■VIX(恐怖)指数が24年ぶりの低水準に! その要因は?
前回のコラム以降、結局のところ、米国、日本ともに株価は堅調に推移し、為替相場も円安方向に動いてきています。
【参考記事】
●「お化け」騒ぎの後、市場で何が起きた? 「化ける」可能性があるのはユーロ/円!(5月2日、今井雅人)
その原因となっていることとして、市場環境が非常に安定していることが挙げられています。
それを端的に表しているのが、恐怖指数と呼ばれるVIX指数の動きです。
VIX指数は、1993年以来という、実に24年ぶりの低水準になっています。5月9日(火)には、一時9.56という水準まで低下しました。
(出所:Bloomberg)
それだけVIX指数が低下してきている直接的な要因は、北朝鮮での武力衝突の危険性が遠のいてきていること、そして、仏大統領選挙で、親EU(欧州連合)派のマクロン氏が勝利したことなどが挙げられています。
■VIX指数低下の背景には、経済状況の安定がある
しかし、北朝鮮の状況は小康状態に入っただけで、問題が解決されたわけではありません。
実際、5月9日(火)のNY市場では、「北朝鮮6回目の核実験を実施へ」とのヘッドラインが流れて、一時的にせよ、市場はリスクオフの動きとなりました。
(リアルタイムチャートはこちら → FXチャート&レート:米ドル/円 4時間足)
マクロン氏が勝利したことに関しても、これまでもその程度のイベントリスクは数限りなくあったはずです。
そうしたことだけでは、VIX指数が24年ぶりの低水準になっているということに対して、説明がつきません。
おそらくそこには、2007年のサブプライムショック(※)から10年が経過し、先進国の失業率などが正常値に戻ってきていることに代表されるように、経済状況が安定してきたということが、大きな背景としてあるのでしょう。
(※編集部注:「サブプライムショック」とは、2007年~2009年にかけて起こった米国の住宅バブル崩壊に端を発する世界的な金融危機のこと。リーマンショックなども、この流れのなかで起こった)
■不安材料…それはズバリ、トランプ政権!
ただ、それでも不安材料は残ります。
それは、言うまでもなくトランプ政権です。
言うまでもなくトランプ政権は、不安材料の1つ…。低金利政策の継続や米ドル安を望むトランプ大統領と6月利上げの可能性が高まっているFOMC。政府と中央銀行の間で政策の方向性がズレている…!? (C)Mark Wilson/Getty Images
トランプ米大統領は、大規模な景気刺激策と貿易赤字の縮小を同時に掲げながら、低金利政策の継続と米ドル安を望んでいます。
しかし、FOMC(米連邦公開市場委員会)は、2017年6月に追加利上げをする可能性が非常に高まっています。市場でも、ほぼ8割以上が6月の利上げを織り込んできています。
利上げをすれば、米ドル高になりやすいのは言うまでもありません。つまり、米国では政府と中央銀行の間でズレが生じているということになります。
(リアルタイムチャートはこちら → FXチャート&レート:米ドルVS世界の通貨 日足)
そこで、今の状況を改めて…
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