■日本の総選挙は与党大勝
みなさん、こんにちは。
注目の日本の総選挙は、与党大勝という結果に。
【参考記事】
●与党圧勝で海外勢の日本株買いが再開? 米ドル/円は目先114円台半ば突破がカギに(10月23日、西原宏一&大橋ひろこ)
この結果はコンセンサスどおりであり、米ドル/円は一時、セル・ザ・ファクトによる利益確定の売りに押される局面もありましたが、円安の流れは変わらず、本稿執筆時点での米ドル/円は113円台ミドルで底堅く推移しています。

(リアルタイムチャートはこちら → FXチャート&レート:米ドル/円 4時間足)
この「米ドル高・円安」の背景には、ひさしぶりに本邦機関投資家からの米ドル買いがマーケットに投入されたことが大きな要因となっているようです。
■総選挙後の市場で注目を集めた「オープン外債」
日本の総選挙明けとなった今週(10月23日~)の米ドル/円相場で、マーケット参加者の注目を集めたのが、「オープン外債(為替をヘッジせず、オープンで投資する外債)の増加」という報道でした。
日生:新規資金の大半をオープン外債に、国債抑制継続-下期計画
日本生命保険は今年度下期(2017年10月-18年3月)の運用計画で、上半期と同程度と見込む新規資金の大半を、為替リスクを回避しないで投資するオープン外国債券に振り向ける方針だ。分散投資の推進や中長期的な視点での収益向上に取り組む。
24日記者説明した秋山直紀財務企画部長によると、下期の新規資金は上期の約8400億円と同程度を見込んでおり、「国内債券は少なくとも増やせる状況ではない。増加資金で増えるところは外国債券と株が少し」と述べた。
国内金利が低位で推移する中、下期の国内債券は、引き続き国債への投資は抑制。社債などクレジット投資は積み増し、全体の残高は横ばいとなる見通し。上期は残高が400億円減った。運用の中心となる超長期国債の利回りはやや上昇したが、国債投資の積み増し再開の水準については「20年-30年債で1%が引き続きの目線」と述べた。
外国債券の残高は増加を見込む。為替リスクを回避(ヘッジ)した形で投資する外国債券と、ヘッジせずにオープンで投資する外債を、為替や金利水準に応じて機動的に為替リスクのコントロールしながら配分する。
ヘッジ外債の残高は減少を計画。ヘッジコストの上昇が見込まれる中、上期に前倒しで5100億円積み増した。オープン外債の残高は積み増す。積み増す為替水準について、秋山氏は「金利がより高ければ多少、為替水準は幅が広くなる。金利が低ければたとえ円高でも投資するのはどうか」と述べた。上期は2300億円増となった。保有する外貨建て資産全体の通貨配分は米ドル6割、ユーロが2割。
出所:Bloomberg
マーケットでは、本邦機関投資家が下半期にオープン外債を増やすのではないか? という見方が増えていましたが、この「日本生命」の記事により、その信憑性が高まったといえます。
加えて「日本生命」だけではなく、他の生保も同様のコメントをしています。
住友生命:ヘッジ外債を増加
為替ヘッジしないオープン外債は、円高・ドル安が進んだ局面で「少し拡大」する。今年度末の円相場は1ドル=115円と予想。米国の金融正常化と日本銀行の金融緩和継続を背景とした日米金利差の拡大で円安基調が続き、110円がドル安の限界になってくる可能性があると読む。
上期も外債の残高を6400億円増やしたが、ヘッジ付きが中心だった。外株等は500億円積み増した。「外債投資はドル安局面でのオープン外債を検討、USDJPYの110円にかけて押し目での投資を検討」等の運用計画を発表した。
出所:Bloomberg
つまり、「住友生命」はオープン外債は少し拡大するも、米ドル/円が110円への下落時に検討するといったところ。
どちらにせよ、これまでと変わらず円高局面では、彼らからの米ドル需要が出るといったところ。
この一連の「オープン外債」の報道により、米ドル/円の上値余地はさらに拡大。
節目の114~115円レベルを抜くには一定の時間を要するのでしょうが、中期の米ドル/円の目標は変わらず118円。
【参考記事】
●円安トレンド回帰で米ドル/円は118円へ! 続落サイン点灯!? ユーロ/英ポンドに注目(9月28日、西原宏一)
●米大型減税の行方がマーケットの関心事。米ドル/円118円上昇のカギを握るのは…!?(10月19日、西原宏一)

(出所:Bloomberg)
■NZ次期首相がRBNZの大幅改革を示唆
米ドル/円に加え、今週(10月23日~)のマーケット参加者が注目しているのが、NZドル。
NZドルが注目を集めた理由は、先月(9月)のニュージーランドの総選挙を受けた連立工作で、NZファースト党のピーターズ党首が労働党を選び、政権交代が実現する見込みになったことでした。
これを受け、NZドルは反落。

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NZドルの下落の理由は、アーダーン・ニュージーランド労働党党首(若干37歳!)がRBNZ(ニュージーランド準備銀行[ニュージーランドの中央銀行])の改革を示唆していること。

写真は労働党党首でNZ次期首相のアーダーン氏。NZドル下落の理由は、同氏がRBNZの改革を示唆していることにあるという (C)Hagen Hopkins/Getty Images
RBNZは、ニュージーランドの中央銀行のこと。
RBNZはインフレターゲティングを世界で最初に導入した中央銀行として有名です。
政府と中央銀行の間でインフレ目標を定める「政策目標合意=PTA(Policy Targets Agreement)」が初めて締結されたのが、1990年3月。
これ以降、RBNZに課せられている責務は物価安定のみ。
しかし、労働党は完全雇用の達成も中銀に義務付けたい考えを持っています。
加えて、金融政策の決定も総裁だけでなく、外部メンバーを含めた委員会で決めることも提案している模様…。
これによって、来年(2018年)のRBNZの利上げ見通しは大きく後退。
これは、NZドルにとってネガティブです。
■NZの新しい政策がNZドルにとってネガティブに…
次にNZドルの上値を押さえているのが、NZファースト党の移民政策。
若く才能ある移民を積極的に受け入れて経済を活性化してきたニュージーランドですが、その年間の受け入れ枠を減らす政策のようです。
結果、ニュージーランドの新しい政策はNZドルにとってネガティブであるとするマーケット参加者が増えていることから、NZドルは、じわじわと下落基調に。

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個人的には大幅改革迫られる可能性が高まったRBNZの行方に注目しています。
上値余地が拡大している米ドル/円と、RBNZの改革の可能性が報道されているNZドルの反落に注目です。
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