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今井雅人の「どうする? どうなる? 日本経済、世界経済」

調整は続くか…。ドル/円が120円や125円
水準へ上昇するために必要なこととは?

2017年01月05日(木)18:10公開 (2017年01月05日(木)18:10更新)
今井雅人

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■米ドル/円は、2016年12月15日の高値を上抜けられず…

 明けましておめでとうございます。本年もよろしくお願い申し上げます。

 お正月休暇も終わり、2017年の取引が始まっています。米ドル/円は、年末のNY市場で116円台から117円台まで買い戻されて2016年の取引を終えました。

 年始も年末の勢いを受け継ぐ形で、1月3日(火)から米ドル買いが先行。12月米ISM製造業景気指数や11月米建設支出などが市場予想を大幅に上回る強い数字となったこともあり、一時118.607円まで値を上げる場面もみられました。

 しかし、2016年12月15日(木)の戻り高値として意識されていた118.663円を上抜けられないとなると、その後は、戻り売りに押される展開となりました。

米ドル/円 4時間足
米ドル/円 4時間足

(リアルタイムチャートはこちら → FXチャート&レート:米ドル/円 4時間足

■利上げされた2016年12月のFOMC議事録は複雑!?

 そんななか、1月4日(水)のNY市場では、FOMC(米連邦公開市場委員会)議事要旨(2016年12月13-14日分)が公表されました。

【参考記事】
FOMC金利見通し引き上げでドル急上昇! 過熱感がない相場はなかなか止まらない(2016年12月15日、今井雅人)

米FOMC政策金利の推移

※FRB発表のデータより、ザイFX!編集部が作成

 2016年中で唯一、利上げが行われた会合だっただけに市場の注目が集まったワケですが、議事要旨では、「トランプ政権が大型減税などを行った場合には、より速いペースの利上げが必要となる可能性」に言及していることが判明したほか、「多くのメンバーが拡大的な財政政策によって成長が弾ける上向きのリスク」を認識していることもわかりました。

 ただ、「トランプ政権の政策を判断するにはまだ時期尚早であり、見通しにどれほどの影響があるのかを見極める必要がある」との慎重な姿勢を崩していないことも明らかになっています。

 また、声明文では言及されていませんでしたが、「さらなる米ドル高が下向きのリスク」であると指摘する向きもありました。

 市場では、「予想よりは少しタカ派的」との声が大勢を占めていますが、米長期金利が上下に二転三転するような不安定な動きとなったことからもわかるように、反応はかなり複雑なものとなりました。

■大統領就任式の演説などを見極めるまで、利食い先行?

 そして、本日1月5日(木)のアジア市場では、朝方から米ドル売りが加速。ポジション調整の売りが強まる展開となっています。

米ドルVS世界の通貨 1時間足
米ドルVS世界の通貨 1時間足

(リアルタイムチャートはこちら → FXチャート&レート:米ドルVS世界の通貨 1時間足

2016年最後のコラムでは、「基本的には米ドル高傾向が続き、米ドル/円も再び125円を目指す動きが見られるのではないか?と、現時点では考えている」とお伝えしました。

 ただ、2016年12月27日(火)時点のIMM(国際通貨先物市場)通貨先物市場における投機筋の円ショートポジションが8万7009枚(※)まで急増しているように、ここにきて、市場はかなり米ドル/円のロングポジションを構築してしまっているようです。

(※編集部注:円のショートポジションと円のロングポジションを相殺して、残った分の円ショートポジションの枚数)

【参考記事】
2017年の為替相場も基本はドル高継続! ドル/円は125円を目指す動きが見られるか(2016年12月22日、今井雅人)

IMM(国際通貨先物市場)のポジション状況(米ドル/円)
IMM(国際通貨先物市場)のポジション状況(米ドル/円)

(詳しくはこちら → 経済指標/金利:シカゴIMM通貨先物ポジションの推移

米ドル/円が、120円や125円などと水準をさらに引き上げていくには、その前に、ある程度のポジション調整が必要となってきているのではないでしょうか?

米ドル/円 日足
米ドル/円 日足

(リアルタイムチャートはこちら → FXチャート&レート:米ドル/円 日足

 1月6日(金)の米雇用統計なども見極める必要があるほか、1月20日(金)のトランプ米大統領就任式での演説内容などをきちんと判断するまでは、少し利食い売りが先行する頭の重い動きとなるのかもしれません。

■大枠の見通しに変わりはないが、目先はポジション調整か

 大枠の見通しに変わりはありません。

【参考記事】
2017年の為替相場も基本はドル高継続! ドル/円は125円を目指す動きが見られるか(2016年12月22日、今井雅人)

 FOMC議事要旨でも述べられているように、米当局としては、最終的には拡大的財政政策がインフレリスクを強めることの方に政策の重点を置くことになるはずですが、そうは言っても、「米ドル高」への懸念が少し台頭してきたことも事実です。

目先は、ポジション調整中心の相場が続く可能性が出てきています。


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