■肝心なのは、材料自体ではなく、マーケットがどう反応するか
もっとも、この間、いろんな材料が出たから、相場も振り回された。
米減税案の可決で安心したとたん、「ロシアゲート」捜査の進展、北朝鮮問題や中東問題など波乱の材料が相次いで浮上、米国株の高値波乱やビットコインの急騰などもあったため、市場関係者は総じて落ち着かず、右往左往してもおかしくなかった。
英ポンドに関しては、やはりEU離脱談判に関する材料やウワサに左右されるところが多かった。特にユーロ/英ポンドの動向が英ポンドの上下を決定する局面が多かったと思う。
しかし、肝心なのは、日々変化するファンダメンタルズ上の材料ではなく、マーケットがどのように反応するかであろう。
■金の値動きを見れば、リスクオフでないことは明白
今回の「ロシアゲート」捜査で相場が大きく崩れるとか、トランプ政権によるイスラエルのエルサレム首都認定で次の中東戦争を引き起こすなどの見方も多いが、相場の値動きを見る限り、いわゆるリスクオフの動きは見られていないと言えるのではないだろうか。ゆえに、円安は続くと思う。
一番よい証拠となるのは、金の値動きであろう。いろんな騒ぎがあったにもかかわらず、米ドル建ての金は1300ドルからほぼ一本調子に急落し、8月安値を下回った。
(出所:Bloomberg)
銅の急落に釣られたとか、ビットコインの急騰で金のリスクヘッジの機能が失われたとかの解釈もあったが、基本はリスクオンの継続という視点でみれば、金の下落は当然の成り行きと結論付けられるだろう。
換言すれば、金の9月高値打診は「トランプラリー」への反動にすぎず、目先、再度「トランプラリー」のトレンドへ復帰していく可能性もある。
■市場は「トランプラリー2」の段階に入るか
「トランプラリー」の本質は、米税制改革にインフラ投資といったトランプ氏の新政に対する過大な期待だった。
しかし、2017年の年初以降、トランプ政権のゴタゴタ、また一向に進まなかった政策推進に相場が失望し、米ドル安や長期金利反落をもたらした。
期待が過大だったので、失望による反動も大きかったが、米税制改革に成功しつつある上、トランプ氏がインフラ投資計画を推進しやすい環境にあることは間違いない。
市場はそれに注目し、やっと「過熱しないトランプラリー2」の段階に入るのではないだろうか。こちらは今回の結論としてまず記しておき、詳細はまた次回に譲るが、最後に米ドル/円について一言。113円の節目を回復できているから、次は3月高値115.50円のブレイクに照準…
(リアルタイムチャートはこちら → FXチャート&レート:米ドル/円 週足)
市況はいかに。
(13:30執筆)
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