昨日はドル円が再び113円台に乗せてきて、ドルの全面高の流れがかなり明確化してきた。欧州通貨が安いのは国内政治の問題が紛糾しているので仕方のないところ。ファンダメンタルズに沿った動きだ。
ドイツは難民政策で軟化しており、イギリスはハードブレクジットを避ける方向で対処しようとしているからだ。ドル金利の利上げも含めて、ドルしか買うものがないというのが実情であろう。
アメリカの対中、対EUでの貿易戦争が楽観視される中、再びトランプ大統領のトークがマーケットを騒がした。CNBCとのインタビューの中でのことだ。これまでは不思議と触れてこなかった金融マーケットに関することだ。現在のドル高は我慢ができない水準であるとし、またFRBの利上げもやめた方がいいといった意見だ。
為替相場なんかにはもっと早くから切り込めばよかったはずなのに、ようやく核心部分に攻め込んできたと言う感じだ。自分の側のカードとして取っておいたという解釈もありうる。
でも事態の進行を見る限り、たまたまだったのだろう。そもそも貿易問題を解決するのに関税を引き上げると言うのは、自分らに返ってくる害の大きさを考えると割が合わないのである。
ドル高を懸念したといっても、マーケットの反応は限定的だった。確かに瞬間的にドルは他通貨に対して50ポイントもドル安が進んだが、しかしたかだかそれだけであった。
急激にドル円が2円も3円も落ちると言うことはなかった。それがトランプ大統領の深慮からではないはずだと楽観視したい市場の態度なのだろう。また株安にもなったわけだが、その下げ幅もとても小さいものだった。
これで米政権の姿勢がちょっと垣間見えた。いざとなったらドル安政策に転じるかもしれないということ。いつ表明しても、おかしくはないという状況となった。
現時点でトランプ大統領の私的な見解を真に受けて、全精力を傾けてドルショートに振る必要もないだろうが、高くなってきたところを追いかけてドル買いに励むことはしない方がいいだろう。また年初来のドル高値ゾーンでのドルロングのポジションは慎みたいところだ。
なんと言ってもトランプ大統領はアメリカの行政府の長だ。ということは世界の行政長でもある。行政命令というわけでもないが、政治相場になった場合、「政治には逆らうな」という格言もある。中長期的な流れを決定するかもしれないので、念頭においてトレードに臨むべきであろう。
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