G20では何も目新しいものは出なかったが、保護貿易の文言だけは外された。共通認識を示すべきコミュニケで、これまで大事にしてきたことを変えるのは極めて異例のことである。アメリカが反対しているので、それに迎合した結果としか言いようがない。そんなにアメリカにこびないといけないものだろうか。
文言を変えないで、アメリカは独自に歩むべきというのが、従来の国際マターの処し方であろう。日本もテロ撲滅とか戦争反対という世界のコンセンサスに同調はしているものの、現実的な対応としては法的にできることには制限があるという立場である。個別の事情はコミュニケには反映させるべきではないというのが、現代の国際政治の通念である。
昨日は日本がお休みだったが、海外のマーケットではG20の結果を受けて、ややリスクオフが進んだ。欧米の株価は少しの調整を強いられ、為替相場ではリスクに弱いとされるクロス円が全面安となった。G20の存在意義が疑われているところに、重要な理念の欠如が市場で失望を誘ったという図式だ。
ドル相場としても徐々にではあるがドル安の流れが鮮明になりつつある。ポンドドルもユーロドルも値幅こそ小さいものの、高いレベルでステイしている。ドル円も勢いこそないものの、前日の安値を抜けてきている日が続いている。今日もアジア時間でドル円は早々に前日の安値を下回ってきたりする場面もあった。
昨日は石原元都知事が証言したが、出てきたのは従来の見解と同じものだった。マーケットのかく乱要因にもならなかった。次の注目はは23日に予定されている籠池氏の証人喚問である。日本発の政治ファクターが材料になるかもしれないというのは久しぶりのことだ。安定的に見えている安倍政権にも打撃を加えるかもしれないからだ。これを除いて今週は大きなイベントはない。
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