■「クリスマスで調整」よりも需給面に着目を
今週(12月19日~)の大きなイベントは日銀会合くらいですね。12月20日(火)に金融政策の発表と黒田さんの記者会見が控えています。
米ドル/円がこの位置ですし、今回は注目度が低いですね。
もちろん、政策変更はないでしょう。とくに大きなイベントとなることなく、通過するのかなと思います。
日銀会合を終えると、週末のクリスマスに向けて欧米勢は休暇入りで、日本も12月23日(金)が祝日。
休暇を控えて今持っているポジションの手仕舞い、米ドル/円で言えば、売りが出やすくなりますか?
ところが、買わないといけない人がまだ大勢残っています。ひとつは「FOMC(米連邦公開市場委員会)で調整が入れば買おう」と思っていた日本の実需。
FOMC前後で調整するかと思いきや、米ドル/円は115円台から117円台に急騰。115円台から117円が真空地帯となり、買えていないままです。
(リアルタイムチャートはこちら → FXチャート&レート:米ドル/円 1時間足)
FOMCを受けた12月15日(木)の東京市場でさらに118円台まで駆け上がったのは、買い遅れ組があわてて買わざるを得なかった影響があったのかもしれません。
(リアルタイムチャートはこちら → FXチャート&レート:米ドル/円 1時間)
この日は仲値に向けて米ドル上昇となりました。今年(2016年)もあと2週間。「年内に外貨を調達しないと間に合わない」という会社が多いようですね。
先週、12月13日(火)には「アサヒグループホールディングス、中東欧ビール事業を8883億円で買収」とのニュースも出てきました。
これは円売り・ユーロ買いなのか、どんな形で為替が出てくるかわかりませんが、円売りにつながる可能性があるかもしれません。
(リアルタイムチャートはこちら → FXチャート&レート:世界の通貨VS円 日足)
もうひとつ、今週(12月19日~)、買いが入るかもしれないのが投機マネー。
来年(2017年)の為替市場のテーマを「米ドル/円の買い」と見る向きが多いので、それを先取りして年内のうちにポジションを取っておき、いい形で新年を迎えたいですから…。
【参考記事】
●米次期財務長官は元GS・ムニューチン氏。気材料豊富なドル/円、次は120円へ!(12月1日、西原宏一)
■今週上値を試せば来週の調整に警戒
近年、市場関係者らが翌年のトレードテーマとして予想するターゲット値は第1四半期に達成してしまうことが増えていますよね。
今年(2016年)の英ポンド/円しかり。ヘッジファンドのアルゴ、AIの影響なのでしょうか?
それは大きいでしょうね。一昨年(2014年)あたりからボラティリティが高まっている印象ですし、今回の米ドル/円にしてもスピードが早い。
米ドル/円は120円のターゲットは年内にも達成してしまう勢いで、目標の上方修正を強いられています。
【参考記事】
●「トランプラリー終焉」との表現に違和感。NYダウは2万ドル、ドル/円は120円へ上昇!(12月8日、西原宏一)
●米ドル高のスピードに市場参加者も驚愕! 来年のドル/円は130円へ上昇の可能性も(12月15日、西原宏一)
今週(12月19日~)は「クリスマス休暇シーズンで調整」と見る人が多いようですが、需給を見ると今週は円売りのほうが多いんですね。
もちろん、いつかは調整が入るのでしょうが、もう少し先になるかもしれないですね。
FOMCでも調整せず、今週(12月19日~)のクリスマス休暇でも需給は底堅く意外と上に行くかもしれない…。
もっとも濃厚なのは「1月20日(金)の米大統領就任式前後に調整」とする見方ですが、もし、米ドル/円が118円、119円台を追っていくようなら来週(12月26日~)あたりに突然調整が入る可能性に警戒しておきたい。
■「2017年3回利上げ」が新興国、オセアニア通貨に打撃
気になるのがオセアニア通貨。先週(12月12日~)末にかけて、豪ドルやNZドルが急落した影響で豪ドル/円やNZドル/円も比較的大きな下落となりました。
(リアルタイムチャートはこちら → FXチャート&レート:豪ドル/円 1時間足)
(リアルタイムチャートはこちら → FXチャート&レート:NZドル/円 1時間足)
豪ドルやNZドルをクロス円(米ドル以外の通貨と円との通貨ペア)でみると、2015年12月の高値まで回復しておりテクニカル的にも反落しやすい位置ですが、ストレート通貨でのオセアニア通貨下落の材料がとくに見当たらない。
新興国は心配ですね。世界のマネーの流れが変わってきているのでしょうか?
きっかけとしては、やはりFOMCでしょう。豪ドルの政策金利は1.5%しかありません。
アメリカが来年(2017年)、3回利上げするというのなら、1.5%しか金利のつかない豪ドルを買う理由はなくなってしまう。
(詳しくはこちら → 経済指標/金利:各国政策金利の推移)
新興国に対しても同様です。流動性が圧倒的に高いアメリカの市場へ資金は流れます。
そのため、来年(2017年)の資金の流れとしては「新興国から先進国へ」ということになるのでしょう。
いずれにせよ、足もとでは米ドル/円の上昇に注目です。高値から1円~2円程度の下落を目安に押し目を買っていく戦略でよいのではないでしょうか。
(リアルタイムチャートはこちら → FXチャート&レート:米ドル/円 日足)
(構成/ミドルマン・高城泰)
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