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田向宏行
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陳満咲杜の「マーケットをズバリ裏読み」

為替相場にトランプ・ラリー再来!?米ドル続伸
のサイン点灯、米国株もまだ崩壊しない!

2017年06月16日(金)17:15公開 (2017年06月16日(金)17:15更新)
陳満咲杜

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■市場は米ドルの「売られすぎ」にやっと気づく

 ドルインデックスと米ドル/円の値動きから考えると、2017年年初来の米ドル全体の調整(反落)が正式に終焉したという結論を得られる。

 米利上げは想定範囲内だが、バランスシートの縮小を明言したFRBのスタンスに、マーケットは戸惑いながら、米ドルの「売られすぎ」にやっと気づいた模様だ。

 換言すれば、足元はまだ、一部米ドルのショート筋がポジションを買い戻しただけで、米ドルの本格的な上昇はまだまだこれからであるということだ。

ドルインデックス 日足
ドルインデックス 日足

(出所:Bloomberg)

米ドル/円 日足
米ドル/円 日足

(リアルタイムチャートはこちら → FXチャート&レート:米ドル/円 日足

 何しろ、米利上げ継続やバランスシート縮小に、なお懐疑的な見方を持つ市場関係者が多ければ多いほど、これから米ドルが上昇する余地は大きい。よって、足元は懐疑論の方が主流であるだけに、米ドル高の継続が想定される。

 米利上げ継続やバランスシート縮小開始の可能性に懐疑的な見方を示す市場関係者の多くは、米景気回復を疑問視し、米小売売上高や米CPI(消費者物価指数)など米景気指標が予想に届かなかったことで悲観論に傾いた。

 また、ナスダック指数の最近の急落で「利上げ自体が株式市場を圧迫し、株式『バブル』が弾ければ米利上げもなくなるだろう」といったロジックに支配されている模様である。

 言い換えれば、リスクオフの本格化を心配しているわけだ。

■リスクオフの本格化は杞憂、調整自体が市場を健全化

 しかし、冷静に点検すればわかるように、米GDP成長率が2~3%ベースを維持している限り、リスクオフの本格化は杞憂であろう。

 また、本格的なリスクオフの進行がない限り、ハイテク株をメインとするナスダック指数の調整があっても、続くとは限らないうえ、調整自体がむしろ株式市場の健全化につながる。

 なにしろ、米三大指数はそろって史上最高値を更新し続けていたわけで、バブルであるかどうかは別にして、強いブルトレンドが継続されているから、途中のスピード調整はむしろ歓迎されるべきではないだろうか。

 要するに、米景気回復が続くという大前提が崩れていない限り、米金利低下、米ドル安は「行きすぎ」を極めており、すでに底打ちした可能性が大きい

 実際、米地方連銀の中には、アトランタ連邦準備銀行のように第2四半期GDP成長率の予想値を3%から3.2%へ上方修正した例もあって、トランプ大統領が示唆しているように、同期米GDP成長率が「大変よい」数字になる公算が高い。

 この意味では、マーケットコンセンサスの「弱気」が行きすぎで、いずれFRB(米連邦準備制度理事会)のように「強気」に傾いてくるだろう。

 足元はまだその初歩段階であり、市場センチメントの修正はこれからであるからこそ、米ドルの上昇余地が大きいとみる。

■上昇トレンドが長いというだけで米国株反転と考えるのは危険

 歴史的に考えて、景気回復が続く限り、米利上げ継続は可能であり、また、米利上げ継続が可能な限り、株式市場崩壊といったリスクは小さい。

 株式市場の本格的な反落は、むしろ利上げが続き、これ以上、利上げが難しいのでは…と疑われた時点において発生しやすいから、現時点はこのような環境にはほど遠い。

 米金利低下を、米利上げ継続に対する懐疑論がもたらした結果とみれば、現在はむしろ逆の環境にあるといえる。

 確かに8年も上昇トレンドを維持してきた米国株の状況は、未曽有のロングラリーとなっているが、これだけで米国株市場の反転を判断するのはリスキーな考え方だ。

NYダウ 月足
NYダウ 月足

(出所:Bloomberg)

 今まで米国株の「過熱」を理由に米国株を空売りしてきた筋が多かったが、彼らは例外なく破滅した。また、ショート筋の破滅があったからこそ、米国株の長期ブルトレンドがもたらされた側面も強かっただけに、米ナスダックの最近の急落も新たな「破滅組」の参入を誘っているようにみえなくもない。

■為替市場に限っては「トランプ・ラリー」の再来も!?

 筆者としては、為替市場に限っては、これからリスクオフばかりか、「トランプ・ラリー」の再来があってもおかしくないとみる。

 この理由はまた次回詳細を記すが、仮に「トランプ・ラリー」にならなくても、リスクオンに傾く公算は大きいとみる。

 その証明材料は何と言っても、米ドル/円のみでなく、クロス円(米ドル以外の通貨と円との通貨ペア)全体の強気変動がもっとも有力であろう。

世界の通貨 VS 円 日足
世界の通貨 VS 円

(リアルタイムチャートはこちら → FXチャート&レート:世界の通貨 VS 円 日足

 ユーロにしても英ポンドにしても、これから米ドルに対して続落しやすいとみるが、ユーロ/円、英ポンド/円は逆に上昇しやすいのではないだろうか。このような市況がみられたら、リスクオンの相場に違いないから、要注意だ。市況はいかに。

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