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陳満咲杜の「マーケットをズバリ裏読み」

トランプ氏の言動は乱心ではなく計算ずく!?
変な指導者でなければ中露に対抗できない!

2018年04月13日(金)17:53公開 (2018年04月13日(金)17:53更新)
陳満咲杜

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■常軌を逸した指導者でなければ中露に対抗できない

 が、ここが肝心なところであるが、トランプ氏のような強烈な人格を持つ(要するに常識からすれば変な)指導者でいなければ、中露に対抗できなくなる恐れが大きいと思われる。

 全体主義の勝利と言われる中国の勃興もあって、中国、ロシア、北朝鮮やシリア、イランなどの「対抗勢力」、すなわち狡猾かつ冷徹な戦略をもつ全体主義国に、米国の通常の対応や交渉はもはや通用しなくなっているが、トランプ氏のような「変な人格だからこそ読めない」相手は、全体主義国の指導者に一目置かれ、また、恐れられている。

 ここがトランプ氏という「前代未聞」の米大統領の持ち味で、また、本領を発揮できるポイントだと思う。

トランプ氏は前代未聞の米大統領

「変な人格で相手にとって読みにくい」というところが、トランプ米大統領の持ち味であり、本領を発揮できるポイントでもある (C) Chip Somodevilla

 実際、メンツのために口では強い反撃を行った中国は、事実上折れ、習近平国家主席も自ら「輸入拡大」や「知的財産権の保護」を宣言しなければならなかった。

 そして、「ロシアなき世界はいらない」と核戦争を連想させ、西側を恫喝するプーチン氏は、シリアから自国軍艦を離港させ、米軍事攻撃を回避しようとあわてた。

 北朝鮮の金将軍にしても、シリアの独裁者にしても、トランプ氏ほど読みにくく、また、厄介な相手はいないだろう。気短でわがままなトランプ氏の振る舞いは、まるで全体主義国の独裁者のようだからこそ、本当の独裁者たちを困惑させ、また、脅かす存在になっている。

 就任1週間でTPP離脱、そして、米国抜きでTPPが成立したところでの米国のTPP復帰志向は、「殿ご乱心」よりも謀略の1つとみたほうが無難だ

 同盟国といえども、「米国第一」と掲げるトランプ氏に手加減など期待しない方が無難だ。ルールを無視するまでやる米大統領は同盟国にとって迷惑的な存在に違いないが、こういった存在なしでは中露など全体主義国家にもはや対応できなくなることを悟れば、トランプ氏のような人物が米大統領に選ばれること自体が「時が人を選んだ」と悟れるだろう。

■トランプ氏に翻弄されての値動きも「ホンモノ」である

 長々と政治評論のような文章を書いて失礼したが、言いたいことは以下の一文に集約されるかと思う。

 つまり、確かに最近の市況はトランプ氏のツイートに翻弄されているが、トランプ氏は時代に選ばれた人物である以上、翻弄されている市況自体が相場の一部であり、また、市場の内部構造を示しているから、軽視できない。

 「軽視する」という言葉には2つの意味がある。

 1つは、トランプ氏の言葉に翻弄される市場の値動きが偽りだと勘違いすること。もう1つは、目先は翻弄されているが、落ち着いてから市場を観察すれば間に合うという考え方だ。

 前述のように、翻弄されても市場の一部、また、トランプ氏の謀略で動かされる市場の現在の値動きは一層大事である。我々は少なくとも以下の視点をもって相場をていねいにフォローしてくべきであろう。

 まず、米ドル全体(ドルインデックス)が底打ちできるかどうか、次に、米ドル/円が底打ちしたかどうか、最後に主要クロス円(米ドル以外の通貨と円との通貨ペア)のトレンドが継続されるかどうか

 結論から申し上げると、筆者は米ドルと米ドル/円はすでに底打ちしたか、底打ちに近いと思い、主要クロス円は大きな保ち合いのレンジに入り、これから変動率を拡大するのではないかとみる。

ドルインデックス 4時間足
ドルインデックス 4時間足

(出所:Bloomberg)

世界の通貨VS円 日足
世界の通貨VS円 日足

(リアルタイムチャートはこちら → FXチャート&レート:世界の通貨VS円 日足

 詳細はまた次回に譲る。市況はいかに。

 (PM2:00執筆)

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