■FRB理事のタカ派発言で米利上げの可能性高まる
みなさん、こんにちは。
注目されたトランプ米大統領の演説は波乱なく通過。
ただ、米ドル/円はトランプ米大統領の演説が始まる前から反発を開始しています。

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それは、3月の米利上げ観測が高まったことが背景。
2月に入り、マーケットはトランプ政権が掲げる政策の実効性に対して懐疑的になり、市場参加者の一部には「3月の米利上げ確率はゼロ」との意見も台頭。
ただ、そうしたマーケット参加者の思惑とは裏腹に、3月14日(火)~15日(水)に開催されるFOMCでの米利上げ織り込み度は急騰。
その要因はFRB(米連邦準備制度理事会)理事による一連のコメントでした。
まずダドリーNY連銀総裁が「利上げの主張は大幅により説得力あるものに」とコメントしました。これにより、米ドル金利は反発し始めます。

ダドリーNY連銀総裁は「利上げの主張は大幅により説得力あるものに」とタカ派的なコメント。これを受けて、3月FOMCでの利上げ予想確率は急騰 (C)Bloomberg/Getty Images
次は、ブレイナードFRB理事のコメント。
昨年(2016年)の半ばごろ、フィッシャーFRB副総裁らがタカ派的なコメントを繰り返したことから、米利上げ確率が急速に高まりましたが、ブレイナード理事がハト派的なコメントをしたことから、米早期利上げ観測は霧散。
【参考記事】
●FRB副議長の発言により米金利急騰でドル上昇! 9月利上げは経済指標次第!(2016年8月29日、西原宏一&大橋ひろこ)
そのため今回、彼女のコメントにマーケットは注目していました。
結果は、タカ派。
●米連邦準備制度理事会(FRB)のブレイナード理事は1日、ハー
バード大学でのイベントでの講演テキストで、「前進が続くと想定
すると、追加的な緩和を解除し、緩やかな道筋をたどり続けること
がすぐに適切になりそうだ」と述べた。
●「われわれは完全雇用に近づいており、インフレはわれわれの目標
に緩やかに向かっている。海外の経済成長は足元が固まりつつあ
り、見通しへのリスクは過去に見られたような均衡に近い」
●「過去数カ月は労働市場に引き続き進展があった」
●「過去のドル高とエネルギー価格低下の影響が弱まりつつある中、
インフレ率はこのところ上昇している」
●「内需への上振れリスク増大がこの数カ月に見られる」
●「米国に対する海外からの短期リスクは減少したと見受けられる」
●「フェデラルファンド(FF)金利が長期的な予想水準へと引き続
き上昇する中で、バランスシート政策の変更も正当化されよう」
出所:Bloomberg

ハト派で知られるFRBのブレイナード理事だが、米国の利上げについて「すぐに適切になりそうだ」とまさかのタカ派的なコメント。これで、さらに3月FOMCでの利上げ予想確率を高めることに… (C)Bloomberg/Getty images
■3月FOMCでの米利上げ予想確率は80%台に急騰
彼女のコメントにより、3月の米利上げ織り込み度はさらに急騰。
本稿執筆時点での、3月の米利上げ予想確率は84%となっています。

(出所:Bloombergのデータを基にザイFX!編集部が作成)
呼応して、米ドル/円は続伸。本稿執筆時点では114.00円台を回復しています。

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■米ドル/円は115.00円のオプションに注目
前述のように、今週(2月27日~)反発を演じた米ドル/円。
反発の時期としては前回のコラムでご紹介した時期と重なるのですが、問題は続伸するかどうか?
【参考記事】
●雲の中のドル/円、上抜けは3月上旬ごろ? なぜユーロ/豪ドルの下落に今注目なのか?(2月23日、西原宏一)
トレードにおいて、米ドル/円のポイントは2つ。
まず、日米首脳会談後の米ドル/円の反発を止めたのが115.00円のオプション。
【参考記事】
●日米首脳会談成功で円高リスクが後退。「暗黙のドイツマルク」のような存在とは?(2月16日、西原宏一)
今回、そのオプションはかなり消滅しているのですが、まだ3ビリオン(30億ドル)ほど残っているといわれており、115.00円を突破するには一定の時間を要するものと想定されます。

(出所:Bloomberg)
■株や鉄鉱石価格の上昇が豪ドルの追い風に
2つ目は他通貨での米ドルの動き。
以下は、3月の米利上げ織り込み度が急騰してからの各通貨の対米ドルでの動き。

(出所:Bloombergのデータを基にザイFX!編集部が作成)
対米ドルで最も値を下げたのが、円。
一方、米利上げ織り込み度が高まる中、ほとんど値を下げていないのが豪ドルとなっています。
この背景は、株と鉄鉱石価格の上昇。
今年(2017年)に入って、米国株を筆頭にグローバルな株価は底堅い動きをしています。リスクオンの流れは豪ドルにとってプラス。

(出所:Bloomberg)
加えて鉄鉱石価格の高騰。
鉄鉱石は、他のコモディティ同様、トランプ米大統領がインフラ投資をすると宣言してから急騰しています。
昨年(2016年)末から鉄鉱石は順調に値を上げており、これが豪ドルにとって追い風に。

(出所:Bloomberg)
豪ドルが底堅い動きをしている中、米利上げの思惑から米ドル/円も急騰したことから、結果として豪ドル/円は急反発し、現時点で87.30円台で推移。

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前回のコラムでも触れましたが、ゴルディロックス(※)状態が継続する中、資源国通貨の豪ドルが注目されており、引き続き、豪ドル/円やユーロ/豪ドルの動向に注目。
(※編集部注:ゴルディロックスとは、過熱もしすぎず、低迷もしていない、居心地のいい状態のこと)
【参考記事】
●雲の中のドル/円、上抜けは3月上旬ごろ? なぜユーロ/豪ドルの下落に今注目なのか?(2月23日、西原宏一)
そして、こちらも前回のコラムで紹介したように、3月上旬と反発の時期を想定していた米ドル/円が上昇を開始していますが、米ドル金利上昇に対する他通貨の反応が弱いため、米ドル/円は高値追いをせず、押し目買いに徹することが肝要でしょうか?

(出所:Bloomberg)
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