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初めてでもわかる仮想通貨のマイニング(1)
マイニングをすれば誰でも簡単に儲かるの?

2018年08月29日(水)12:00公開 (2018年08月29日(水)12:00更新)
ザイFX!編集部

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 みなさんは、「仮想通貨マイニング」を知っているだろうか?

 マイニングに成功すると報酬が受け取れるとあって、昨年(2017年)は仮想通貨の上昇とともに、パソコンを自作するユーザーなどを中心に盛り上がりを見せていた。

 今年(2018年)に入ってからは、仮想通貨相場の下落とともに、マイニングの人気も落ち着いてきているようだが、興味がある、今からでも儲かるならやってみたいという人もいるはず。

 そこで今回は、PCパーツの総合代理店・アユートの森田健介氏、米国にある半導体開発メーカーAMDの日本法人、日本AMDの森本竜英氏と佐藤美明氏に、仮想通貨マイニングの始め方、そして、最新事情についてお話をうかがった。

アユート・森田健介氏プロフィール
日本AMD・森本竜英氏、佐藤美明氏プロフィール

■仮想通貨のマイニングって何?

 「マイニング」とは日本語で「採掘」という意味。でも、もちろん、地面を掘って仮想通貨を採掘するわけではない。では、仮想通貨のマイニングとはどういうものなのだろうか?

佐藤氏:仮想通貨のマイニングとは、ブロックチェーンにパソコンのパワーを提供することです。

仮想通貨のマイニングとは、ブロックチェーンにパソコンのパワーを提供することだと話す佐藤氏

 ブロックチェーンとは、ざっくり言うと、ほとんどの仮想通貨で使われている取引台帳のようなもの

 ブロックチェーンには、取引データが入ったブロックがいくつもあって、それを古い順に番号を振って、チェーン(鎖)でつないでいる。

【参考記事】
【超初級】 ビットコイン・仮想通貨入門(4)ブロックチェーンって結局、何なの!?

佐藤氏:本来、マイニングは仮想通貨の取引データの検証が目的ですが、初めての人にはなかなかわかりにくい。 そこで「ブロックチェーンにパソコンのパワーを提供する」という表現を使っています。

 少し解説を加えると、従来のネットワークでは、中央にサーバーなどの管理者がいて、ネットワーク全体を掌握するしくみが取られている。これを「中央集権型」のネットワークという。

中央集権型のネットワーク

 一方、多くの仮想通貨で使われているブロックチェーンには特定の管理者はおらず、ネットワークに参加しているさまざまな人や組織が、ブロックチェーンの維持や管理を担っているので、「非中央集権型」のネットワークと言われている。

「非中央集権型」のネットワーク

 ブロックチェーンでは、ネットワークに参加している人がマイニングをすることで取引データが検証され、新しいブロックが生成される。そして、マイニングに成功した見返りとして、報酬を受け取ることができる。

ブロックチェーンを維持、管理している行為がマイニングということなのだ。

【参考記事】
【超初級】 ビットコイン・仮想通貨入門(5) マイニングとはいったい何をしているのか?

 では、マイニングに成功すると、どのくらいの報酬をもらうことができるのだろうか?

 仮想通貨の中でもメジャーなビットコインとイーサリアムだと、2018年7月30日(月)現在の報酬は、ビットコインは1ブロックあたり12.5BTC(1BTC=80万円換算で1000万円)、イーサリアムが3ETH(1ETH=5万円換算で15万円)となっている。

■マイニングをすれば誰でも儲かるのか?

 マイニングに成功すれば、かなりの金額の報酬が得られるわけだが、マイニングをすれば誰でも簡単に儲けることができるのだろうか?

森田氏:昔ほど利益は出なくなっていますし、マイニングを始めてすぐに利益が出るということはありません。現状だと、マイナスにはギリギリならないかな?というぐらいでしょうか。

今からマイニングを始めても、すぐに利益はでることはないと話す森田氏

 今の日本のマイニング環境では、個人でマイニングを始めても、すぐに儲けるのは簡単ではないようだ。その理由として森田氏は「個人では安い電力を使えない」ことを挙げていた。

 確かに、マイニングビジネスに参入している企業は、電気料金の安い国や地域にマイニングファームを建設し、そこで24時間、365日、マイニングをし続けていて、コストを抑えながら報酬を得ている例が多い。

中国のBitmain社が運営するマイニング施設内部。この施設は内モンゴル自治区にあるという (C)Bloomberg/Getty Images

写真は中国のBitmain社が運営するマイニング施設内部。マイニングビジネスに参入している多くの企業は、電気料金の安い国や地域にマイニングファームを建設し、そこで24時間、365日、マイニングをし続けている (C)Bloomberg/Getty Images

 一方、それらの国と比較して電気料金が高い日本で個人がマイニングをした場合、現状だと、マイニングする環境によって違いはあるが、電気料金を差し引いたときの利益は少ないようだ。

■意外に日本はマイニング向き? 1カ月で340%のリターンも!

 しかし、海外企業の一部には、日本でマイニングを始めようとする動きもあるという。

森本氏:日本の電気料金は高いと言われていますが、日本の電気は質が良く、インバーター(※)といった設備を用意する必要がありません。そして何より、セキュリティにかかるコストが抑えられるということが日本でマイニングをしようとする理由のようです。

(※編集部注:「インバーター」とは、直流を交流に変換する電源回路や装置のこと。機器とコンセントの間にインバーターを挟むことで、品質を保ちながら安定的に電力を供給することができる)

海外企業の一部には、日本でマイニングを始めようとする動きもあると話す森本氏。そのメリットとして日本の電気の質が良いことを挙げている

佐藤氏:海外ではマイニング設備が盗難されるといったことはよく起こるのですが、日本の場合はあまり起こりません。

セキュリティにかかるコストは莫大なので、そういった面で、企業が日本でマイニングすることにメリットがあるのだと思います。

企業が日本でマイニングをする理由について、セキュリティ面にかかるコストを挙げている

 ちなみに、日本でマイニングファームを運営しているところでは、1カ月で340%程度のリターンを出しているところもあるそうだ。

森本氏:これだけのリターンを出すには、マイニングする仮想通貨の選択、ポートフォリオの構成など、かなり細かいチューニングが必要で、1時間おきに設定を変更することもあるそうです。

■マイニングにはどんな種類があるの?

 ここからは、仮想通貨マイニングの種類や方法について見てみよう。

 マイニングには大きく分類して「ソロマイニング」、「プールマイニング」、「クラウドマイニング」の3つがある。

仮想通貨マイニングの種類

 ソロマイニングは、機材などをすべてひとりで揃えてマイニングをする方法

マイニングに成功すると報酬を総取りすることができるが、マイニングに成功しなければ報酬をもらうことはできない。現状、多くの企業が大規模なマイニングファームを運営する中、ビットコインなどのメジャーな仮想通貨で、個人がソロマイニングで報酬を得られる可能性はほとんどないといっていい状況だ。

 次に、プールマイニングは、グループでマイニングを行う方法で、現在、個人がマイニングをする上で、もっともメジャーなものとなっている。

 マイナーはマイニングプールといわれる集団に登録し、各人が所有するパソコンなどのパワーを提供する。そして、マイニングプールは、集まったハッシュパワー(※)を使ってマイニングを行う。

(※編集部注:「ハッシュパワー」とは、マイニングする際、必要な処理能力を表す数字のこと)

 マイニングに成功すると、各人が提供したパソコンのパワーによって貢献度が決まり、報酬が配分されることになる。

 ソロマイニングと違い、プールマイニングはマイニングに成功しても報酬の総取りはできないが、マイニングに成功する確率は高くなるので、報酬を受け取れる回数は増える。

 そしてもうひとつが、クラウドマイニング。

 クラウドマイニングは、マイニングをしている業者や団体などに一定の金額を支払う代わりにマイニングをしてもらい、マイニングに成功した場合、支払った金額に応じて報酬の一部を受け取れる方法。

 つまり、クラウドマイニングでは、自身で機材を揃えてマイニングをする必要はないということだ。

■個人マイナーの主流はGPUマイニングだが、CPUマイニングが適している仮想通貨も

 これら3つのマイニングのうち、自身で機材を揃えてマイニングをするのは、ソロマイニングとプールマイニングの2つ。

 そして、この2つの方法でマイニングをするには、「CPUマイニング」、「GPUマイニング」、「ASICマイニング」といった手法がある。

マイニングとは?

(出所:日本AMD)

佐藤氏:個人でマイニングをする場合、主流なのがGPUマイニング。あと、最近はCPUマイニングも注目されています

 GPU(Graphics Processing Unit・画像像処理装置)とは、パソコンに映像を映し出すためのパーツのこと。一般的には、グラフィックスボード(グラボ)などと呼ばれている。

 本来は画像処理のためだけにあるものだったが、CPUよりも速い演算処理能力を持っているため、マイニングにも使われるようになった。

 ちなみに昨年(2017年)はAMD社のGPUがマイニングブームに火をつけた。あまりの人気から生産が追い付かず、世界中のパソコンショップから商品がなくなるほどだった。

佐藤氏:弊社のGPUがマイニングで有利になったのは、消費電力と比較し、ハッシュパワーが高く、相性が良かったことにありました。

 そして、CPU(Central Processing Unit・中央演算処理装置)マイニングは、パソコンに搭載されているCPUを使ってマイニングを行うというもの。

 GPUやASICによるマイニングが台頭し、一時、CPUを使ったマイニングは衰退したが、一部のCPUで効率的にマイニングできる仮想通貨があるということで人気が再燃し、ここにきて再び注目を集めているという。

 そして最後に、ASICマイニングは、特定用途のために製造されるチップ「ASIC」に、マイニング専用のプログラムを書き込み、それを使ってマイニングをするもの。マイニング専用のASICは計算処理スピードが非常に高速なのが特徴だ。

 仮想通貨の中でもっともメジャーなビットコインのマイニングで報酬を得るには、現状、ASICを搭載したマシンを使うことが必須となっている。

 ちなみに、ASICが搭載されたマシンは個人で購入することもできるが、高性能のものは高額。しかも、特定の仮想通貨のマイニング以外に用いることができないなど、汎用性が低いこともあって、個人で購入してマイニングをしている人は少ないようだ……。

「初めてでもわかる仮想通貨のマイニング(2) 個人マイナーに人気のある仮想通貨って…!?」へつづく)

(特記以外の撮影/小島真也)

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