■先週までのマーケットはリスクオフ一色だった
みなさん、こんにちは。
先週、9月8(金)までのマーケットはリスクオフ一色。
・9月9日(土)は北朝鮮の建国記念日
・9月11日(月)は米国の同時多発テロがあった日
・9月11日(月)は国連安保理で北朝鮮への制裁決議
そのため、9月8日(金)はリスクオフ一色となりました。
米ドル/円は、節目の108.00円を抜けて一時107.32円まで急落し、警戒モード一色で週末を迎えます。

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■週明け以降も北朝鮮は動かず…。ドル/円は110円台後半へ
しかし、週を明けても北朝鮮からのアクションはなし。
9月11日(月)も何も起こらず…。そうした中、国連安保理で北朝鮮への制裁決議案は全会一致で採決されました。
内容は中国、ロシアに譲歩したことでかなり融和的になっており、骨抜きという見方もありますが、全会一致で採決されたことは大きな進歩。
これで北朝鮮が何か起こせば、制裁をもっと強化する流れになるのでしょう。
結果、米ドル/円の108.00円割れは「陰の極」となり、107円台は9月8日(金)の欧米市場のみで示現したものとなりました。
そして、今週(9月11日~)の東京市場ではギャップアップとなり、東京市場の参加者は107円台を見ることなく反発。

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その後の米ドル/円は、押し目らしい押し目もなく続伸し、一時110.73円まで急伸しています。
■米ドル/円が下げ止まったことを示唆する2つの理由
この一連の流れは、米ドル/円の下落トレンドのいったんの終焉を意味します。
まず、(1)ベアトラップ(※)です。
(※編集部注:「ベアトラップ」とは、安値を更新して下落トレンド継続になると思われたのに、それが反転上昇すること)
米ドル/円は、2017年を通してマーケットが何度トライしても割り込めなかった108.00円という重要な節目をいったん割り込んだのですが、週超えではギャップアップして108円台でスタート。
これがベアトラップとなり、米ドル/円は下げ止まったことを意味します。

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次に、(2)アイランドリバーサル(※)です。
(※編集部注:アイランドリバーサルとは、窓を開けた後に相場が反転し、再び窓を開けて元の水準へ戻った際に形成される「離れ小島」の様な形のこと)
前述のように、9月8日(金)の欧米市場でのみ示現した米ドル/円の107円台ですが、週明け(9月11日)のマーケットが108円台で始まったため、107円台は「離れ小島」に。典型的なアイランドリバーサルとなり、ボトムアウトを示唆しています。

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この2点から、米ドル/円は108.00円レベルで当面ボトムアウト。
■米債務上限問題3カ月延期に市場は否定的だが…
米ドル/円は米税制改革の行方が好転していることからも、底堅さを増しています。
民主党との協議により、トランプ大統領が債務上限問題を12月に3カ月延期したとの報道が出たとき、マーケットはおおむね否定的でした。
米債務上限問題が直近、危機を迎えなかったことは、ポジティブ材料なのですが、年末までに伸ばしたということは、年末に、またその討議をしなければなりません。
結果、税制改革の行方が混沌とするため、これは「株安・米ドル安」だという主張です。

マーケットがおおむね否定的だった米債務上限問題の3カ月延期だが、その背景には大型ハリケーンで被害を受けた、テキサス州、ルイジアナ州へのトランプ大統領の配慮があったようで…
(C)Mark Wilson/Getty Images
ただ、この件に関しては、米国の友人によれば、米議会は大型ハリケーンで被害を受けた、テキサス、ルイジアナ両州向けとなる緊急支援を迅速に承認できるよう、トランプ大統領が配慮したとのこと。
どうも、米国の3大ネットワークを筆頭とするメディアは、トランプ大統領に関する報道に否定的なバイアスがかかっているようなので、少し修正しておきたいところ。
結果として、マーケットのコンセンサスとなりつつあった「税制改革は来年(2018年)にずれこむだろう」という結論は、まだ早すぎるのではないかと考えています。
ただ、ボトムアウトしたと想定している米ドル/円ですが、暴騰するにはちょっと材料不足…。

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それは、後述のユーロ/米ドルが底堅く推移しているためです。
■ECBのテーパリングに向けてユーロ上昇は継続
ユーロ/米ドルも米ドル/円同様、先週、9月8日(金)に1.2092ドルという高値をつけて以降、米ドルの買い戻しが目立ち、反落しています。

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ただECB(欧州中央銀行)のテーパリング(※)を控えている通貨であるユーロの下値は限定的。
(※編集部注:「テーパリング」とは、量的緩和政策により、進められてきた資産買い取りを徐々に減少し、最終的に購入額をゼロにしていこうとすること)
懸念された、ユーロ高懸念コメントは当局から何度か出ているものの、トーンとしてはユーロの上昇スピードの抑制といったところ。
結果、ユーロ/円は底堅さを増しています。

(リアルタイムチャートはこちら → FXチャート&レート:ユーロ/円 日足)
本稿執筆時点のユーロ/円は131.20円近辺で推移。
仮に、このレベルで今週(9月11日~)のニューヨーク市場がクローズすれば、前回のコラムでご紹介させていただいたユーロ/円の200週移動平均線が効いてきます。
【参考記事】
●円高終焉…。ドル/円は上昇トレンド回帰か。ユーロ/円130円台半ば突破の意味とは…!?(8月31日、西原宏一)
仮に130.55円以上で引ければ、過去2カ月、ユーロ/円の上値を押さえていた200週移動平均線をブレイクしたことになり、上値余地はさらに拡大します。

(出所:Bloomberg)
次のユーロ/円の高値は、引き続き135円。中期では140円。
米ドル/円がアイランドリバーサルで下げ止まり。
テーパリングを控えたユーロ/米ドルは、底堅い動き。
結果、200週移動平均線をブレイクし、調整を終え、上値を伸ばし始めたユーロ/円の動向に注目です。
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