■米金利が上昇しないと、米ドル/円は上昇基調に入れず…
この背景には「中東5カ国がカタールとの国交を断絶」との報道がきっかけになっています。
カタールの政府系ファンドは「QIA(qatar investment authority)」。
友人によれば、QIAのアジア向けの投資額は200億ドル。その40%程度が日本株とのウワサ。
80億ドル程度だと、昨年(2016年)のサウジアラビアと違って、それほど日本株下落に警戒することはないと思うのですが、QIAの報道がセンチメントを悪化させています。
この報道を横目に米10年債利回りは現時点で、2.18%と極めて低水準。
(出所:Bloomberg)
このところの「米ドル/円と米国債利回りの相関の高さ」から判断すれば、この米金利が底固めをして上昇基調に入らないと、米ドル/円は上昇基調に入らないといえます。
(リアルタイムチャートはこちら → FXチャート&レート:米ドル/円 日足)
■レイ・ダリオ氏の警告、米ドル急落に警戒
では、米国債利回りは今後、大きく反発するのかを探ってみます。
8日(水)の東京市場で話題になったのが、下記の豊島逸夫氏によるレイ・ダリオ氏の記事。
レイ・ダリオ氏はブリッジウォーター・アソシエーツという巨大ヘッジファンドの創設者です。
トランプ氏不信を映す円高・ドル安
ニューヨーク(NY)のヘッジファンド業界で今週話題になっているのが、米著名投資家、レイ・ダリオ氏の米トランプ政権を憂う発言だ。同氏はブリッジウォーター・アソシエーツという巨大ヘッジファンドの創設者ゆえ、注目度も極めて高い。
ダリオ氏は、かつて米大統領選挙でのトランプ氏勝利を歓迎し、経済活性化を期待していたが、今週、明確に変心したことを明らかにしたのだ。
「全体と部分に分ければ部分、調和と対決に分ければ対決を選ぶ強い傾向がトランプ大統領にみられる。心配だ。その影響は我々に及ぶ」とSNS(交流サイト)を通じて語った。
今週、トランプ政権とロシアとの関係を巡る疑惑「ロシアゲート」について議会証言する予定で注目されているコミ―前米連邦捜査局(FBI)長官も、ブリッジウォーターの法律顧問を3年間務めた経歴がある。
ダリオ氏は信頼している人物が窮地に立つことが心配のようで、コミー氏を評価する発言もしている。
ここにきて、米経済界とトランプ政権のあつれきが一段と目立つようになった。一時はホワイトハウスに招かれた大企業トップたちが、そろってトランプ氏に理解を示した蜜月の時期もあった。しかし、トランプ政権による、地球温暖化防止の国際枠組み「パリ協定」からの離脱決定が決定的な溝を作った。多くのトランプ支持の最高経営責任者(CEO)たちまでが反対するなかで強行したからだ。特に多国籍企業にとって、米国の孤立はゆゆしき問題である。
いまだトランプ氏の財政政策案に期待を残す経済人も多い。しかし、その期待は時を追うにつれ、揺らいでいる。
出所:日経新聞
この報道にあるように、トランプ政権による「パリ協定」からの離脱決定をきっかけに、米経済界とトランプ政権の溝が深くなっています。
米大統領選挙でのトランプ氏勝利を歓迎していたレイ・ダリオ氏ですら、今週(6月5日~)、明確に変心した模様。
こうした背景からは、米金利の大きな反発は期待できず、米経済を反映しているのは、米国株ではなく米10年債利回りであるというほうが正しいのかもしれません。
米国債利回りが上昇しなければ、米ドル/円の大幅な反発は期待できず。
仮に米国株が調整に入ると、米ドル/円が急落する恐れも出てきています。
レイ・ダリオ氏も懸念するトランプ政権の行方と、低迷する米金利と米ドル/円の行方に注目です。
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