■“金利差そのもの”がテーマなら高金利の豪ドルに軍配
が、重要なことは、金利差の優位性は米ドルにあるが、金利差の縮小がユーロの戻しをもたらす材料として利用されたことであり、ここは見逃せない。これは実に今後の市況を占う重要なポイントである。
要するに、今までは金利差の傾向が取引のテーマとなっており、また、それは当面維持される公算だが、米ドル全体がだいぶ反落してきているから、今後は金利差そのものが取引のテーマとして利用される可能性が大きい。
だから、ドルストレートにおいて、米ドルに対して金利差で優位性をもつ外貨が一段と買われるだろう。この意味合いでは、ユーロ、英ポンドよりも豪ドルのほうに軍配が挙がる。
なにしろ、金利差それ自体は確実なものであり、単に思惑のみで消えるものではないからだ。
■本格的なリスクオフ局面がない限り、円買いの理由なし
では、円の状況はどうだろうか。金利差そのものはもちろん、金利差に関する思惑も、日銀のスタンスにより、一段と円安の方向にシフトしていることは明らかだ。
いくら米ドル安とはいえ、本格的なリスクオフの局面が再来しない限り、円買いの理由が見つからない。
金利差と逆行する米ドル売り・円買いはドルインデックスとの連動性との観点において完全な間違いとは言い切れないものの、基本的には継続されるロジックではなかろう。
■ナスダック10連騰! 米利上げ途上ではリスクオフの心配なし
では、ロシアゲートなどのリスク要素によって、リスクオフの局面が示唆されているだろうか。
米三大株価指数のうち、この間、一番大きな調整があったナスダック総合指数から考えると、むしろ逆の局面、すなわち、リスクオンの局面にあることが明らかであろう。
ナスダック総合指数は10取引日連騰、ここに来て6月の高値を再度更新しており、本コラムがたびたび指摘してきた事実の証左をしてくれている。
(出所:Bloomberg)
すなわち、経験上、米利上げ途上ではリスクオフの心配のほとんどが杞憂に終わるから、今回も然り。
だから、本格的な朝鮮有事など地政学リスクが再燃しない限り、米ドル売りの受け皿は金利上の優位性のある外貨に集中し、円は対象になれないと言い切れるだろう。
金利差の観点から、リスクオンの環境において、豪ドル/円はこれからユーロ/円のパフォーマンスを追い、90円の大台に乗せれば、92円の節目打診も射程圏内に収めよう。
(リアルタイムチャートはこちら → FXチャート&レート:豪ドル/円 日足)
■足元の米ドル/円に上昇を示唆するフォーメーションが成立
最後に、足元の米ドル/円について、1つフォーメーションが成立している可能性を指摘しておきたい。詳細は昨日(7月20日)のレポートの一部(以下)をもって説明する。
(出所:FXブロードネット)
ドル/円はスピード調整(反落)を終焉させ、これから上昇波に復帰してくる蓋然性は高まっている。本日日銀会合で物価目標達成期限の更なる見送りを決定、米FRBをはじめ、世界主要中銀のスタンスと政策の背離を拡大させ、円売り継続の土台が強化されたと思われる。
昨日111.55を試してかやや高く大引けしていたことは目先のポイント。同水準は6月安値を起点とした全上昇幅の半分押しに当たり、また重要なサポートゾーン(紫色表示)を再確認していた。同サポートゾーンは2月初頭の安値以来、いくつの重要な高、安値で示されてきただけに、同レベルにて下げ一服があれば、スピード調整が終焉、ブル基調へ戻るサインが点灯されやすいことが暗示され、またその可能性は大きいとみる。
もっとも、同サポートゾーンの確認で日足では複合型「ヘッド&ショルダーズ・ボトム」というフォーメーションの形成につながり、同フォーメーションの指示通りなら、これから大幅な上値余地を拓くでしょう。1月安値から形成されてきた大型「ソーザーボトム」の形成も支援材料。
市況は如何に。
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