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2246兆円分のビットコインを持つ超大富豪が
出現!? 21億BTCをなぜ、ゼロ円で買えた?

2018年02月21日(水)21:03公開 (2018年02月21日(水)21:03更新)
ザイFX!編集部

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■ビットコインに2150兆円規模の売り注文!?

【速報】20億BTC(時価約2154兆円)の売り板がZAIFに出現!!!!!!

 2018年2月16日(金)にtwitterへ投稿された衝撃的なコメントと、目を疑うような1枚のキャプチャ画像が、ネットの一部で大きな話題になっています。

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 投稿した「灯篭 Blockchain かもしれない(@touroukawaii)」さん(以下、灯篭さん)は、フォロワー数が2200を超える、仮想通貨民の間ではちょっと知られた存在。投稿された画像を見ると確かに、仮想通貨取引所「Zaif(ザイフ)」の売買注文画面と思われるビットコイン/円の取引板の中に、20億ビットコイン(BTC)を107万6975円で売る指値注文が出現しています。

 ビットコインの発行上限は2100万BTCと決まっていて、現在の総発行数量は約1700万BTC、日本円に換算しても20兆円に届かないはず…。それなのに、流通量の120倍近く、時価総額約2150兆円のビットコインが売り指値注文として表示されています! なにコレ?

 さらに、灯篭さんは続報として、Zaifが実施している仮想通貨の取引高に応じて報酬額がもらえるキャンペーンの集計結果の中で、「メンメン」さんというニックネームで取引しているユーザーが1億BTCの売買をして、ランキング1位になっているという報告と、そのキャプチャ画像も投稿したのです…。

 灯篭さんの最初の投稿から数分後には、20億BTCの売り指値注文が取引板から忽然と姿を消したという書き込みや、キャンペーンの集計結果ページがしばらく閲覧できなくなったあと、復旧したと思ったらメンメンさんがランキングからいなくなっていた、という投稿も…。そして、何事もなかったかのように、取引は続いていたようです。

■時価総額2246兆円!!! 仮想通貨民に超絶大富豪!?

 この数時間後、今度はyoutubeに「麺屋銀次」という人物が投稿した、もの凄いタイトルの動画がネット上で拡散され、次第に多くの仮想通貨ユーザーの注目を集めるようになりました。

 2月21日(水)時点で視聴回数が22万回を超えた、その動画タイトルは、

「俺の仮想通貨時価総額2246兆になった」

 そう、この人物こそが、20億BTCの売り指値注文を出し、売買高1億BTCで一時的にZaifのランキング1位になった、メンメンさんなのです!

 メンメンさんは、取引口座に時価総額が2246兆3805億円と反映されている取引画面の画像も、動画の中でしっかり紹介しています。

 さらに、のちに公開した別の動画では、ビットコインの保有数が21億BTCと表示された画像も…。

 時価総額が2246兆円! これは日本の2018年国家予算の約23倍、世界一の大富豪、Amazon創業者ジェフ・ベゾス氏の資産総額の200倍以上! 昨年(2017年)は、仮想通貨取引で「億り人」や「自由億」になった人がかなりいたと聞きますが、まったく比較にもならない金額! なんですか、コレは?

■ゼロ円だったから買ってみたら本当に買えちゃった!?

 現実離れしすぎた数字で、記者にはなかなかスゴさが伝わってこなかったのですが、メンメンさんの口座がなぜこんなことになったのか? どうして、流通量を遥かに凌ぐビットコインを保有しているのか?

 あまりにも疑問だらけですが、メンメンさんの投稿した動画を何本か視聴してみると、大まかな経緯としては、以下のような感じらしいのです。

(1)Zaifで取引していたら画面がおかしくなり、トップページに表示された簡単決済(簡単売買のことだと思われる)のビットコイン/円の販売価格が買いも売りもゼロ円になっていた。売買画面でもゼロ円と表示され、モナコインも同じようになっていた。

(2)何かのバグだと思い、絶対に通らないと思って試しにビットコインを買ってみたら、本当にゼロ円で買えた。そのまま3分ほど購入画面を押しまくったら、最終的に21億BTCが購入できてしまい、2246兆円を超える時価総額が口座に反映された。

(3)その時に取引されていたレートから、少し離れた107万6975円に20億BTCの売り指値を置いてみたら、板画面に反映された。怖くなったのですぐに取り消して、Zaifに状況をメールで報告。

(4)しばらくすると口座が凍結されていた。Zaifからの返答はなし。

(5)数時間後にログインできるようになったが、ゼロ円で買いまくったビットコインだけでなく、口座に預けていた資産も忽然と姿を消し、時価総額と仮想通貨の保有数がゼロになっていた。

(6)さらに数時間後、再び口座が凍結され、そこからはまったくログインできなくなる。この間、Zaifに何度も問い合わせのメールを送っているが、一向に返事はなく、どうしていいのかわからない…

 ということらしいのです。この動画を撮影している時は、すでに口座が再凍結されていて、動画で紹介していた時価総額2246兆円超えや21億BTCを保有している状態の取引画面の画像は、メンメンさんが証拠としてキャプチャしておいたものだということ。

 普段、メンメンさんは飼い猫の動画や、好きなお酒を飲みながら、世間で報じられているニュースに対して感じたことをドアップで語るYouTuberなのですが、一連の出来事を受け、もしも何か良からぬことに巻き込まれてしまった時の証拠になればと、動画を投稿したようです。

■問題のあったこの日、ZaifのテレビCMが始まっていた!

 ところで、問題が生じた2月16日(金)は、女優の剛力彩芽さんを起用したZaifのテレビCM、「ビットコインするならZaif ~ハピネス篇~」の全国放映が始まった日だったのです!

 記者も頻繁に目撃したので、すでにCMをご覧になった方も多いのではないでしょうか。

ビットフライヤー成海璃子さんDMM Bitcoinローラさんコインチェック出川哲朗さんなど、仮想通貨取引所のCMには、多くの芸能人が出演しています(いました)。

 ネットでは、CMを観て仮想通貨取引へ参入してきたユーザーを、口座開設した取引所ごとに「成海組」「ローラ組」「出川組」などと分類して盛り上がるといった現象が起こっているのですが、その中でも、コインチェックから仮想通貨MEM(ネム)が不正流出したことで、皮肉にもコインチェックで最近取引し始めた「出川組」と呼ばれる人たちが大きな注目を集めたのは、つい先日のことでした。

【参考記事】
コインチェック事件は全額返金で一転解決!? 消えた580億円分の仮想通貨NEMどうなる?

コインチェックがいまだにMEMの不正送金に係る補償の支払いについて詳細を発表していないこともあり、ZaifがテレビCMの放映を始めたことに関しては、ネット上で賛否両論あるようです。

 剛力さんのタレント生命を勝手に心配したり、新たに誕生する「剛力組」の行く末を案じる声が挙がる一方、Zaifは金融庁から登録を受けている会社が運営しているから大丈夫! といった書き込みもあるなど、さまざまな意見が交わされています。

【金融庁登録に関する参考記事】
資本金わずか1000万円。金融庁登録がある仮想通貨交換業者は100%安全なのか?

 しかし、Zaifは大丈夫! といった擁護的な声をあざ笑うかのように、テレビCMの放映開始日に起こった、このちょっと信じられない事件。Zaifの公式サイトのトップページ画像が、剛力さんのものに切り替わったタイミングで発生したという指摘もあったのですが、いったい、何が原因だったのでしょうか…?

Zaifの公式サイト
Zaifの公式サイト

■メンメンさんは売買契約が成立していると主張!

 話を戻します。最初は何かのバグだと思い、絶対に通らないと思って試しにビットコインを買ってみたら買えちゃったというメンメンさんですが、その後も定期的にアップされた動画を追っていくと、実際に購入できて一度は口座に反映されたのだから、「売買契約は成立している」というスタンスへ強く傾いていきます

 メンメンさんのおもな主張は、以下のとおり。

●ゼロ円だろうと買ったら口座にきちんと反映された。21億BTCも流通しているはずはないが、買えたということは在庫があったとみなされる。
●売買が成立していなければ、売買高を競うキャンペーンには反映されないはず。
●転売のための売り指値注文が出せたということは、自分が21億BTCを持っていたということになる。
●したがって、自分の売買契約は成立していたと考えられる。

 そして、Zaifに向けて返事がほしいと、何度も何度も言っています。

 後日投稿された動画では、詳しい日時は言っていないものの、しばらくしてから口座にログインできるようになったことを自分で確認。ゼロ円で買った21億BTCの取引は完全になかったことになったまま、それ以外は普通に取引ができるようになっていたとも語っています。

■ようやくメールが送られてきたけど…

 メンメンさんが普通に取引できるようになって数日後の2月20日(火)14時45分。Zaifのサポートセンターからようやく、「アカウントのロックを解除しました。今後ともよろしくお願いします」といった感じで、テンプレ臭がプンプンする、かなり簡素なメールが送られてきたとのこと。しかし、そのメールでは、ゼロ円で購入した件や口座が凍結されたことに関して問い合わせたことには、まったく触れられていなかったようなのです…。

 Zaif側がだんまりを決め込んでいたため、ネットではさまざまな憶測が飛び交い、Zaifを非難する声や、逆にメンメンさんが良からぬことをしたんじゃないかといった、メンメンさんに対する中傷的な意見も書き込まれたりしていました。

 メンメンさんの動画だけで起こった出来事を判断するのは一方的だと思います。

 そのことをお断りした上で、動画を見た印象を言えば、記者も正直、売買契約の成立を主張するメンメンさんに対して、「それは難しいんじゃ…」と思っていました。ただ、その一方で、当事者のメンメンさんに向けてはもちろん、ある程度騒ぎになっている一連の出来事に対して何も語らないZaifの姿勢に、「なんで?」という気持ちと、不誠実なのでは…といった感情が芽生えていったこともたしかでした。

 ところが、Zaifがようやく動いたのです。メンメンさんに…

 ところが、Zaifがようやく動いたのです。

 メンメンさんにアカウントロックの解除を知らせるメールを送った数時間後の2月20日(火)19時10分、公式サイト上に「16日に発生した異常値の表示に関するお詫びとご報告」というタイトルのお知らせが掲載されたのです。

Zaifが発表したお知らせの一部
Zaifがリリースしたお知らせの一部

 そこに書かれていた内容を要約すると、

●2018年2月16日(金)の17時40分ごろから58分ごろにかけて、「簡単売買」においてゼロ円でも売買できてしまう状態が発生し、7名のユーザーがゼロ円で仮想通貨を購入してしまった。

●ゼロ円で仮想通貨を購入したユーザーの一部が取引所で売り注文を出したため、ビットコイン/円の板情報に異常な値が表示された。

●「簡単売買」の価格計算システムに不具合が生じたことが原因。

●不具合に対しては、発生中から即時対応を開始して修正を実施。以降、正常に稼働している。16日の現物出来高ランキングも修正済み。

●システムの異常によるものなので、ゼロ円で購入された売買は訂正扱いとし、残高データも修正を行った。

 ということ。

 結局、Zaif側の不具合で、一連の問題が発生してしまったということでした。メンメンさんがZaifのシステムに、何か良からぬことをしたわけではなく、他にもゼロ円で仮想通貨を購入したユーザーがいたというのです。

 そして、メンメンさんが主張していた、21億BTCの保有と資産2246兆3805億円の売買契約は、不具合によって生じたものなので無効、ということになったのです。

 そもそも、Zaifの利用規約の中には、

「当社は、システムの異常による本サービスにおける本サービスで取り扱う仮想通貨に係る約定を取り消すことができます。その際、当社は、当該取消その他本サービスに関連して本会員が被った損害につき、賠償する責任を一切負わないものとします」

 と、異常値で取引された売買は認めず、賠償もしないと明記されています。

 まあ、そうなりますよね…。

 Zaifにはそれなりのユーザーがいるのに、記者が調べた限りではネット上に「Zaifでビットコインとモナコインがゼロ円で買える!」みたいな書き込みは見当たらなかったし、ゼロ円表示が大騒ぎになるわけでもなく、ゼロ円で購入したユーザー数が7人だったというのが、ちょっと少ないように感じたりと、腑に落ちない面はいくつかあるのですが…。

 でも、これで話題自体が次第に沈静化して、しばらくしたら「ちょっとした珍事件だったね~」みたいな感じになるんだろうな、と思ったのです。

 しかし、もしかしたらこの問題、もう少しだけ尾を引く可能性があるかもしれません…。

■まだ揉めている!? サービス改善のキッカケになれば…

 実はZaifのお知らせの中には、「ゼロ円で仮想通貨を購入した7名のユーザーのうち、6名に関しては対応が済んでいるが、1名については継続対応中といった現状報告が、併せて表記されているのです。

 もしかして、メンメンさんが売買契約の成立を主張して、Zaifとめちゃめちゃ揉めているんじゃ…、そんな憶測が記者の頭をよぎったのですが、Zaifがお知らせをリリースしたあとにメンメンさんが公開した動画のタイトルはズバリ、

「Zaifザイフから0円で買った対象者7人に連絡あったんですか?連絡私は貰ってないんですが‥」

 メンメンさんには前述したアカウントロック解除のお知らせが送られたきり、この件に関しては何も連絡がないようなのです…。

 継続対応中のユーザーっていうのは自分のこと? だとしたら、対応もなにも、連絡がないんですけど…。他にゼロ円で買ったユーザーには連絡があったの? と、かなり戸惑っている様子。

 この前に投稿された動画では、今回の件に関するZaifの対応の悪さを批判していました。そして、大手のメディアから取材依頼がきていて、依頼を受けようかどうしようか、かなり悩んでいると言っていました。ザイFX!も、メンメンさんへ取材を依頼していますが、まだ返答はない状態です。

 もし、メンメンさんがザイFX!、もしくは他の取材に応じてくれて、それをキッカケに今回の件がもっと広く世間に知れ渡るようになったとしたら、21億BTCを手に入れることはどう考えても無理そうですが、Zaifのユーザーに対する誠実とは言い難い対応などが注目されて、Zaifが何かしらの対応に迫られる、といった結末もありえるのでしょうか…?

 Zaifは仮想通貨交換業者として金融庁に登録された、テックビューロ株式会社が運営する仮想通貨取引所です。システム面でもそれなりに厳しい審査を受けてきたはず。

【金融庁登録に関する参考記事】
資本金わずか1000万円。金融庁登録がある仮想通貨交換業者は100%安全なのか?

 金融庁のウェブサイトを見ても、今のところは今回の件に関するお知らせなどの公表はありません。コインチェック事件のように、多数のユーザーが金銭的な被害を受けたわけでもありませんし、金融庁が特にアレコレ言う必要もないということなのでしょうか?

 Zaifの言う「継続対応中」のユーザーがメンメンさんのことであれば、このあとは「メンメンさん VS Zaif」ということになり、他のユーザーの関心も徐々に薄くなっていくかもしれません。

 ですが、記者は今回の一件が、システム面や仮想通貨取引の安全性、サポート体勢の改善など、Zaifが良いサービスを提供することにつながる、キッカケになってくれることを願ってやみません。そして、メンメンさんが投稿する動画にも、しばらく注目しておきたいと思います。

(※当記事は、2018年2月21日(水)までに得られた情報をもとに作成したものです)

(ザイFX!編集部・堀之内智)

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