■順繰りに弱気相場が到来する「ローリング・ベア」
今回のリスクオフマーケットでいつもの反応と違うのは米ドル/円が底堅いこと。
過去のコラムでご紹介させていただいたように、豪州と米国の10年債利回りスプレッドと豪ドル/米ドルの相関性、そして上海総合指数の続落から、豪ドル/円を中心にじわじわとクロス円(米ドル以外の通貨と円との通貨ペア)は軟調に推移しています。
【参考記事】
●17年間も続いたサポートを割れる寸前! 豪ドルはなぜヤバい?米中貿易戦争が影響?(6月21日、西原宏一)
今週(7月2日~)に入ってからは日経平均も続落しているため、通常のマーケットであれば、米ドル/円も続落する傾向があるのですが、現在も110円台ミドルを保っています。
(出所:Bloomberg)
これは、前回のコラムでご紹介させていただいた、「ローリング・ベア」マーケットが続いているのではないか?と想定しています。
【参考記事】
●2018年前半の為替相場を振り返ろう! 「ローリング・ベア」で弱気相場が継続する?(6月28日、西原宏一)
ここで、ローリング・ベア相場を確認します。
通常、リスクオフ相場というのは「株安、債券高、商品安、資源国通貨安、米ドル高、円高、スイスフラン高」というピースがすべて揃い下落が加速します。
ただ、今回のマーケットは、NYダウが続落してもナスダック総合指数が反発する局面があったり、日経平均が急落しても米ドル/円があまり下げないなどといったように、前述のプロダクツがいっせいに下落するわけではなく、順繰りに弱気相場が到来しているところに特徴があります。
日経平均や豪ドル/円が下げているにもかかわらず、今週(7月2日~)の米ドル/円は111円台をトライしている局面もあったため、今回の米ドル/円は株安に反応せず、「株安・円安」になるのでは?という意見も出始めていました。
しかし、マーケットが一巡すると、111円台を回復するわけでもなく、米ドル/円は110円台前半に反落しています。
(出所:Bloomerg)
結果、今回の相場はいろんな市場が一気に崩れるわけではなく、株や為替などで順繰りに弱気相場が来る、ローリング・ベア相場が続くのではないか?と想定しています。
■豪ドル/円を中心としたクロス円の下落を警戒
加えて、気になるのは日本株の信用残高がかなり積み上がっていること。
今年(2018年)の日本株の高値は1月下旬でした。そこから信用取引の期日である6カ月が経過すると、7月下旬ということになります。
言い換えれば、この間の信用買残はほぼ損失を被っていることになるため、今月(7月)の日本株の上値はかなり限定的になるのではないでしょうか?
(出所;Bloomberg)
日本株の下落余地が拡大すれば、豪ドル/円を中心としたクロス円も下落を余儀なくされ、時間をおいて米ドル/円も下落に転じると想定しています。
(リアルタイムチャートはこちら → FXチャート&レート:世界の通貨VS円 日足)
米中貿易摩擦の悪化と、信用残高が積み上がっている日本株の下落。呼応して、豪ドル/円を中心としたクロス円の下落と、それに伴って下値余地が拡大している米ドル/円の動向に注目です。
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