■ユーロ/円、英ポンド/円は高値更新が既定路線!
前回のコラムでは、ユーロ/円、英ポンド/円の上値余地を指摘させていただいた。今晩(12月8日)、米雇用統計があるから、数字次第で一波乱もあり得るが、ユーロ/円、英ポンド/円の高値更新を既定路線と見なし、今日(12月8日)は更新しなくても、来週(12月11日~)更新していくと思う。
【参考記事】
●米長期金利上昇で米ドル下げ一服。ユーロ/円、英ポンド/円は大幅上昇も!?(2017年12月1日、陳満咲杜)
前回はユーロ/円の説明をしたので、今回は英ポンド/円の内部構造をみてみよう。高値更新の可能性がどこにあるかに関して、以下のレポート(11月29日作成)を見ればおわかりいただけるだろう。
(出所:FXブロードネット)
昨日ポンド/円は波乱し、また陽線引けをもって重要なサインを点灯した。10月安値に再接近しただけに、二番底を形成、また10月安値と「ダブル・ボトム」を形成してから切り返しを果たし、ブル基調の回復を図れるとみる。
10月安値は10月9日の陽線をもって証左され、同日の安値が一時9月高値を起点とした下落波の安値を更新したものの、6日の高値より高く大引け、典型的な「リバーサル」のサインを点灯してから底打ちを示し、11月1日高値151.94への切り返しをもたらしたわけ。
今回の二番底、10月安値に対する再確認、という意味合いにおいて、より鮮明したサインを点灯したとみる。10月9日の安値に接近したが、一転して高く大引け、ザラ場の高値は11月23日以来の高値を果たしただけに、昨日の強気「リバーサル」が「フェイクセットアップ」のサインとしても点灯された模様だ。
二番底を形成したわけだから、ここからは切り返す構造がより鮮明化される見通しで、また必然的に「ネック」の役割を示した11月1日高値151.94の打診やブレイクにつながる。ブレイクがあれば、高値更新の道筋も付けられると思う。
その後の進展は想定どおりであり、また、米減税案の上院通過もあった12月4日(月)には、英ポンド/円はいったん高値更新を果たした。しかし、同日(12月4日)のうちに大きく反落して安く大引けし、12月6日(水)の安値149.75円まで大きく反落した。

(リアルタイムチャートはこちら → FXチャート&レート:英ポンド/円 4時間足)
12月4日(月)のローソク足が「塔婆風」だっただけに、その高値更新が結局「ダマシ」だったのでは…と疑われたが、プライスアクションのサインを丹念に検証すれば、その見方は杞憂であることがわかる。
理屈は12月7日(木)のレポートにて書いたので、以下の原文をご参照いただきたい。
(FXブロードネット)
ポンド/円は昨日大幅続落、またレンジ内に押してきた。12月4日の罫線、(C)「スパイクハイ」であり、また高値を一旦更新しただけに、昨日安値までの反落につながったのも余程なサプライズとは言い切れないが、4日の罫線、トレンドを反転させる「フォールス・ブレイクアウト」に化すかどうかは問題として浮上してきた。
要するに、トップアウトのサインと化していたなら、9月高値と「ダブルトップ」を形成、これから大型レンジの下放れを果たすでしょう。しかし、デイリーでの記述の通り、その可能性は低いと思われ、なお上放れの蓋然性が高いとみる。
なにしろ、11月28日の罫線(B)は「フォールス・ブレイクアウト」、また「フェイクセットアップ」のサインとして証左されてきた、もっとも有力の証拠は11月1日高値(A)のブレイクを果たしたところであろう。換言すれば、12月4日の罫線がもたらした調整の意味合いが昨日の大幅反落をもって証左されたが、同意味合い、あくまで11月安値を起点とした上昇波におけるスピード調整にあり、拡大解釈されるべきではない、ということだ。
案の定、昨日(12月7日)、英ポンドは大きく反騰し、執筆中の現時点では、英ポンド/円はまた月曜(12月4日)高値に接近しているから、再度高値更新の準備ができているとみる。
■肝心なのは、材料自体ではなく、マーケットがどう反応するか
もっとも、この間、いろんな材料が出たから、相場も振り回された。
米減税案の可決で安心したとたん、「ロシアゲート」捜査の進展、北朝鮮問題や中東問題など波乱の材料が相次いで浮上、米国株の高値波乱やビットコインの急騰などもあったため、市場関係者は総じて落ち着かず、右往左往してもおかしくなかった。
英ポンドに関しては、やはりEU離脱談判に関する材料やウワサに左右されるところが多かった。特にユーロ/英ポンドの動向が英ポンドの上下を決定する局面が多かったと思う。
しかし、肝心なのは、日々変化するファンダメンタルズ上の材料ではなく、マーケットがどのように反応するかであろう。
■金の値動きを見れば、リスクオフでないことは明白
今回の「ロシアゲート」捜査で相場が大きく崩れるとか、トランプ政権によるイスラエルのエルサレム首都認定で次の中東戦争を引き起こすなどの見方も多いが、相場の値動きを見る限り、いわゆるリスクオフの動きは見られていないと言えるのではないだろうか。ゆえに、円安は続くと思う。
一番よい証拠となるのは、金の値動きであろう。いろんな騒ぎがあったにもかかわらず、米ドル建ての金は1300ドルからほぼ一本調子に急落し、8月安値を下回った。

(出所:Bloomberg)
銅の急落に釣られたとか、ビットコインの急騰で金のリスクヘッジの機能が失われたとかの解釈もあったが、基本はリスクオンの継続という視点でみれば、金の下落は当然の成り行きと結論付けられるだろう。
換言すれば、金の9月高値打診は「トランプラリー」への反動にすぎず、目先、再度「トランプラリー」のトレンドへ復帰していく可能性もある。
■市場は「トランプラリー2」の段階に入るか
「トランプラリー」の本質は、米税制改革にインフラ投資といったトランプ氏の新政に対する過大な期待だった。
しかし、2017年の年初以降、トランプ政権のゴタゴタ、また一向に進まなかった政策推進に相場が失望し、米ドル安や長期金利反落をもたらした。
期待が過大だったので、失望による反動も大きかったが、米税制改革に成功しつつある上、トランプ氏がインフラ投資計画を推進しやすい環境にあることは間違いない。
市場はそれに注目し、やっと「過熱しないトランプラリー2」の段階に入るのではないだろうか。こちらは今回の結論としてまず記しておき、詳細はまた次回に譲るが、最後に米ドル/円について一言。113円の節目を回復できているから、次は3月高値115.50円のブレイクに照準…

(リアルタイムチャートはこちら → FXチャート&レート:米ドル/円 週足)
市況はいかに。
(13:30執筆)
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