■米国株も米長期金利も高値圏での保ち合い継続か
為替市場のこれからの動向に関しては、米国株次第、また、米長期金利次第といったところだが、米国株も米長期金利もおおむね高値圏での保ち合いを維持できるかと思う。
米長期金利は3%に乗せたとはいえ、これからガンガン上値を拡大できるとは思わないから、米国株も第一四半期の調整があったからこそ落ち着いた値動きを継続するのではないかとみる。昨年(2017年)のような高値を追う余裕がなくなったとはいえ、米国株がベアトレンドへ転換するというのも時期尚早であろう。
あとは米中貿易戦争や北朝鮮問題、そして、「アベグジット」など政治問題が引き続きリスク要素として警戒されるが、本日(4月27日)南北首脳会談が開催されるように、緩和ムードが広がりつつある。
本当のところ、米中貿易戦争の方がむしろ激化(中国通信機器大手ZTEに対する米制裁など)しているようにみえるが、なぜか市場は問題視していないようで、米ドル/円の上昇、そして、109円台の大台乗せがみられるように、もっぱらリスクオンの反応パターンを見せている。
このような反応パターンは、一見筋が通らないと思われるが、実はトランプ政権の剛腕を市場が評価していることが示唆されているかとみる。このあたりの話は、詳細に説明したいので、次回のコラム(5月2日の予定)にいったん譲り、まずはマーケットの話を優先したい。
■アベグジットがあっても米ドル/円は104円台を下回らない?
前回のコラムで指摘していたように、米ドル/円の底割れリスクは後退していたはずだが、109円の節目に乗せたことで、目先一段と後退したと言える。
【参考記事】
●このままなら民主主義は全体主義に敗北の運命!? ドルは既に底打ったか底打ちが近い
(リアルタイムチャートはこちら → FXチャート&レート:米ドル/円 日足)
アベグジット、すなわち安倍内閣の退陣があっても、104円台より低い下値をトライすることのハードルは高まりつつある。
一方、米ドル全面高という表現で冒頭にて記したように、米ドル/円の反騰はあくまで米ドル全体の反騰の一部と見なし、ここからの「本筋」を忘れはならない。
■ユーロはこれから一人負けに?
本筋はやはり米ドルの対極として位置づけられるユーロの動向だろう。ユーロ/米ドルはすでに3月安値を割り込み、2月高値をもって昨年(2017年)年初を起点とした大型切り返しのトップアウトを示唆しているから、ここからはユーロ安の進行、または加速を覚悟しておきたい。
(リアルタイムチャートはこちら → FXチャート&レート:ユーロ/米ドル 日足)
何しろ、本コラムが繰り返し指摘してきたように、量的緩和策の修正に一歩進んだとはいえ、ユーロは円と同じくゼロ金利の通貨だ。
同じゼロ金利なのに、円はIMM(国際通貨先物市場)において一貫して売り超の状況が続き、そして3月後半まで厳しい米ドル/円の下落(すなわち円高)にさらされた結果、つい最近円の売り超の状況が解消されたばかりである。
対照的に、ユーロは一貫して買い超の状況を続け、つい最近まで記録を更新していたほどユーロの買いポジションは圧倒的に積み上げられていた。だから、いったん反転すると、「隠れた負け組」がかなり多い分、これから米ドル高の受け皿になろう。
換言すれば、ユーロ/米ドルはこれから下落する余地が大きく、また、ユーロの下落を通じて米ドル高が継続すると、米ドル高が「ホンモノ」であることが証左される。
ユーロの下落は、対米ドルのみでなく、対円でも対英ポンドでも、また、対豪ドルでさえも鮮明化していく可能性が大きい。ユーロの「一人負け」の局面が来てもおかしくなかろう。
(リアルタイムチャートはこちら → FXチャート&レート:ユーロVS世界の通貨 日足)
このあたりの認識も大事なので、また次回にて詳説したい。市況はいかに。
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