■頭打ちのユーロサイドからは今後悪材料が続出か
一方、スペイン・カタルーニャ州の独立騒動が発生しているように、ユーロの頭打ちが確認されたあと、ファンダメンタルズ上の材料もユーロ安の方向に傾き、また、より重視されるようになってきた。
(出所:Bloomberg)
カタルーニャ州がすぐ独立できるとは思わないが、これからも軋轢が続き、また、EU(欧州連合)圏の他の国家や地域へ波及していく恐れがあるから、ユーロを押し下げる政治リスクとしてくすぶるだろう。
スペイン・カタルーニャ州の独立騒動の影響は、EU圏の他の国家や地域へ波及していく恐れがあり、ユーロを押し下げる政治リスクとしてくすぶり続けるだろう (C)David Ramos/Getty Images
また、ユーロ高トレンドが一服し、トレンドが転換されていくなら、これからユーロサイドの悪材料続出を覚悟しなければならないだろう。米ドル高の可能性は、最大の相手であるユーロの事情からも検証できるかと思う。
■今晩の米雇用統計、市場の関心は5つ
だからこそ、今晩(10月6日)の米雇用統計は、より重要視されるだろう。米ドル高を一段と押し上げるか、それともせっかくできた米ドル高の芽がまた摘まれるか。市場の関心は、以下の5つに絞られるとみる。
1.ハリケーンの影響はどうなるか…新規雇用者が10万人を超えれば、ハリケーンの影響は希薄ということになり、米経済環境の強さが証明されるだろう。
2.失業率…最近の米失業率は過去16年間の最低水準にあり、さらなる低下は難しい情勢であることに注意。
3.平均時給の伸び…最近この数字は長期平均を下回っているから、より重視されるかもしれない。
4.労働参加率…近年、米経済成長が続く中、25才~54才の就労者の比率が低下する傾向にあるから、労働参加率増加の有無がひとつ検証の材料になってこよう。
5.業界の動向…米製造業はトランプ氏当選前から雇用を増やしてきた。最近、一段と生産拡張の兆しを見せているから、製造業の雇用者数は増えるはずだと思われる。
■米ドル/円と米雇用統計の数字は相関関係が高い
前述のように、昨日(10月5日)までの米経済指標の多くは米景気の好調さを示しているから、懸念されてきたハリケーンの悪影響は、想定されるほどではないといった思惑が高まっている。この思惑が正しければ、今晩(10月6日)の米雇用統計も悪くない、といった推測につながるわけだ。
仮にこのような思惑、あるいは推測が正しければ、一番注意すべき通貨ペアは、やはり米ドル/円であろう。
なぜなら、米ドル/円は米雇用統計の数字と75%もの正の相関関係を示してきたから、今晩(10月6日)の数字が良ければ、米ドル/円上昇の確率も75%と高い。対照的に、ユーロ/米ドルと米雇用統計の関係は、想定されるほど逆相関ではないとの統計上の研究結果があり、英ポンド/米ドルも55%の相関性しかないという。
したがって、今晩(10月6日)の数字が良ければ、米ドル/円の上昇、またクロス円(米ドル以外の通貨と円との通貨ペア)の上昇が想定されやすいから、要注意だ。
米ドル/円に限って言えば、113.30~114.50円は目先のターゲットと言えるだろう。
すぐに115円の節目以上のターゲットを狙えるかどうかは難しいところだ。これは雇用統計次第というよりも、市場のセンチメント次第だと思うが、少なくとも一気に打診したり、ブレイクしたりすることはないだろう。
反面、米雇用統計の中身が悪ければ、111円の節目~111.95円といった下値打診を覚悟。が、底割れして米ドル安のトレンドへ再復帰、といった市況にはならないと思う。
(出所:Bloomberg)
いずれにせよ、今晩(10月6日)の焦点は米ドル/円であり、また、クロス円である。筆者としては引き続き円安トレンドの継続を重視する視点でフォローしていきたい。市況は如何に。
(13:00執筆)
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