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今井雅人の「どうする? どうなる? 日本経済、世界経済」

トランプ氏が「トンデモ発言」なく大統領
就任式を終えたら、来週からドル高期待!

2017年01月20日(金)14:12公開 (2017年01月20日(金)14:12更新)
今井雅人

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■トランプ氏の米ドル高牽制発言で、米ドル安に

 今週(1月16日~)は、アジア太平洋議員フォーラム(APPF)への出席のため、1月19日(木)まで海外におりましたので、当レポートの公開が1日遅れました。申し訳ありません。

 約1週間の海外出張の間に、相場は大きく乱高下しました。

 前半は、先週(1月9日~)からの流れで米ドル安が進行する展開となりました。

 特に、1月17日(火)に変動幅が大きくなり、米ドル/円は、一時112円台にまで下落しました。原因は、トランプ氏が新聞社のインタビューで「米ドルは高すぎる」という発言をしたことです。

 これは中国人民元に対しての話だったのですが、全体的に米ドル安政策を取るのではないか、という観測が広がったために、米ドル全面安の展開となりました。

米ドル/円 1時間足
米ドル/円 1時間足

(リアルタイムチャートはこちら → FXチャート&レート:米ドル/円 1時間足

■ドルロングポジションの調整売りが出た

 ただ、これはきっかけであって、やはりドルロングポジションが溜まり過ぎていたために、トランプ氏の大統領就任までに、ドルロングの調整売りが出たということだと思っています。

 これは、IMM(国際通貨先物市場)のポジション動向を見れば、はっきりとわかります。

【参考記事】
調整は続くか…。ドル/円が120円や125円水準へ上昇するために必要なこととは?(1月5日、今井雅人)
残念な記者会見でドル/円は114円台へ!次はトランプ次期大統領の就任演説に注目(1月19日、今井雅人)

 おそらく、今週末に発表される1月17日(火)時点での統計では、かなりドルロングが減っているのではないでしょうか。

IMM(国際通貨先物市場)のポジション状況(米ドル/円)
IMM(国際通貨先物市場)のポジション状況(米ドル/円)

(詳しくはこちら → 経済指標/金利:シカゴIMM通貨先物ポジションの推移

■次期米財務長官いわく、米ドルは一時的に高過ぎる水準

 さて、本日1月20日(金)にトランプ氏が正式に米大統領に就任します。彼がどういう政策を実際に進めるのか、就任式のスピーチに注目しておきたいと思います。

 就任当日にいくつか大統領令を発表する予定なので、この内容にも注目しておきたいと思います。

 ところで、問題の為替政策でありますが、1月19日(木)に行われた次期米財務長官、スティーブン・ムニューチン氏の承認公聴会での発言で、かなり、はっきりしてきました。

 彼の発言を簡単に要約すれば、「米国にとって長期的な米ドル高は望ましいが、今の米ドルは一時的に高過ぎる水準にまできている、という認識を持っている」ということです。

 ですから、いっそうの米ドル高に対する警戒発言はこれからも出てくるとは思いますが、極端なことはしてこなさそうであるということでしょう。

スティーブン・ムニューチン氏

次期財務長官に指名されているスティーブン・ムニューチン氏。 米証券大手、ゴールドマン・サックスの出身。トランプ政権の金融政策におけるキーマンになりそう。今後、もっと経済ニュースにも登場してきそうなので、しっかり名前と顔を覚えておきましょう! (C)Bloomberg/Getty Images

■米国経済は、非常に好調!

 その認識の上で、現状の米国経済の状況を見ると、非常に好調な結果が続けて出てきています。

 今週(1月16日~)出てきた指標を見ても、それは確認できます。

 2016年12月の鉱工業生産は、前月比で0.8%の上昇と、前月分も市場予想値もいずれも上回りました。同じく、2016年12月の住宅着工件数も前月比11.3%の増加と持ち直してきました。

米鉱工業生産(前月比)
鉱工業生産(前月比)

(出所:Bloomberg)

米住宅着工件数(前月比)
住宅着工件数(前月比)

(出所:Bloomberg)

失業保険の新規申請件数も減少しており、雇用環境も良好だということを確認できました。その上で、消費者物価指数は前年同月比で2.1%の増加と、いよいよ目安の2%を超えてきています。

米新規失業保険申請件数
新規失業保険申請件数

(出所:Bloomberg)

米消費者物価指数(前年比)
消費者物価指数(前年比)

(出所:Bloomberg)

■米政策金利は、2019年末までの3年間で9回引き上げか

 そうした現状を受けて、FRB(米連邦準備制度理事会)のイエレン議長は、「2019年末にかけて、政策金利を年に数回引き上げることが想定される」と発言しています。

 「年に数回」という表現は、2回程度とは考えられないので、少なくとも年3回以上の利上げは想定しているということを言いたいのだと解釈できます。

 そうすると、2019年末までの3年間で最低でも9回利上げがあるということになります。

米政策金利推移
米政策金利推移

※FRB発表のデータより、ザイFX!編集部が作成

■とんでも発言なければ、来週から米ドル高を期待!

 一方、日本の方は、まだデフレから脱却できない状況が続いており、このまま推移すると、ますます日米の金利差は拡大することになってくると思います。

 以上の環境を勘案すれば、よほどトランプ氏がとんでもない政策を打ち出さない限り、ジワジワと米ドル高が進んでくることになるのではないかと考えています。

米ドル/円 日足
米ドル/円 日足

(リアルタイムチャートはこちら → FXチャート&レート:米ドル/円 日足

 いずれにしても、トランプ氏の本日1月20日(金)の大統領就任演説に注目しましょう。無事に切り抜ければ、来週(1月23日~)からは米ドル高ではないかと期待しています。


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