■米ドル/円は典型的な「フェイクセットアップ」のサインを点灯
米ドル/円の状況は、ユーロ/米ドルほどではないとしても、似ていた。
8月安値を再更新し、4月安値に接近していたから、割り込むだろうと思われたからこそ、「逆襲」が起こったわけだ。
日足でみると、8月29日(火)の安値は4月安値に接近したものの、一転して高く大引けし、先週(8月21日~)の高値より高く大引けしていたから、典型的な「フェイクセットアップ」のサインを点灯していた。
「フェイク」とはダマシのことで、6月安値はもちろん、8月11日(金)、18日(金)の安値に対する一時の安値更新がダマシであった以上、逆の方向(つまり上昇)へ「セットアップ」された、という解釈がプライスアクションの視点においてできるわけだ。
■底打ちしたかどうかの最終確認は雇用統計後に確認できそう
とはいえ、冒頭で述べたように、ドルインデックスのサインも米ドル/円のサインもまだ初歩的な段階だったので、本当に底打ちしたかどうかはまだ検証しなければならない。
米ドル/円の底打ちの条件は、昨日(8月31日)配信したレポートで説明していたので、下記の内容をご参考いただければ、ポイントを押さえられるのではないかと思う。
(出所:FXブロードネット)
一昨日の安値更新、またその後の反転は日足において「フェイクセットアップ」のサインを点灯、昨日の続伸や目先の高値トライに繋がっていることは既述の通り。もっとも、北朝鮮ミサイルの発射がもたらした安値更新、また当日の大幅反騰で形成した値幅は先週の値幅を超え、週足では「アウトサイド」のサインでも点灯しているから、現在の水準をキープしているだけで底打ちのサインとして有力視される。
一方、「フェイクセットアップ」のサインが点灯されても直ちにトレンドを修正できる、即ち本当の底打ちのサインになるとは限らない。明日の米雇用統計を控え、ブルトレンドに復帰できるポイントを探ってみたい。
結論先に申すと、16日高値110.95(B)のブレイクが重要でまた底打ちの前提条件として有力視される。根拠としてやはり6月の底打ちのパターンが参考になれるのでは。
既述のように、6月の安値更新、2回の安値打診があってその後安値の間を形成された高値(A)のブレイクをもって底打ちが確認され、またその後GMMAにおける「トビウオ」のサイン(短期線と長期線のゴールデンクロス)が形成されたわけ。
従って、同じ条件で検証してみると、今回では、一昨日の安値更新が2回目の安値トライに当たるから、ここからの切り返し、1回目の安値(8月11日)との間における最高値(16日高値)の110.95のブレイクが条件になってくると思われる。途中18日の安値更新もあったものの、16日高値を起点としたジグザグ変動の一環として扱い、一昨日の「フェイクセットアップ」のサインをもって2番目底を確認されたわけ。
まとめてみると、一昨日のサインは強烈で底打ちのサインとして蓋然性が大きいが、最後の確認条件を満たせば7月高値を起点とした反落トレンドを修正できるでしょう。また、GMMAにおける「トビウオ」の形成も16日高値のブレイクを前提条件としているから、整合性から見ても底うちの条件としてこれからブレイクの有無が重要なポイントとみる。目先の続伸に鑑み、明日の米雇用統計を待たずに試す可能性も浮上しているが、最終効果は米雇用統計後の値動きによって証明されるのでは。ドル/円の底打ちを確認できれば、上値余地が大きいから、不確実性の高い米雇用統計前の判断や行動は性急かもしれない。少なくとも押し目を確認してからのエントリーが望まれる。
■ビットコインバブルは間もなく崩壊する!?
今晩(9月1日)の米雇用統計次第で、市況はまた波乱が起こる可能性があるが、筆者は基本的に米ドルの底打ちのサインが維持されるとみる。根拠の一部は上に開示した米ドル/円の説明に含まれているが、異なる視点でもう1つの根拠を加えたい。
それはほかならぬ、天井知らずのビットコインをはじめとした、いわゆる暗号通貨(仮想通貨)のバブルだ。
ビットコインなどの急激な上昇には、いろいろな背景あるが、主たるものは、やはり基軸通貨の米ドルに対する不信、また、2017年年初来の米ドル安の進行によるものではないかと思う。
(リアルタイムチャートはこちら → FXチャート&レート:ビットコイン/米ドル 4時間足)
しかし、近々ビットコインをはじめとして、暗号通貨のバブルが弾けてくると思う。
ビットコインを例に挙げれば、今はその価値が790億ドル(約8.7兆円)まで暴騰し、これはスターバックスの時価総額と同じ規模だという。
S&P500指数を構成する企業の87%の時価総額はビットコイン以下と言われる。いくら「明日の黄金」とはいえ、ここまでの暴騰ぶりはやはりバブルであろう。
そして、暗号通貨のバブルが弾けるとすれば、米ドル全体が底打ちする可能性が一段と高くなってくるのではないだろうか。市況はいかに。
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