■メルケル首相の発言はユーロ高容認ではない!
次は、ECB(欧州中央銀行)の金融政策についてです。
6月8日(木)に、次の政策会合(ECB定例理事会)が開催されます。ここで「フォワードルッキング」をどう変えるのかに注目が集まっています。
簡単に言えば、利上げをする前にテーパリング(※)をやるのかということですが、一部でそういう意見が出てはいるものの、今のところ少数派であるので、そうはならないと考えています。
(※編集部注:「テーパリング」とは、量的緩和政策により、進められてきた資産買い取りを徐々に減少し、最終的に購入額をゼロにしていこうとすること)
先日、メルケル独首相が「ユーロは弱すぎる」と発言しました。
(出所:Bloomberg)
(出所:Bloomberg)
これについてですが、まず、この発言は学生向けに行った講演での話だということを頭に入れておく必要があります。
「ユーロは弱すぎる。これはECBの政策が理由だ。これによってドイツ製品が相対的に安くなっている。だからドイツ製品はよく売れている。また、原油安もドイツ貿易黒字の一因になっている。ではどうしたらよいか。我々にできるのは国内で投資を増やすことだ」と発言しているので、決して、もっとユーロが強くなる方が良いと言っているわけではないということです。
【関連記事】
●EU各国の景気をサッカーが象徴!?急騰中のユーロ/米ドルだがそろそろ下落する水準?(5月24日、松田哲)
その他の要人発言を見ると、ECBのクーレ理事が「現時点で出口政策の順序を変える必要はない。資産購入終了前の利上げはない」との見解を表明しているほか、ドイツのショイブレ財務相からは、「ユーロの為替レートはドイツにとってはやや低すぎだが、ユーロ圏他国にとってはそうではない」と、私の見方をサポートするような発言が出ています。
■1番の悩みのタネは、トランプ大統領だが…
最後は、トランプ米大統領のロシア関与疑惑。実は、これが1番の心配材料です。
大統領選挙中のロシア政府関与や、機密情報の漏えい疑惑が浮上したトランプ大統領。これがマーケットの1番の心配材料に (C)Alex Wong/Getty Images
ただ、コミー前FBI長官の議会証言も延期になり、フリン前大統領補佐官は議会への黙秘権を行使する方向。
そして、「大統領弾劾」は非常にハードルが高いです。
だから、この問題はおそらく長期化します。確かに市場への影響は心配ですが、こればかりを気にしているわけにもいかないでしょう。
【参考記事】
●トランプリスク再燃で米ドル/円に投げ売り! 混乱の時こそドルの買い場と考えるワケは?(5月18日、今井雅人)
しばらく、為替市場はもみ合いに入ると思いますが、いずれどこかで米ドルが少し上昇してくる局面があるのではないかと考えています。
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