昨日のアジア時間から欧州時間までは、ドル円は110円ちょうど近辺で小動き。これはアメリカの雇用統計を控えての様子見姿勢が強まったからだ。ただ週のレンジで見ると、ドルは高いレベルで張り付いていると言える。
火曜日に北朝鮮がミサイルを発射してから大きくリスク回避に降らされた後の切り返しの途中である。株価も上昇してきており、形の上ではリスクテークとなっている。問題はまだまだリスクテークしていくだけの余地があるかどうかである。
アメリカの雇用統計の結果は、就業者数が15万人台の増加にとどまり、失業率は4.4%、平均時給もプラス0.1%だけとなった。いずれも事前の予想を下回った。内容だけを見ると、かなりの失望ものである。それでファーストアクションとしてはリスク回避に向かうこととなった。
グローベックスでの米国株は下がり、為替相場ではドルが全面安。ドル円は109円台のミドルまで突っ込んだ。私も109円台に入ってからは何度かドル売りでトライした。しかしすぐに相場は反転しはじめたのである。
今回の雇用統計の結果だけでは9月FOMCでのバランスシートの縮小の方針は変わらないとみなされたからであろう。マーケットは即座に反転に向かいだして、米国株が始まる頃にはマーケットのすべてが元のレベルまで戻しきってきた。
私も110円台に乗せてくると同時にドル円を買い戻した。あまりにもあっけなく元に戻ったものだから、私としては戦闘意欲を失った。後はふて寝するだけである。終わってみれば米国株は実に狭いレンジ内におさまることとなった。
市場の関心はすでにこれから本格化する財政問題の行方に向いている。今週から米議会が再開するので、予算に関する法案の審議が開始される。オバマケアの見直しで財源を捻出するつもりであったものが、これは挫折している。
財源が足りない中、どうやって選挙公約にあるような大型減税やインフラ投資を進めていけるのか。まさか債務上限の引き上げだけをして、借金で賄えというわけでもないだろう。借金を増やして潤うGDP成長などは、偽善とみなされても仕方のないところだからだ。
週末には北朝鮮が核実験を行った。今日はアメリカが休みなのだが、どこまでマイナス材料をマーケットに織り込むのか。いつものように時間とともに不安は薄らいでいくのか。ドル円は早朝に109円台の前半まで突っ込んだが、この後も注目である。
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