■米雇用統計結果&トランプ氏会見後、米ドル反落
前回のコラムの指摘どおり、米ドル全体が反落してきた。
【参考記事】
●相場のサインを見逃すな! 米ドル/円のダマシを事前に見極める方法とは?(2017年1月13日、陳満咲杜)
(リアルタイムチャートはこちら → FXチャート&レート:米ドルVS世界の通貨 4時間足)
先週末(2017年1月6日)のまだら模様の米雇用統計に続き、今週(1月11日)の、一部市場関係者に期待されたトランプ氏の記者会見で、具体的な経済対策への言及がなかったことが失望売りを招き、米ドルの反落を加速させたとみる。
もっとも、本コラムが繰り返し指摘してきたように、いわゆる「トランプ・ラリー」自体がそもそも行きすぎだったから、この程度の反落はまだ微々たるスピード調整にすぎず、当然の成り行きであるどころか、むしろ「遅れた」値動きだと思う。
したがって、米ドル全体がいったん頭打ちになり、また反落してくることは、ずいぶん前からテクニカル上のサインが点灯していたから、今さら後付けの解釈は不要だ。
■米ドルのスピード調整はすでに完了したのか?
ところで、ドルインデックスの頭打ちを、上昇途中のスピード調整と位置づければ、いずれスピード調整自体が終わるから、足元の焦点は、同スピード調整がすでに完了したのかどうかにあるのではないだろうか。
言い換えれば、筆者自身は米ドル高の継続性に懐疑的な見方を取るが、足元のスピード調整を過大評価するつもりはない。何しろ、米ドル高のトレンドは、なおはっきり維持されているからだ。
このような感触は、昨日(1月12日)の値動きによって、一段と強化されている。ドルインデックスの日足は、昨日(1月12日)、50日移動平均線(50日線)を下回ったものの、再度同線の上で大引けしたことから考えて、米ドル売りが継続されるとは言い切れない。
(出所:Bloomberg)
50日線が200日線を上回った2016年10月20日(木)以来、ザラ場安値をもって50日線を下回ったのはあの11月9日(水)、すなわちトランプ氏が当選した日のみであり、同線をキープできるなら、米ドル安の進行が深まっていくといった判断は性急だとみる。
また、ドルインデックスは、2016年12月高値と2017年1月3日高値で形成されたいわゆる「トリプル・トップ」の前から、RSIとのはっきりした「弱気ダイバージェンス」のサインを点灯していた。ここから、足元までの反落が始まったのは、実は2016年12月15日(木)あたりからと計算される。
(出所:Bloomberg)
こうなると、もう1カ月以上の調整を果たしていることになるから、調整自体が一服してもおかしくなかろう。
その上、RSIを観察すればわかるように、2016年11月9日(水)のちょっと前(A)に、RSIは主要な安値を形成していた。同安値レベルを足元のRSIは下回っており、いわゆる「リバーサル」のサイン形成を暗示している。
(出所:Bloomberg)
なぜなら、足元急落してきたとはいえ、ドルインデックスがまた101台をキープし、2016年11月初頭の96台の数値よりはるかに高いにもかかわらず、RSIのほうはずいぶん落ち込んでいるから、米ドルの反落自体が「スピード違反」の疑いを持たれるわけだ。
同じ視点をもって米ドル/円を点検すれば…
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