■トランプ大統領誕生でレーガノミクスが再来?
その背景は、「レーガノミクス(※)の再来」という材料。
※レーガノミクスとは、米国のレーガン政権のとった経済政策。サプライサイド(供給力)重視の立場から、減税・財政支出削減・規制撤廃などを進めた。
当初は巨額の財政赤字と貿易赤字を生んだが、1990年代の米国経済繁栄の基礎になったとも評価されている。
出所:コトバンク
「レーガノミクス」を推し進めた、レーガン元大統領。トランプ氏が掲げる経済政策は「レーガノミクスの再来」となるか? (C)UniversalImagesGroup
これは、11月9日(水)のNY市場で、株や米ドル/円が急速に値を戻したから後づけで出てきた意見ではなく、米大統領選挙前から報道されていました。
でも、トランプ大統領の誕生に現実味がなかったため、マスメディアであまり取り上げられなかった材料です。
このレーガノミクスの再来は、「トランポノミクス(Trumponomics)」(※)と呼ばれているようです。
(※編集部注:「トランポノミクス」とは、ドナルド・トランプ氏とエコノミクス(経済学)を合わせた造語で、トランプ氏が掲げる経済政策のこと)
■トランポノミクスのもと、米ドルは当面、底堅く推移
では、「トランポノミクス」とは何か?
トランプ大統領の経済政策は、レーガン大統領以来の大型減税と各種規制緩和、そして、貿易政策をテコに、大きな雇用を創出するといったところ。
大型減税のメニューとしては、法人税の大幅減税(最高税率を現行の35%から15%へ)がよく話題になっています。
そして、規制緩和。
つまり、財政赤字による実質金利上昇が米ドル買いを誘引する形となります。
米大統領選挙前は過激な発言を繰り返していましたが、トランプ大統領の経済政策は意外としっかりしていると言われています。
個人的に気になるのは彼が保護主義で、米ドル高を快く思っていないのではないか?という点。
この点について、ホリコ・キャピタル・マネジメントの堀古英司さんは「貿易交渉のカードに使うだけではないか」との意見でしたが…。
【参考記事】
●フィスコNY・平松京子さんに聞く(1) NYから情報配信! フィスコNYって?
個人的にはこの点が気がかりですが、基本、トランポノミクストのもと、米ドルは当面底堅く推移するのではないかとの意見が増えています。
(リアルタイムチャートはこちら → FXチャート&レート:米ドルVS世界の通貨 週足)
■米ドル/円上昇トレンドは変わらず、まず109円へ
米大統領選挙開票後の米ドル/円の動きを振り返れば、Brexitの安値を抜けるどころか、101.00円すら割り込まず…。
日足の終値ベースでは75日移動平均線も一目均衡表の雲の上限もキープしたという展開。
(出所:CQG)
つまり、「トランプリスク」を乗り越えた米ドル/円は上昇トレンドのままということになるわけで、目先は109円を目指す展開になりそうです。
【参考記事】
●トランプリスクさえ乗り切ればドル/円上昇。米大統領選の注目度高めた2つの理由は?
Brexitの次のリスク要因と言われた「トランプリスク」を乗り越え、上昇トレンドを継続している米ドル/円の行方に注目です。
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