■米ドル/円のダマシを事前に見極める方法はあったのか?
米ドル/円に関しては、目先、「ダブル・トップ」の構造が鮮明になっている以上、しばらく米ドルのスピード調整(反落)が続くと思う。
(出所:Bloomberg)
ところで、新年早々の1月3日(火)に、米ドル/円は118.61円を一時打診、2016年高値118.66円に近づいていただけに、「だまされた」方が多かったのではないかとも推測される。
では、これを事前に見極める方法はないのだろうか。相場において断言できる事柄は皆無に近いが、比較的確率の高い方法はあると思う。
トランプ氏が米大統領に当選して以来、大きく売られてきた金との比較をすれば、米ドル/円の高値づかみを回避できたのではないかと思う。
要するに米ドル/円の高値トライがあっても、米ドル建て金の方が底割れの気配さえ示さなかったので、「トランプ・ラリー」以来、非常に高い逆相関性を示してきた両者の「背離」が米ドル/円の「ダマシ」を暗示していたわけだ。
(出所:Bloomberg)
同じ構造が、ドルインデックスと金の「背離」からも観察される。
(出所:Bloomberg)
■相場のサインを丹念にフォローしていくことが重要
ちなみに、ドルインデックスは2017年1月3日(火)にて、いったん高値更新となったが、ザラ場において急速にその上昇幅は帳消しとなり、下のチャートにて記しているように、2016年12月15日(木)、20日(火)、28日(水)高値に対するブレイク自体が「フォールス」、すなわちダマシであることを示唆していた。
(出所:Bloomberg)
同サインの確認は、翌日(4日)に3日(火)安値を割り込んだ時点ですでに確認されたわけだから、サインの読み取りは、必ずしも難しいとは言えなかった。マーケットの「異変」に驚かされる場合、往々にして我々自身が相場のサインを見逃したケースが多い。相場のサインを丹念にフォローしていくことが重要であろう。
今晩(1月6日)の米雇用統計次第で、また一波乱が想定されるが、ドルインデックスにおける「トリプル・トップ」の構造が否定されない限り、同指標が良くても米ドル高は限定的なのではとみる。市況はいかに。
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