの次に襲来するのがヘッジファンドだ。

 「イギリスがERM(欧州為替相場メカニズム)からの離脱を迫られたポンド危機、あるいはアジア通貨危機でも、ヘッジファンド勢は弱ったところを狙って狩り場としてきました。

 ゴジラ襲来でパニックに陥った日本でも同じことが考えられます。彼らが仕掛けてくるとしたら日本売り、つまり、日本株売り・円売り・日本国債売りの『ゴジラトレード』でしょう」

【参考記事】
ポンド危機:中央銀行がヘッジファンドに敗れポンドが暴落した「ブラックウェンズデー」

ゴジラ襲来でパニックに陥れば、ヘッジファンド勢が日本売り、「日本株売り・円売り・日本国債
売り」のゴジラトレードを仕掛けてくると話す上野さん

 そうなれば政府・日銀だって黙っていないだろうし、東日本大震災による円高に対して協調介入が行なわれたようにG7(先進7カ国財務相・中央銀行総裁会議)も動くかも。

 「そこで政府・日銀が取りうる政策としては、為替を主軸に見れば、メキシコ中銀が年初に行ったような通貨防衛策としての利上げが考えられます。

金融緩和どころか、引き締めに転じるわけです

■まさかの利上げか、超金融緩和か

 急激な円安の進展は輸入品の暴騰をもたらす。2%インフレ目標どころか、オイルショックのようなインフレとなる可能性だってあるかも。

 それに歯止めをかけるために利上げして円高へ持っていこうとする政策だ。

 「ところが叩き売られる日本国債をどうにかしようとなると手段は正反対。

利上げ=引き締め策ではなく、日本国債を買い支えるために超大規模な追加金融緩和(量的緩和)が必要となります。

 為替を優先するか、国債市場を優先するかで、利上げと追加緩和、2つの両極端な政策が考えられるんです」

米ドル/円は100円→167円→100円へと至る「上野仮説」

 ゴジラが金融政策をどう変更させるかは、実際の市場の動き次第となりそう。

■日本存続の危機では円売りが進む

 ここで冒頭の疑問に立ち返ろう。東日本大震災と、その後の原発事故で円高が進んだのと同じように、「ゴジラで円高」が進まないのはなぜだろうか?

【参考記事】
被害総額・約60兆円! もしもシン・ゴジラが本当に襲来したら、日本経済はどうなる!?

 「東日本大震災では保険金の支払いや工場再建などに備えた『レパトリ』によって、海外資産を円に戻そうとする動きが強まり、円高になったと説明されていました。

 しかし、そこまでのレパトリはなかったというのが今では定説になっています。

 先ほども申し上げたとおり、日本は巨額の対外資産を持っているので、震災の際にはそれが『還流してくるのでは…』という思惑が先行して円が買われたのでしょう」

上野さんによると、東日本大震災では、そこまでのレパトリはなかったというのが、定説だそうだ

 しかし、キャピタルフライトの動きがそれ以上のインパクトとなり、円安が進む可能性があると映画の制作者は考えたのかも。

■「嫌なことがあったら円を買え」の条件反射

 「今は北朝鮮のミサイル発射やクーデターなど、『嫌なことがあったら円を買え』と有事の円買いが染みついていますが、ゴジラだとさすがに円を手放したくなるでしょう。

 ゴジラに限らず、日本経済の存続が危ぶまれるレベルの大事件が起きたときには、有事の円買いではなく、円売りになるはずです」

日本経済の存続が危ぶまれるレベルの大事件が起きたときには、有事の円買いではなく、円売りになるはずというのが、上野さんの見解だ

日本経済の存続が危ぶまれるレベルの大事件が起きたときには、有事の円買いではなく、円売りになるはずというのが、上野さんの見解だ

 つい先日も北朝鮮の核弾頭の爆発実験で瞬間的に円高が進んだのは記憶に新しいところ。「嫌なニュース」が出ると反射的に円買い取引を考えがちだが、必ずしも円高になるとは限らないということだ。

 日本経済存続の前提に疑問符がつくほどの「嫌なニュース」であれば円安になる可能性がある。

 『シン・ゴジラ』の制作者たちは、「有事の円売り」だってあるんだぜとの警告をFXトレーダーに与えるために「株安、円安、債券安だ!」と叫ばせたのかも――。

(取材・文/ミドルマン・高城泰 撮影/和田佳久(撮影は特記したものを除く))

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