みなさんは、「仮想通貨マイニング」を知っているだろうか?
マイニングに成功すると報酬が受け取れるとあって、昨年(2017年)は仮想通貨の上昇とともに、パソコンを自作するユーザーなどを中心に盛り上がりを見せていた。
今年(2018年)に入ってからは、仮想通貨相場の下落とともに、マイニングの人気も落ち着いてきているようだが、興味がある、今からでも儲かるならやってみたいという人もいるはず。
そこで今回は、PCパーツの総合代理店・アユートの森田健介氏、米国にある半導体開発メーカーAMDの日本法人、日本AMDの森本竜英氏と佐藤美明氏に、仮想通貨マイニングの始め方、そして、最新事情についてお話をうかがった。


■仮想通貨のマイニングって何?
「マイニング」とは日本語で「採掘」という意味。でも、もちろん、地面を掘って仮想通貨を採掘するわけではない。では、仮想通貨のマイニングとはどういうものなのだろうか?
佐藤氏:仮想通貨のマイニングとは、ブロックチェーンにパソコンのパワーを提供することです。

ブロックチェーンとは、ざっくり言うと、ほとんどの仮想通貨で使われている取引台帳のようなもの。
ブロックチェーンには、取引データが入ったブロックがいくつもあって、それを古い順に番号を振って、チェーン(鎖)でつないでいる。
【参考記事】
●【超初級】 ビットコイン・仮想通貨入門(4)ブロックチェーンって結局、何なの!?
佐藤氏:本来、マイニングは仮想通貨の取引データの検証が目的ですが、初めての人にはなかなかわかりにくい。 そこで「ブロックチェーンにパソコンのパワーを提供する」という表現を使っています。
少し解説を加えると、従来のネットワークでは、中央にサーバーなどの管理者がいて、ネットワーク全体を掌握するしくみが取られている。これを「中央集権型」のネットワークという。

一方、多くの仮想通貨で使われているブロックチェーンには特定の管理者はおらず、ネットワークに参加しているさまざまな人や組織が、ブロックチェーンの維持や管理を担っているので、「非中央集権型」のネットワークと言われている。

ブロックチェーンでは、ネットワークに参加している人がマイニングをすることで取引データが検証され、新しいブロックが生成される。そして、マイニングに成功した見返りとして、報酬を受け取ることができる。
ブロックチェーンを維持、管理している行為がマイニングということなのだ。
【参考記事】
●【超初級】 ビットコイン・仮想通貨入門(5) マイニングとはいったい何をしているのか?
では、マイニングに成功すると、どのくらいの報酬をもらうことができるのだろうか?
仮想通貨の中でもメジャーなビットコインとイーサリアムだと、2018年7月30日(月)現在の報酬は、ビットコインは1ブロックあたり12.5BTC(1BTC=80万円換算で1000万円)、イーサリアムが3ETH(1ETH=5万円換算で15万円)となっている。
■マイニングをすれば誰でも儲かるのか?
マイニングに成功すれば、かなりの金額の報酬が得られるわけだが、マイニングをすれば誰でも簡単に儲けることができるのだろうか?
森田氏:昔ほど利益は出なくなっていますし、マイニングを始めてすぐに利益が出るということはありません。現状だと、マイナスにはギリギリならないかな?というぐらいでしょうか。

今の日本のマイニング環境では、個人でマイニングを始めても、すぐに儲けるのは簡単ではないようだ。その理由として森田氏は「個人では安い電力を使えない」ことを挙げていた。
確かに、マイニングビジネスに参入している企業は、電気料金の安い国や地域にマイニングファームを建設し、そこで24時間、365日、マイニングをし続けていて、コストを抑えながら報酬を得ている例が多い。

写真は中国のBitmain社が運営するマイニング施設内部。マイニングビジネスに参入している多くの企業は、電気料金の安い国や地域にマイニングファームを建設し、そこで24時間、365日、マイニングをし続けている (C)Bloomberg/Getty Images
一方、それらの国と比較して電気料金が高い日本で個人がマイニングをした場合、現状だと、マイニングする環境によって違いはあるが、電気料金を差し引いたときの利益は少ないようだ。
しかし、海外企業の一部には、日本でマイニングを…
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