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西原宏一・大橋ひろこの「FX&コモディティ(商品) 今週の作戦会議」

トランプ砲連発だが日本は射程に入らず?
日銀会合まで米ドル/円の上値は重そう…

2018年07月23日(月)16:17公開 (2018年07月23日(月)16:17更新)
西原宏一&大橋ひろこ

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■FRB、中国、EUへトランプ砲連発も日本だけは言及せず

今週(7月23日~)は円高で始まっていますね。先週(7月16日~)、113円台に乗せた米ドル/円は、111円を割り込みました

米ドル/円 30分足
米ドル/円 30分足

(出所:Bloomberg)

先週、7月20日(金)の夜にトランプ米大統領がCNBCのインタビューで米利上げを批判し、追撃するようにツイッターでも「中国やEUは自国の通貨と金利を低い水準に操作してきた」と米ドル高を牽制しました。ひとつには、これが大きかったのでしょう。

トランプ大統領は選挙期間中から、中国を為替操作国に認定すると話していましたし、先週(7月16日~)にはムニューシン米財務長官が中国に対して「為替操作を行ったかを非常に注意深く精査していく」と発言しています。


少し先の話になりますが、10月に発表される米財務省の為替報告書で中国が為替操作国に認定されるのかどうか、テーマとなるかもしれないですね。ただ、今回、名指しされたのは中国とEU(欧州連合)だけ。日本が含まれなかったことが不思議ではないですか?

安倍首相とトランプの間で何か話がついているのかもしれませんし、今月(7月)下旬からは、FFR(日米通商協議)が始まります。ここで注文をつけるのかもしれないですね。

【参考記事】
トランプ大統領の通商政策はドル高要因? ドル/円は111.50円メドに押し目買い継続!(7月19日、西原宏一)

■日銀の政策「微調整」で円高へ

日本に対して厳しい態度で臨むようなら円高材料ですね。また、今朝(7月23日)になってからは、日本銀行の金融政策が話題です。


今月(7月)末に開催される金融政策決定会合で、長期金利目標の柔軟化などが議論されるのではと報道されたことがきっかけでした。

円高を見て慌てたのかどうか、日銀は2月以来の指値オペを本日(7月23日)、行なっています。


中国やEUの金融政策への批判を聞いた日銀が、トランプ大統領の意向を忖度して政策を変更するとも思えないですが……。

6月時点で「6月と7月の金融政策決定会合で、物価の動向を集中的に点検」と報道されていましたから、想定通りではありますよね。


トランプ大統領の米ドル高修正発言に加えて、7月30日(月)~31日(火)に開催される日銀会合で政策を微調整する可能性が出てきたことから米ドル/円が下げている、ということですね。

米ドル/円 30分足
米ドル/円 30分足

(出所:Bloomberg)

■「ホルムズ海峡閉鎖」の報道も

米ドル/円は、3月安値から引いた上昇トレンドラインまで下げてきました。どこまで下げると見ていますか?

水準はまだはっきりしませんが、時間で言えば7月31日(火)の日銀会合まで上値は重くなりそうです。


「政策微調整のウワサで売られ、日銀会合通過で買い戻し」という「バイ・ザ・ファクト」が徐々にコンセンサスとなってくるのでしょう。

3月の104円台から引いたフィボナッチの38.2%戻しが109.90円。このあたりが、いったんターゲットとなるかもしれませんね。

米ドル/円 日足
米ドル/円 日足

(出所:Bloomberg)

ただ、足もとでは米ドル/円よりもクロス円(米ドル以外の通貨と円との通貨ペア)の売りに妙味があるのではないでしょうか。

世界の通貨VS円 日足
世界の通貨VS円 日足

(リアルタイムチャートはこちら → FXチャート&レート:世界の通貨VS円 日足

米ドルは、トランプのツイッターの影響が大き過ぎますし、米通商政策は「中国つぶし」が主眼ですから、そうなれば豪ドルの上値は重いのでしょう。

金(ゴールド)も、まだ下げ止まった感じはありませんが、ただ、先週(7月16日~)には「イラン大統領、ホルムズ海峡封鎖を示唆 原油禁輸で米などけん制」との報道が出ています。マーケットへの影響は出ていないようですが、気になるニュースですよね

ホルムズ海峡の動きは気がかりですが、コモディティ(商品)の値動きも重いとなると、豪ドルはやはり上がりにくいのかもしれませんね。

■豪ドル/円のショートを基本戦略に

7月26日(木)には、ECB(欧州中央銀行)理事会が開催されます。テーパリング(※)は年内で終了、利上げは来夏以降と明確になっていますから、今回は無風だと思いますが、念のため、要警戒ですね。


今週(7月23日~)は、ECBよりはむしろ、前日の7月25日(水)に行なわれるユンケル欧州委員長とトランプ大統領の通商問題協議が注目かもしれません

(※編集部注:「テーパリング」とは、量的緩和政策により、進められてきた資産買い取りを徐々に減少し、最終的に購入額をゼロにしていこうとすること)

焦点は自動車関税の行方ですね。ユーロ圏の景気後退が徐々に明らかになりつつあります。ユーロ/円の売りもおもしろいのですが、今週(7月23日~)は、まず、豪ドル/円の売りを中心に考えていきたいと思います。

今週(7月23日~)は、トルコ中銀の政策金利発表も予定されています。


利上げと据え置き、見方は割れているようですから、トルコリラのポジションを持っている人は要注意です。

トルコリラ/円 日足
トルコリラ/円 日足

(出所:Bloomberg)

(構成/ミドルマン・高城泰)

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