■日本・米国ともに株式は調整模様に…
みなさん、こんにちは。
昨年(2017年)末から、ほとんど調整なく続伸してきたNYダウですが、1月後半になって失速…。
1月30日(火)のNYダウは、362ドルも値を下げ、徐々に調整色が濃くなっています。

(出所:Bloomberg)
アップル社が製造・販売しているiPhoneXの減産報道が、センチメントを悪化させるきっかけとなっているようです。
呼応して、日経平均も年初の急伸相場とは打って変わり、ジリ安の展開で、1月31日(水)には、今年(2018年)のスタート地点である2万3000円レベルまで値を崩しています。

(出所:Bloomberg)
日本、米国とも、株に調整色が見えてきた要因の1つは、米金利の上昇。以下は、米10年債利回りの月足チャートです。

(出所:Bloomberg)
米10年債利回りは、2007年6月の5.3228%から大きく値を落とします。その後、2012年から下げ渋り、反発。
そして、先月(1月)、2007年6月から上値を抑えていたレジスタンスを突破すると、2月1日(木)には、一時2.7331%まで上昇しています。
■「米金利の上昇・株高・米ドル安」は、しっくりこない…
この米国債の動きは、年初から多くの著名債券トレーダーが警告していました。
まず、1月11日(木)のコラムでご紹介させていただいたように、債券王として有名なビル・グロス氏(※)。
(※編集部注:「ビル・グロス氏」は、「債券王」の異名を持つ世界的に有名なファンドマネージャー)
【参考記事】
●米ドル/円、株や米長期金利の上昇に追随できず…。111円割れなら107円台も視野!(1月11日、西原宏一)
そして、今週(1月29日~)もう一人、個人的に注目したのが、ジェフリー・ガンドラック氏のコメント。
「ガンドラック氏の警告」
富豪の債券投資家、ジェフリー・ガンドラック氏は、金利上昇とドル安という「危険なカクテル」について投資家は判断を誤るべきではないと警告した。
ダブルライン・キャピタルの最高投資責任者(CIO)である同氏は29日、「そこら中にセンチメントの熱狂が見られる」とツイート。「心してリスクを管理せよ」とトレーダーらにアドバイスした。
同氏は今月、S&P500種株価指数が2018年通年で下落するとの予想を示した。仮想通貨や、短期的な利益を狙う新興市場での取引についても警鐘を鳴らした。
出所:Bloomberg
ガンドラック氏が指摘するように、個人的にも今回の「米金利の上昇・株高・米ドル安」が共存しているところが、しっくりこないところ。
仮に、このまま米金利が続伸すると、株の調整を誘引するのではないかと想定しています。
そして、米金利の上昇にも連動しない米ドルの下落は、やはり先週、1月24日(水)のムニューシン米財務長官の「米ドル安歓迎コメント」が効いているのではないかと想定しています。
【参考記事】
●ヘッジファンドの狙いは「日銀トレード」!? ドル/円は戻り売り継続で107円台前半へ…(1月29日、西原宏一&大橋ひろこ)
■ムニューシン財務長官の米ドル安歓迎発言は本音?
トランプ大統領が就任して、はや1年。
この間、(米ドル/円相場中心に見ていると、レンジ相場と錯覚しそうになりますが…)対ユーロ中心に、米ドル相場は下落。
【参考記事】
●2018年初頭に注目したいのはユーロ/円!米中間選挙に向けて米ドル/円は105円へ(2017年12月21日、西原宏一)

(リアルタイムチャートはこちら → FXチャート&レート:ユーロ/米ドル 日足)
2018年に入り、トランプ政権は、「税制改革」から「通商問題」に焦点を移行。貿易赤字を縮小するには、自国通貨安が有利です。
【参考記事】
●米通商問題が争点となり米ドル安が進む。ドル/円は110円が決壊! 次は105円へ…!?(1月25日、西原宏一)
そして、先日(1月24日)のムニューシン米財務長官の「米ドル安歓迎」コメント。
このコメントに対し、ECB(欧州中央銀行)のドラギ総裁などから、かなり強い口調で反論されたため、今週(1月29日~)に入って、ムニューシン米財務長官は、自身の「米ドル安歓迎コメント」を訂正しています。
【参考記事】
●ヘッジファンドの狙いは「日銀トレード」!? ドル/円は戻り売り継続で107円台前半へ…(1月29日、西原宏一&大橋ひろこ)

ドラギECB総裁などから、強い口調で反論されたため、ムニューシン米財務長官は米ドル安歓迎コメントを訂正した… (C)Bloomberg/Getty Images
このムニューシン米財務長官の「米ドル安歓迎」コメントに対し、マーケットでは、彼の失言という論評が目立ちます。
ただ、それが失言であったということは、逆に「米ドル安歓迎=本音」であり、少なくとも短期では、米ドル安を望んでいるのではないかという意見を持つマーケット参加者が増えています。
個人的には、マーケットにそう思わせようと意図的に失言したと勘ぐっています。
ビル・グロス氏やガンドラック氏が懸念していたように、今年(2018年)の米10年債利回りは続伸。そして、米金利や米国株の上昇に、まったく追随してこない今年(2018年)の米ドル/円相場…。
このことは、米ドル/円相場の上値が極めて重いことを示唆していると想定しています。
【参考記事】
●日銀会合で黒田総裁は「出口」をどう語る?何をしても上がらないドル/円は売り継続で(1月22日、西原宏一&大橋ひろこ)
加えて、ムニューシン米財務長官の「米ドル安歓迎という失言=本音?」コメント。
日米金利差の拡大が、米ドル/円の上昇を誘引するというマーケットの見方とは裏腹に、米ドル/円は一時、107円台ミドルまで反落しています。
米ドル/円は、引き続き105円への下落の過程に。

(出所:Bloomberg)
トランプ政権は、「税制改革」から「通商問題」に焦点を移行。
それに伴って、上値がさらに重くなってきた米ドル/円の行方に注目です。
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