■米ドル安一服はテクニカル的に予想できたはず
だから、トランプ氏の米ドル高牽制で米ドル安が止まらないだろうといった先入観をもって相場を見ていたら、重要なサインを見逃すことになる。
それはほかならぬ、1時間足における下落ウェッジの形成とその上放れのサインである。
(出所:Bloomberg)
言ってみれば、テクニカル上の「都合」から考えると、なぜ1月17日(火)あたりにトランプ氏が米ドル高を牽制してきたのか、また、なぜ彼の発言に想定されたインパクトがなく、米ドルを押し下げる効果が「意外」に短命に終わったのかがわかる。
つまるところ、そのすべては下落ウェッジに沿った形で行われ、また、その必要性や起こる確率が高かったからだ。ゆえに、同フォーメーションを見込めば、米ドル安一服を予想できるうえ、下落ウェッジの上放れを想定できたはずだ。
■米ドル/円が再び高値を打診する可能性にも注意
このような内部構造は、最近、米ドル/円とドルインデックスの相関性が高いため、米ドル/円の実例をもって説明したほうがわかりやすいかと思う。筆者の1月18日(水)のレポートは下記のとおりだ。
オポチュニティ ドル/円・子波Cのフォーメーション
(出所:Bloomberg)
昨年12月高値118.66を起点とした反落波、調整子波として数え、ジグザグ変動をもって昨日の安値更新につながった。が、デイリーの指摘通り、すでに底打ちしていた可能性が大きく、これから反騰してこよう。
ジグザグ変動パターンでは、118.61を起点とした下落波のフォーメーションに注目していただきたい。下落ウェッジというフォーメーションの形成、最終子波としてよく観察されるパターンで、また同蓋然性を強化している。
同フォーメーションにおける子波序列のa-b-c-d-eの完成も最終波自体の完成を暗示、仮にe波が延長されたとしても、これからの下値余地が限られるでしょう。113.55~113.80といった目先の抵抗ゾーンをブレイクできれば、最初のサインを点灯、更に、114.20~114.40のレジスタンスを突破できれば、確認のサインとして認識される。上放れのタイミングを測って引き続きロングスタンスで臨みたい。
このように、米ドル全体のスピード調整(反落)が一服したのであれば、これから再度、米ドル高トレンドへ復帰する公算が高く、また、米ドル/円が高値を再打診する可能性にも注意する必要があるだろう。
■EU離脱問題のある英ポンドに実は上昇する可能性あり
その上、リンクしたように、クロス円(米ドル以外の通貨と円との通貨ペア)の上昇再開も覚悟しておきたいところ。
クロス円の中でも、ユーロ/円、英ポンド/円や豪ドル/円といったメインの通貨ペアでは、ここまでは豪ドル/円の押し(反落)が一番浅く、英ポンド/円が一番深かったが、ここからユーロ/円に比べて、英ポンド/円の方が上昇スピードを速める可能性もある。
英ポンド/円の変動率がユーロ/円より大きいといった問題ではなく、ユーロ/英ポンドの値動きに照らして考えた見方だ。
要するに、EU離脱の「ハードランディング」を図る英国の決断が、結果的に英ポンド安ではなく、対ユーロの英ポンド高をもたらす可能性があるから、要注意だ。このあたりのロジックについては、また次回に譲る。
本日(1月20日)はトランプ氏の米大統領就任式だが、果たして「お祝い」の米ドル高が進むだろうか。市況はいかに。
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