■米ドル/円はついにレンジをブレイク!
米ドル/円は1カ月以上、109.20~111.10円の約2円幅という狭いレンジでもみ合いが続いてましたが、7月11日(水)にレンジ上限をブレイクし、一時112.80円まで上昇しました。
(出所:Bloomberg)
これまで米ドル/円は、M&Aなどの対外投資の買いが出ていたこともあり、底堅い展開が続いていました。そこに、トランプ大統領が中国に対して「2000億ドルの追加関税リストの検討に入っている」との報道が出て、リスク回避の動きから、110.76円まで下がりました。
しかし、すぐに報道前の111.20円あたりに戻り、さらに底堅さが出たこともあって、111.40円のレジスタンスや長期の下降トレンドラインもブレイクして、売っていた投機筋のショートカバーから、112.80円まで上昇しました。
【参考記事】
●狭すぎるレンジで膠着していた米ドル/円にまもなくブレイクしそうなサインを発見! (7月10日、バカラ村)
●米ドル/円は今年の高値を目指す展開か! 押し目は確実に買っていく方針で臨みたい(7月12日、今井雅人)
(出所:Bloomberg)
■積極的に買い上げる材料は見当たらないけど…
ここまでの上昇は、ショートカバーによる上昇だと考えており、ここから買い上げるような材料が出たわけではないと考えています。
まだ、M&Aの買いも出てくることが予想され、テクニカル的にも111円台ミドルを越えたことで、当面は上昇方向で考えるべきかと思いますが、米ドル/円を積極的に買い上げるような状況ではないと考えています。
米ドル/円がブレイクしたことで、クロス円(米ドル以外の通貨と円との通貨ペア)も全体的に、円安傾向になっています。
(リアルタイムチャートはこちら → FXチャート&レート:世界の通貨VS円 日足)
■FRB議長の議会証言は材料視されにくそう
本日(7月17日)と明日(7月18日)に、FRB(米連邦準備制度理事会)議長による半期に一度の議会証言があります。
ただ、市場は9月の米利上げを予想しています。さらに、12月も利上げする可能性があり、最近の米国の経済指標は良く、株式市場も下がっていないため、これまでと同様の発言となりそうです。
貿易戦争懸念から、ハト派な発言も出てくるとは思いますが、タカ派な発言も出てくるため、為替市場はあまり動かないように思います。
■自動車関税に関する公聴会に注目!
7月19日(木)~20日(金)には、米国で自動車関税に関する公聴会が開催されます。ここで、日本や欧州の自動車関係者の証言を聞くことになります。
トランプ大統領は先月(6月)、「欧州のすべての自動車に20%の関税」をかけることを示唆しましたが、今月(7月)初めに駐ドイツ米大使からは「米欧間でゼロ関税」の案が出ていました。
これを受けて、ユーロは一時的に上昇しました。
(リアルタイムチャートはこちら → FXチャート&レート:ユーロ/米ドル 4時間足)
現在は、欧州の方が自動車関税が高く、お互いが関税をゼロにすることになれば、トランプ大統領にとっては良い結果を引き出したことになり、さらに金融市場にとっても、リスク選好の動きが期待できます。
■通商交渉は不透明だが、今は円安方向を想定
ただ、このゼロ関税の案の報道以降も、トランプ大統領が自動車関税をかける発言をしていることもあり、まだ自動車関税の行方は不透明な状態です。
欧州だけでなく、日本にも自動車関税をかけることが予想されるため、もしそうなると日経平均が下がり、米ドル/円もそれに連れることになります。
日米通商交渉は今月(7月)末に開催されるため、まだ不透明ですが、今は米ドル/円はブレイクしたところなので、目先は円安の方向で考えるべきかと思います。
【参考記事】
●ドル/円は3年来のレジスタンスに週足雲も突破! 円売り材料多く、押し目買いで臨む(7月16日、西原宏一&大橋ひろこ)
●ドル/円112円突破! 裏切られた個人投資家。次は日経平均、再び「買うなら今でしょ!?」(7月13日、陳満咲杜)
■ユーロ/円は132円台到達まで押し目買いで
ユーロ/円にも円安の動きがあり、上昇が続いています。
上昇が続いていることで、オシレーター系のテクニカル指標では買われ過ぎを示唆し始めていますが、テクニカル的な目先の上値メドとしては、5月29日(火)からの上昇のN計算値、132.37円がターゲットとなります。
(出所:Bloomberg)
また、今年(2018年)の値幅の62%戻しが132.54円になることから、132円台は目先の上値メドとなります。
(出所:Bloomberg)
ユーロ/円は、上値メドに到達するまでは、下がったところは押し目買いで良いのではないかと考えています。
■ユーロ/米ドルはサポート切り上がる
ユーロ/米ドルの方は、1.15ドルが今もサポートされており、7月13日(金)に1.1612ドルで下げ止まったこともあって、サポートが1.16ドルに切り上ってきています。
(出所:Bloomberg)
ユーロ/米ドルは、まだ膠着していますが、相場観は以前から変わらず、1.15-1.20ドルの中での推移を想定していて、すでに1.16~1.20ドルへレンジが切り上がっていることから、買い方向のままで考えています。
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