■テクニカル的には、下値余地の拡大が危惧される
テクニカルの視点では、ドルインデックスが8月29日(火・北朝鮮ミサイル発射)安値を割り込んだことは大きいだろう。8月29日(火)の日足は、「たくり足」風なローソク足をもって下げ一服を示唆していたが、同安値を割り込んだことで、大幅に下値余地が拡大するのでは…と危惧される。
(出所:Bloomberg)
何しろ、同様の形状だった6月14日(水)のローソク足の下放れが確認された後、大幅に下落してきた経緯に照らして考えると、このような連想があってもおかしくない。
6月14日(水)安値から500pips以上の下落幅もあったから、この値幅で計算すると、ドルインデックスは86の水準をトライしてもおかしくなかろう。
■米ドル全面安のさらなる進行に懐疑的な理由2点
しかし、筆者はこのような展開、すなわち米ドル全面安がさらに進んでいくといったシナリオに懐疑的だ。
少なくとも仮に米ドル安が続くにしても、6月中旬から下落してきたような一直線な下落はなかなか現実的ではない。シンプルなロジックとして以下の2点を指摘しておきたい。
まず、地政学リスクを含め、米ドルにとって今はまさに「四面楚歌」の状況だ。ゆえに、足元の米ドル安は、あらゆるマイナス要素を織り込み、今のレートに反映させていると言える。
次に、6月14日(水)安値を割り込んでから、すでに大幅なドル安が進行してきたこと、また素直にテクニカルのサインの指示どおりに動いてきただけに、今回は「ダマシ」になる確率が高いと思う。
2番目のロジックは、ドルインデックスの週足を見れば一目瞭然だ。
(出所:Bloomberg)
確かに今は完全に8月29日(火)安値を下回っているが、状況は6月14日(水)安値を下回った6月後半とだいぶ違っている。
RSI(14)が24.06の数字を示し、2011年安値に対応したRSIの安値を大きく下回り、強烈な「リバーサル」のサインを点灯している。要するに、米ドル全体がかなり売られすぎの状況にあり、ここからの安値追いは賢明でないことが示唆される。
だから、7月末から一貫して米ドル安が進んできたにもかかわらず、日足ではむしろ強気「ダイバージェンス」のサインが煮詰まりつつあり、これが値動きに反応を起こさせる公算が大きいだろう。
(出所:Bloomberg)
もっとも有力なサインとして想定されるのが、8月29日(火)安値割れが一時的で、ここからリバウンドして「底割れ」自体が「ダマシ」であることを証左することであろう。
■「行きすぎ」を警戒、目先は逆張りも禁物!
ところで、米ドル/円はすでに4月安値を割り込んでいる。この動きが落ち着くまで106円台の下値トライも視野に入っており、また、ユーロ/米ドルの1.22ドルの節目トライも覚悟されるから、目先、逆張りも禁物であろう。
米ドル安一辺倒の市況はとうとうクライマックスの段階に入っているが、最後の「行きすぎ」がさらなるオーバーをもたらす可能性を警戒したい。市況は如何に。
(執筆時刻 14:00)
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