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西原宏一の「ヘッジファンドの思惑」

Facebook株急落で市場に不透明感…。
株安・円高継続で、ドル/円は100円の過程

2018年03月22日(木)18:02公開 (2018年03月22日(木)18:02更新)
西原宏一

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■個人情報の不正利用問題でFacebook株が急落

 海外出張から戻ってきました。引き続き、よろしくお願いします。

 今週(3月19日~)、マーケットの話題をさらったのが、Facebook株の急落とケンブリッジ・アナリティカ

 今週(3月19日~)のFacebook株は、急落しました。

Facebook株 日足
Facebook株 日足

(出所:Bloomberg)

 その背景が、個人情報の不正利用問題。

 その中心にいるのが、英国に本社を置く政策コンサルティング会社、ケンブリッジ・アナリティカ。

 同社が、Facebook上の個人情報を自らの政策アドバイスに活用していたとされる問題で、マーケットは、一時騒然となりました。

写真はFacebookのマーク・ザッカーバーグCEO。Facebook上の個人情報が不正利用されていた問題でマーケットは一時騒然となった (C)Bloomberg/Getty Images

写真はFacebookのマーク・ザッカーバーグCEO。Facebook上の個人情報が不正利用されていた問題で、マーケットは一時騒然となり、Facebook株は急落した (C)Bloomberg/Getty Images

 この件は、BBCが下記のとおり、報道しています。

不正疑惑、心理操作、データ悪用などを含む驚くべき物語が、国際的な激しい反応を引き起こしている。

テクノロジーの巨人Facebook社と、データ分析を専門とするケンブリッジ・アナリティカ社は、個人データの収集と使用、そしてそれらが2016年の米大統領選や英国の欧州連合(EU)脱退に関する国民投票の結果に影響したかどうかをめぐる激論の中心にいる。

両社はいかなる不正も否定している。

出所:BBC

 さらに、BBCは、今回の問題がFacebookの規約に違反しているのかについても触れています。

当時、データはFacebookの仕組みを使って収集されていたし、他の多くの開発者も利用していた。ただ、データを第三者に共有することは開発者にも認められていなかった。

もう1つの主要な論点は、性格診断クイズを直接回答した人であっても、それが潜在的にドナルド・トランプ氏の選挙陣営に共有されることは分からなかっただろうことだ。

Facebookは、ルール違反があったことを認知したら、アプリを消去し、情報が削除されたことの保障を要求すると述べている。

ケンブリッジ・アナリティカ社は、データを使ったことはないし、収集したデータはFacebook社から消去しろと言われたときに消去したと主張している。

Facebook社と英国のデータ保護を管轄する情報コミッショナー事務局(ICO)はともに、データが適切に使用不能となっているかを確認したいとしている。

出所:BBC

 ここでの注目は、

(1) ケンブリッジ・アナリティカ社が、ハッキングしたわけでもFacebook社が情報を漏洩したわけでもないこと

(2) Facebook上で通常やり取りされているデータが、規則を超えて活用されたということ

■ケンブリッジ・アナリティカ疑惑の真偽は不明だが…

 加えて、記事にもあるように、ケンブリッジ・アナリティカ社が、ドナルド・トランプ氏の米大統領選勝利を助けたとされており、問題を複雑化しています。

16年の米大統領選でトランプ陣営を支えた手法への疑念はくすぶる。チャンネル4は20日、ニックス氏が共和党候補だったトランプ氏と「何度も会った」と話す場面などを追加で放送。

おとり取材の記者に「全ての調査、データ収集、分析、標的の絞り込み、デジタルとテレビキャンペーンを行った」と述べ、勝利に重大な役割を果たしたと誇示していた。

新たに放送された映像の中で、CA幹部はトランプ氏と争った民主党のヒラリー・クリントン候補を「いんちきヒラリー」と嘲るキャンペーンを同社が主導したと打ち明けている。ソーシャルメディアの工作で身元がばれないような偽装や、証拠が残らない特殊なメールシステムなどに言及する場面もあった。実際に使われたかは不明だが、疑惑は深まっている。

出所:日経新聞

 そして、こうしたことが、Brexit(英国のEU離脱)をめぐる国民投票時においても行われていたのではないか? と言われています。

 このケンブリッジ・アナリティカ疑惑が、真実なのかどうなのかはわかりませんが、こうした報道を受けての(自分を含め)一般的な印象は、「なるほど、これで腑に落ちた」といったところ。

 なぜなら、ほとんどの人が2016年のBrexitとトランプの当選を想定しておらず、なぜ、このようなことが立て続けに起こるのか釈然としていなかったわけです。

 それが、このケンブリッジ・アナリティカの報道を聞くと、妙に納得してしまいます。

■ザッカーバーグCEOは個人データ保護の強化を発表

 ただ、このマーケティングは印象操作であり、やり過ぎでは? という意見は増えていますが、こうした情報には、冷静に対処したいところ。

 確かに、このマーケティングはマス(すべての人)に対して行われているわけではなく、テーラーメードでの巧妙なものとなっています。そもそも、テレビのCMなども印象操作の要素は否定できず、マーケティングには、そういう側面があるのです。

 この件に関して、Facebookのマーク・ザッカーバーグCEOは、利用者の個人データが不正に第三者のデータ分析会社に渡った問題で、「過ちを犯した」としたうえで、個人データの保護に向けた対策を強化すると発表しています。

 しかし、この問題は、Facebookのみならず、Facebookなどの広告を主体としたビジネスモデル全体が変化を求められていくことにつながりかねず、その影響の大きさを考えると、問題は長期化しそう…。

■マーケットに不透明感残り、米ドル/円は100円への過程…

 マーケットを見ると、リスクアセットである株は、こうした不透明さを嫌うため、上値を重たくしています。

NYダウ 日足
NYダウ 日足

(出所:Bloomberg)

 また、これは、日経平均と米ドル/円にとってもネガティブ材料となります。

 結果、「株安・円高」という見方は、変わりません。

 米ドル/円は、2月16日(金)に105.55円に到達。このコラムでのターゲットである105円台に到達して、ほぼ1カ月以上、調整相場に終始しています。

【参考記事】
米ドル/円はターゲットの105円に急接近!米長期金利上昇、株安継続なら100円も!?(2月15日、西原宏一)

 105.00円の巨大なバリアオプションが、米ドル/円の下落を1カ月以上止めている展開となっていますが、株価が不安定なこともあり、米ドル/円は戻しも極めて限定的。

早晩105.00円が決壊するのではないか、と想定しています。

【参考記事】
輸入関税に反対してきたコーン氏が辞任! ドル/円は上値重く、105円決壊なら100円へ(3月8日、西原宏一)

米ドル/円 日足
米ドル/円 日足

(出所:Bloomberg)

 引き続き、100円への過程にある米ドル/円の行方に注目です。


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