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ザイFX!で2017年を振り返ろう!(1)
為替相場よ、トランプ・ラリーは何処へ?

2017年12月15日(金)14:00公開 (2017年12月15日(金)14:00更新)
ザイFX!編集部

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■株式市場は絶好調! 日経平均は連騰記録を更新

 米ドル/円は、そんな感じの動きとなりましたが、トランプ・ラリーをきっかけとしたリスクオン相場が、他の金融市場でも終わってしまったのかといえば、そういうわけではありませんでした。

 好調な企業業績などを背景に、株式市場ではNYダウが断続的に史上最高値を塗り替えながら、年末にかけて一段と上値を拡大

NYダウ 週足
NYダウ 週足

(出所:Bloomberg)

 ナスダックやS&P500といった、その他の米国の代表的な株価指数も、最高値を何度も塗り替えました。

 こうした中で、夏まではもたついている印象があった日経平均も、9月に入ると一気に上昇。10月には過去最長の16連騰という歴史的記録を作り、11月に一時、2万3000円台まで駆け上がるなど、株式市場は大いに盛り上がりました。

日経平均 週足
日経平均 週足

(出所:Bloomberg)

■株高でも米金利が上昇しなかったのはなぜ?

 株式市場は絶好調だったのに、なぜ、米ドル/円は上昇しなかったのか? その原因の1つは、米長期金利(10年物国債の利回り)の動きにあったのではないでしょうか。

米長期金利(米10年債利回り) 週足
米長期金利(米10年債利回り) 週足

(出所:Bloomberg)

 FOMC(米連邦公開市場委員会)は今年、ほぼ予定どおりに3回(3月・6月・12月)のFF(フェデラル・ファンド)金利引き上げ、すなわち利上げを実施しました。米国のインフレ率は思ったほど上昇しませんでしたが、失業率が4.1%まで低下するなど労働市場が一段と改善し、景気が安定していたためです。

 さらに、9月のFOMCでは、FRB(米連邦準備制度理事会)の保有する資産を段階的に減らしていくことも決定し、10月から実行しています。非伝統的な金融緩和策を続ける日本やユーロ圏を尻目に、米国は着実に金融正常化への歩みを進めてきました。

※FRBのデータを基にザイFX!が作成

 通常、先進国が政策金利の引き上げを実施すると、その国の債券は売られて利回りは上昇するというのが一般的な考え方です。しかし、米国の利上げ自体がすでにマーケットに織り込まれていたこと、過去と比較して利上げのペースが非常に緩やかといったことなどが、「利上げ=債券利回り上昇」という、一般的に言われる動きにつながらなかった可能性があります。

 また、ここにもトランプ大統領の影響があったのかもしれません。

 トランプ政権が9月に発表した、法人税率の引き下げなどを盛り込んだ税制改革案の中身は、市場の事前の想定とさほど変わらず、サプライズの少ないものでした。

 もちろん、実現すれば米国経済にポジティブな影響を与えることは間違いなさそうですが、議会で上院案と下院案の一本化に向けた作業が続いていることもあり、トランプ政権が目標とする年内の実現が叶うのか、本記事公開時点では、まだ予断を許さない状態です。

 そして、米国と北朝鮮の挑発合戦で地政学的リスクが高まったり、日欧の金融政策がまだ緩和的で債券の利回りが超低く、利回りが相対的に高い米国債が買われやすかったという要因も、米長期金利の上昇を抑制したようです。

■ドンパチは回避。でも、北朝鮮への警戒感は継続

 2017年のマーケットのトピックスとして、忘れてはならないのが、先ほども触れた北朝鮮の動向による地政学的リスクの高まりです。

 一番の大きなきっかけは、北朝鮮の建国指導者、金日成氏の生誕を祝う4月15日(土)の「太陽節」前後に、北朝鮮が核実験を実施するとの情報が流れたことです。北朝鮮が核の小型化に成功し、米国本土に届くICBM(大陸間弾道ミサイル)が完成すれば、トランプ政権のレッドライン(越えてはならない一線)を超えることになると思われたからです。

 これを受けて、米太平洋軍司令官が原子力空母「カール・ビンソン」を主体とする米国の空母機動部隊を、西太平洋に向けて北上させていると発表。北朝鮮に向かっている(※)と受け止められ、緊張感が一気に高まりました。

(※あとになって、北朝鮮の海域には向かわず、南シナ海で訓練を実施したあと、インド洋に向かったことが判明した)

【参考記事】
米軍の北朝鮮攻撃はあるのか? ないのか? 元航空自衛隊空将が語る攻撃の前兆とは?(4月18日、織田邦男)

4月に北朝鮮が核実験を実施する可能性があると伝わり、これに呼応するように、米太平洋司令軍司令官が、写真の原子力空母「カール・ビンソン」を主体とする米空母機動部隊を北上させていると発表した。実際、北朝鮮には向かっていなかったが、このあたりから市場では地政学的リスクが意識される展開に (C)U.S. Navy/Getty Images

 その後も、4月25日(火)の朝鮮人民軍創建記念日、7月27日(木)の祖国解放戦争勝利記念日、9月9日(土)の建国記念日、10月10日(火)の朝鮮労働党創建記念日……と、北朝鮮でイベントがあるたびに地政学的リスクが意識される展開に。実際にミサイルが発射されたときだけでなく、不穏な動きが伝わっただけでも、リスク回避的に円が買われるような場面が何度もありました。

 米ドル/円はリスク回避の円買いで下落、という動きを繰り返し、9月2日(日)に北朝鮮が水爆実験を成功させると、建国記念日を翌日に控えた8日(金)のマーケットで警戒感が最高潮に到達。今年の安値、107.32円をつける展開となりましたね。

米ドル/円 週足
米ドル/円 週足

(リアルタイムチャートはこちら → FXチャート&レート:米ドル/円 週足

 その後も、11月にトランプ大統領が北朝鮮をテロ支援国家に再指定して、新たな経済制裁を発動。その数日後に、北朝鮮が米国本土への到達が可能とみられるICBMを発射するなど、両国の関係が良好なものになるにはまだ遠い状態です。

 幸いにも、北朝鮮のミサイル発射が減っていることや、米国や中国が北朝鮮とウラで交渉を継続しているといった説もあり、いっときほどの高い緊張感はなくなっています。相場的には「北朝鮮が何かやっても、慣れてしまって反応しにくくなった」といった面もありますね。

 とはいえ、地政学的リスクが完全に闇に葬りさられたわけではありません。2018年も、折に触れて、米朝関係がマーケットのテーマの1つとして意識される展開は続きそうです。

 寒波やハリケーンの被害に見舞われながらも、米国経済は2017年も…

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