■米ドル続伸の推進力は、利上げより「今後の見通し」
米ドルの全面高が、さらに加速してきた。ドルインデックスは14年ぶりの高値を更新し、リンクした形でユーロ/米ドルは14年ぶりの安値を更新、米ドル/円は一時、119の節目手前に迫った。
(出所:Bloomberg)
ユーロ/米ドル 日足
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いわゆる「トランプ・ラリー」のさらなる続伸が、米利上げ後も続いていることを示している。
もっとも、米利上げ自体は事前にマーケットに織り込まれていたと思われるから、FOMC(米連邦公開市場委員会)後の米ドル全体のさらなる急伸は、ややサプライズであった。
一般的に「ウワサで買い、事実で売り」といったロジックや行動パターンが市場に存在するので、米ドルの続伸は、利上げよりも、これからの見通しが推進力になったに違いない。
市場コンセンサスでは、「2017年は年2回の利上げあり」だったところ、FOMC声明文では「3回利上げあり」と示唆された。これを受け、米金利の上昇とともに米ドルはさらに買われた。
(出所:Bloomberg)
リンクしたように、金と原油は売られた。
(出所:Bloomberg)
(出所:Bloomberg)
トランプ氏はまだホワイトハウスに入っていないので、いわゆる「トランプノミクス」への期待感は当面続くから、米ドル高トレンドには死角なしと思われてもおかしくなかろう。
■米利上げ継続の見通し自体が流動的である点に注意!
しかし、本当にそうだろうか。冷静に状況をもう1回点検すれば、違う側面が見えてくる。
まず、米利上げ継続の見通し自体が流動的で、これから大きくぶれることが想定される。
2015年年末に、米QE(量的緩和策)後初の利上げ時の状況を思い出していただければ、このような想定は決して戯言でないことがわかる。
なにしろ、2015年年末に、FRB(米連邦準備制度理事会)自身も市場コンセンサスも「来年(つまり2016年)、4回利上げあり」と示していたことは、記憶に新しい。
その上、よく考えるとわかるように、「トランプノミクス」への…
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