■自公圧勝でリスクオン相場に
政局と言えば、日本でも「モリカケ問題」への追求が激しくなる中、安倍首相が衆議院の解散を決定しました。
小池百合子・東京都知事が新党「希望の党」を立ち上げて注目を浴び、その希望の党に多くの民進党所属だった議員が合流したり……。ワイドショー的な話題が中心となってしまい、政策論戦はそっちのけになった印象もありましたが、10月22日(日)に衆院選の投開票が実施されましたね。
いざ、蓋を開けてみると、一時、台風の目となりかけた希望の党は、小池代表(当時)の失言問題も痛手となって議席数を公示前勢力から減らし、自民・公明の両党だけで、憲法改正の発議に必要な3分の2以上を獲得する、自公圧勝と言える結果で幕を閉じました。
【参考記事】
●台風の目は現れず自公圧勝。週明けのドル/円は一時114円台、日経平均15連騰へ!
これで、安倍政権が2021年まで続く可能性が高まり、政権の安定とアベノミクス相場継続への期待から、マーケットでは「株高・円安」が意識されました。特に、日経平均の大幅な続伸につながる結果となりましたね。
■日銀は存在感を発揮できず……。黒田総裁は続投?
こうした中、際立った存在感を発揮できなかったのが、超緩和策を絶賛実施中の、黒田総裁率いる日銀でした。
日銀はこれまで、「黒田バズーカ」と呼ばれた大規模な金融緩和を次々と発動し、2016年にはマイナス金利を導入してきました。しかし、2017年は、ここまでに開催された7回の金融政策決定会合すべてにおいて、金融政策の現状維持を決定。12月20日(水)~21日(木)に開催される、今年最後の金融政策決定会合でも、金融政策が据え置かれる見通しです。
【参考記事】
●ザイFX!で2016年を振り返ろう!(3) 日銀マイナス金利導入! ヘリマネ騒動も…
今年、一切の金融政策変更がなかった日銀。黒田総裁率いる日銀が追加緩和に動かなかったのは、インフレの低下リスクがなくなったということ? (C)Bloomberg/Getty Images
追加緩和がなかったとはいえ、インフレ率が目標の2%に到達すると想定する時期は、2019年度ごろへ、またしても先送りされました。
旧・民主党政権下で任命され、金融緩和策の修正を主張していた2人の日銀審議委員が退任し、リフレ政策を支持するメンバーが揃ったことで、主要国と比べて超緩和的な金融政策は、当面、続くことになりそうですね。
黒田総裁は、来年、2018年4月に任期を迎えます。後任人事を巡っては、政府・与党内からもさまざまな憶測が浮上しましたが、黒田総裁の続投というシナリオが、現時点では基本路線になっているようです。
しかし、もし、黒田さん以外の人が次の日銀総裁に任命されれば、今の金融政策がさらに緩和的か、もしくは出口に向かうのかはわかりませんが、少なくとも、マーケットにそれなりのインパクトを与えることになりそう…。
(「ザイFX!で2017年を振り返ろう!(2)英離脱交渉難航!? ECBがテーパリングへ!」へつづく)
(ザイFX!編集部・堀之内智)
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