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西原宏一の「ヘッジファンドの思惑」

FOMCの利上げは間違いとの意見多数!
米国株調整入りなら米ドル/円も下落へ…

2017年06月15日(木)17:10公開 (2017年06月15日(木)17:10更新)
西原宏一

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■予想どおり、米国株が調整入りしそう…

 みなさん、こんにちは。

前回のコラム「米国経済を反映しているのは、米国株か米国債か?」ということがマーケットで話題になっていることをご紹介させていただきました。

【参考記事】
米国株と米国債、米経済はどちらを反映? レイ・ダリオ氏の警告。米ドル急落に警戒!(6月8日、西原宏一)

 そして、米国株ではなく米国債の動向が正確に米国経済を反映していると判断し、米国株は早晩調整に入るのではと結論づけたのですが、実際に米国株は調整に入りそうです。

NYダウ 日足
NYダウ 日足

(出所:Bloomberg)

■米国株急落の背景に「FANG」銘柄アリ

 6月9日(金)、米国株市場で突如、ナスダック総合指数が急落。

ナスダック総合指数 日足
ナスダック総合指数 日足

(出所:Bloomberg)

 新型iPhoneの機能への懸念や、ゴールドマン・サックスのレポートが原因だとも言われていますが、最大の要因は、エヌビディア。

 半導体大手のエヌビディアが6%以上も急落

エヌビディア 日足
エヌビディア 日足

(出所:Bloomberg)

 エヌビディアは、本来、GPU(画像処理半導体)のトップメーカー。ただ昨今ではAIのキーカンパニーとされており、自動運転車用AIにおいては、突出した存在です。

 加えて、エヌビディアのGPUは、ビットコインなど暗号通貨のマイニング(採掘)にも使われるため、関連銘柄として物色されたこともあります。

 エヌビディア暴落の要因は、空売りファンドのシトロン・リサーチがエヌビディアの株価を割高とするレポートを発表したことがきっかけ。

 これに呼応して、「FANG」が急落。

 「FANG」はフェイスブック、アマゾン・ドット・コム、ネットフリックス、グーグルの頭文字。アップルを加えて「FAANG」とする場合もあります。いずれも読み方は「ファング」です。

【参考記事】
半年サイクルなら、6月のドル/円は安値に到達!? そのカギは「FANG」銘柄が握る?(6月12日、西原宏一&大橋ひろこ)

 米国株高を牽引してきたニューエコノミーの象徴である「FANG」が売り込まれたことにより、米国債が示唆していた米国株の調整がより現実的に。

NYダウ 日足
NYダウ 日足

(出所:Bloomberg)

■FOMCでの利上げは間違い!? 米ドルのさらなる急落に警戒

 今週(6月12日~)の最大の注目は、13日(火)~14日(水)に開催されたFOMC(米連邦公開市場委員会)でした。

 日本時間15日(木)未明、FOMCはコンセンサスどおり利上げを決定。

米国の政策金利

(出所:FRBのデータを基にザイFX!編集部が作成)

 ただ、この決定に市場は懐疑的。このところ、米国のインフレ見通しが急低下する中での、米国利上げの決定は間違いだという意見が大勢。

 FOMCでの金融政策発表を受けて、本稿執筆時点で米10年債利回りは2.13%と、依然、低迷しており、米ドル/円の上値をおさえてます。

米10年債利回り 日足
米10年債利回り 日足

(出所:Bloomberg)

 NYダウは続伸しましたが、ナスダック総合指数は25ポイント下落しており、さらなる下落を示唆。

ナスダック総合指数 日足
ナスダック総合指数 日足

(出所:Bloomberg)

 米国株の上昇には追随しない米ドル/円ですが、米国株の下落には連動する傾向があり、こちらも米ドル/円の下落を示唆。

米ドル/円 日足
米ドル/円 日足

(出所:Bloomberg)

前回のコラムでご紹介したレイ・ダリオ氏のコメントにありますように、米経済界とトランプ政権の溝が深くなっていることも、米ドル安の要因のひとつ。

【参考記事】
米国株と米国債、米経済はどちらを反映? レイ・ダリオ氏の警告。米ドル急落に警戒!(6月8日、西原宏一)

 米国債市場が示唆していた米国経済の変調ですが、米国株市場にも兆候が現れ、「FANG」銘柄を中心に反落開始。

「FANG」銘柄の下落が、早晩NYダウにも飛び火し、米国株は調整局面に入ると想定しています。

NYダウ 日足
NYダウ 日足

(出所:Bloomberg)

 レイ・ダリオ氏のコメントにもあるように、米経済界とトランプ政権の深まる溝。

 間違いだという意見が多数の6月FOMCでの米利上げ。

 低迷する米10年債の利回り。

 調整色を深める「FANG」銘柄と米国株。

 本邦機関投資家の断続的な米ドル買い需要にもかかわらず、前述のマーケット環境下、上値が重くなる米ドル相場。

 先週(6月5日~)同様、さらなる米ドルの急落に警戒。


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今井雅人