■Brexitで右往左往しても結局はトランプ
今週(1月16日~)はECB(欧州中央銀行)理事会もありますが開催は19日(木)。
つまり、米大統領就任式の前日ですから、このタイミングで政策を変更することは考えづらい。
最近ではユーロ圏の経済指標が良好でインフレの兆候もあり、今年(2017年)はテーパリング(※)がテーマとして浮上してきそうです。そうなるとユーロは下がりにくいのかもしれません。
でも前回のECB理事会で量的緩和の延長を決めたばかり。ドラギ総裁が「テーパリングなんて考えてもいない」と語気を強めるようならユーロが動く可能性がありそうです。
年末年始はユーロのパリティ(=1.0000ドル)予想が大勢でしたが、一筋縄ではいかないムードですね。
(※編集部注:「テーパリング」とは、量的緩和政策により、進められてきた資産買い取りを徐々に減少し、最終的に購入額をゼロにしていこうとすること)

(出所:Bloomberg)
あとは英ポンドですね。今朝(1月16日早朝)、ハードブレグジット(※)への懸念から英ポンドは大きく下窓を開けて始まりました。
(※編集部注:「ハードブレグジット」とは、英国がEUを離脱することに伴って、移民制限を優先し、EUへの単一アクセスを断念することを指す)

(リアルタイムチャートはこちら → FXチャート&レート:英ポンド/米ドル 1時間足)

(リアルタイムチャートはこちら → FXチャート&レート:英ポンド/円 1時間足)
1月17日(火)にはイギリスのメイ首相がBrexit(英国のEU離脱)についてのスピーチを行ないます。
ただ、ユーロにしても英ポンドにしても個別の材料で動いたところで大きな流れを決めるのは結局、トランプのひと言。しばらくはトランプを注視していればいいのでしょう。
■ドル/円は112円がトランプラリー継続の分水嶺に
米ドル/円チャートを見ると、トランプラリーでの23.6%である114.50円を下抜け。
次は38.2%の112円を試すことになります。ここで下げ止まらないと、上昇トレンドの継続に疑問符がついてしまいますよね。

(出所:Bloomberg)
昨年(2016年)前半の円高局面では「アベノミクスの終焉」と囃されましたが、アベノミクス円安の50%がサポートとなり円安が再燃しました。
【参考記事】
●ヘリコプターマネーの憶測でアベノミクスに反撃の兆し? ドル/円は107円が焦点!(2016年7月14日、西原宏一)
必ずしも、米ドル/円が38.2%を下抜けしたら、それがトランプラリーの終焉とは思いません。
中期的な方向としては米ドル高が継続すると考えています。
ただ、118円台ミドルでダブルトップとなっていることもあり、112円を割ってしまうと混沌としてきそう。112円が重要な節目であることはたしかですね。

(出所:Bloomberg)
米大統領就任式を通過してトランプラリーが再開する可能性もありますか?
十分あるでしょう。先週、1月11日(水)の記者会見が決まっていない、昨年(2016年)末時点では「米大統領就任式前後で調整があるのでは?」との見方がコンセンサスでした。
ところが、先週の記者会見をきっかけにして早めに調整が始まっています。
米ドル/円の前回高値118.66円をつけた12月15日(木)から1カ月が経過し、時間的にはそろそろトレンドが再開してもいい時期です。
【参考記事】
●トランプ氏の記者会見は期待はずれだが、国境税に注目! 中期ドル買いの好機到来(1月12日、西原宏一)
いずれにせよ、本日(1月16日)はアメリカが休日ということもあり、米大統領就任式前日あたりからの動きがメインでしょう。
それまではニュースのヘッドラインに振り回されないように注意しながら、1月20日(金)に集中したいですね。
(構成/ミドルマン・高城泰)
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