■市場参加者の意表をついた米経済指標
6月8日(木)の3大イベントが終わり、今週(6月12日~)は米国のFOMC(米連邦公開市場委員会)に注目が集まっていました。
【参考記事】
●6月8日、英欧米の重大イベントの行方は? ECB慎重姿勢でユーロ上昇の可能性低いか(6月8日、今井雅人)
しかし、その前に市場を驚かすような結果が発表されました。
14日(水)に発表された、5月の米消費者物価指数が、前月比でマイナス0.1%になってしまいました。食料品とエネルギーを除く数字のコア指数も前月比+0.1%と、予想値の+0.2%を下回る結果となりました。
(詳しくはこちら → 経済指標/金利: 米国主要経済指標の推移)
また、同時に発表された5月の米小売売上高は前月比マイナス0.3%と、事前予想値を大きく下回りました。
(詳しくはこちら → 経済指標/金利: 米国主要経済指標の推移)
こうした弱い経済指標を受け、米国の長期金利が急低下し、10年物国債の利回りは2.1%前半と、今年(2017年)に入って、もっとも低い水準まで低下しました。
(出所:Bloomberg)
それを受けて、為替市場では米ドル全面安となり、米/ドル円も一時、108円台まで米ドル安・円高が進行しました。
(リアルタイムチャートはこちら → FXチャート&レート:米ドル/円 30分足)
FOMCの結果をじっと待っていた市場関係者は完全に意表をつかれ、一気に相場が崩れてしまいました。
■FOMC、本当だったら米ドル高イベントだったのに…
その後、数時間して、FOMCの結果が発表されました。
予想どおり、政策金利を0.25%引き上げ、FF(フェデラル・ファンド)金利の誘導目標を、1.00%~1.25%としました。
それと同時に「政策正常化の原則と計画」、つまり、バランスシートの縮小プランを発表しました。
また、イエレンFRB(米連邦準備制度理事会)議長は定例記者会見で、消費者物価指数がマイナスになったことに対して、一時的なものであるとの見解を示し、全体的にはタカ派のイメージが残る結果となりました。
【参考記事】
●インフレ鈍化でFOMCは先行きに慎重か。利上げに向け、ドル/円上昇なら売りを狙う(6月13日、バカラ村)
●過去2回の米利上げ後は米ドル安に…。でも今回は違うとみる! それはなぜか?(6月9日、陳満咲杜)
本来であれば、こうした結果を受けて、米ドルが上昇するはずでしたが、やはりその前の経済指標のショックが大きすぎて、市場はうまく回復せず、米長期金利も低迷したままで終わってしまいました。
(リアルタイムチャートはこちら → FXチャート&レート:米ドル/円 15分足)
(出所:Bloomberg)
私自身も、FOMCをきっかけに米ドル高になると予想していただけに、この経済指標の結果にはかなり落胆しました。おそらく、多くの市場関係者が同じ思いでいるのではないでしょうか。
さて、こうした状況を受けて、市場はますます混沌と…
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