■主要クロス円の大逆転は米ドル全体安の終焉を意味する
主要クロス円における変動レンジを下方修正する必要があれば、それは当然米ドル/円の下落とリンクしているが、ここで、もう1つのポイントを忘れてはいけない。
それはほかならぬ、クロス円における円高の加速は、実は米ドル/円のみではなく、対米ドルでの外貨の頭打ち、また、反落をもって実現されたわけだから、ユーロ/円をはじめ、主要クロス円の大逆転は米ドル全体のおける米ドル安の終焉を意味している、ということだ。
つまるところ、「ユーロバブル」の崩壊がすでに始まったのであれば、今年(2018年)2月高値までユーロ/円が円安のトレンドを牽引してきたのと同様に、今度は一転してユーロ/円の大逆転が、ユーロ高の終焉、また、ユーロ安の幕開けを示唆しているとみる。
ここからクロス円における円高の進行があれば、それは単純に円高の視点のみでなく、外貨安の側面でトレンドをフォローしなければならないだろう。
ゆえに、米ドル/円を除き、米ドル全体(ドルインデックス)の切り返しが強ければ強いほど、クロス円の下落変動は強く、また、さらに下値余地を拡大するだろう。
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そして、クロス円を経由した円高圧力が、米ドル/円の頭を抑え込むから、仮に米ドル/円が大幅に続落しないとしても、しばらくはせいぜい安値圏での保ち合いに留まり、浮上しにくいだろうと推測される。
さらに、仮に何らかの材料でドルインデックスが急騰してくれば、外貨安→円高→米ドル/円の急落といった連鎖的な反応をもたらす可能性もあるから、米国株が再び不安定な値動きを見せている目下は、一層警戒しておきたい。
■ユーロ/円の大逆転はユーロ/米ドルの大逆転を暗示
ユーロ/米ドルはドルインデックスの対極なので、ドルインデックスの底打ち、また、反騰があるということは、必然的にユーロ/米ドルの頭打ち、また、反落を意味するものである。
ユーロ/米ドルの2月陰線引けは、2月16日(金)の本コラムにて提示したように、メインレジスタンスラインの確認、また証左となった結果なので、ここからは続伸するよりも、反落してくる公算が大きいだろう。
【参考記事】
●過大評価されるユーロと過小評価される円、是正する道はユーロ/円の大逆転のみ!(2018年2月16日、陳満咲杜)
(出所:FXブロードネット)
前述のような、「何らかの材料をもって米ドルが大きく反騰」といった事態は、ファンダメンタルズ上の材料よりも相場の内部構造から探ったほうがわかりやすいかと思う。
筆者が繰り返し指摘してきたように、ユーロが過大評価されてきた分、また猫も杓子もユーロ高の継続に賭けている分(※)、いったん上昇が止まると、今度は逆転、すなわちロング筋の投げ売りが発生しやすいので、要注意だ。
(※執筆者注:ユーロロングポジションの積み上げは史上最大であり、直近の統計まで大した減少がみられない)
この意味では、仮に2月の陰線引けが「ユーロバブルの崩壊」を示唆する初歩的なサインであれば、下落はむしろこれからであろう。ユーロ/円の大逆転はユーロ/米ドルの大逆転を暗示するサインでもあることを強調しておきたい。
■米ドル全体についてはあまり悲観しすぎない方がよい
米ドル高の理由が見つからないといった論調も多いが、前述のような見方をするなら、今年(2018年)は対円を除き、米ドル全体についてはあまり悲観しすぎない方がよいのではないだろうか。
とはいえ、2017年年初からほぼ一貫して下落してきたドルインデックスの値動きから考えると、ここからV字型反騰を演じる、といった性急なシナリオも描きにくい。
ゆえに、米ドル/円は引き続き安値圏での保ち合いに留まり、また、場合によっては103~104円台の下値トライもあり得るものの、一気に100円の大台にトライといった過激な値動きにはなりにくいのではないかと思う。
要するに、米ドル全体の切り返しが徐々に継続される場合、それはかえって米ドル/円の「底割れ」に寄与するはずだ。このあたりの話はまた次回。市況はいかに。
(13:00執筆)
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