■「北戴河会議」では習近平への突き上げも?
逆にトランプ米大統領は7月のユンケル欧州委員長との会談で、欧州向けのLNG輸出拡大で合意済み。中国への輸出減少に対する対策はすでに打ってあるわけです。よく練られたシナリオだなという印象ですね。
エネルギーシフトの影響はあるのかもしれないですが、中国頼みだった国は景気の先行きが不安になりますし、シンガポール人などは影響を強く気にしています。
中国では、今週(8月6日~)から「北戴河(ほくたいが)会議」が開催されているようです。共産党首脳や長老が集結し、重要な方針や人事について話し合われる非公式の会議です。
中国国内では習近平国家主席への批判が高まっているようですし、政策転換を求められるかもしれません。なにか情報が漏れてくるようなら要注意ですね。
■ユーロ/円の戻り売りがいいと考える理由とは?
通商政策については、延期が続いていたFFR(日米新通商協議)が8月9日(木)(日本時間10日(金))に開催されます(※)。
(※編集部注:場合により、10日以降も協議が続く可能性がある模様)
そこまで厳しい交渉にはならないだろうと思います。韓国は3月にアメリカとのFTA(自由貿易協定)見直しで合意していますが、その際に結ばされたのが通貨安誘導を禁じる為替条項。
日本に対しては求めてこないだろうと思いますが、マーケットが気にするようだと円高リスクになる可能性もありますね。
マーケットの動きはいかがですか?
気にしている節目はユーロ/米ドルの1.15ドルと、豪ドル/米ドルの0.73ドル。先に割り込むのは0.73ドルかと思っていたのですが、先週(7月30日~)からユーロ/米ドルが下げ始めており、1.15ドルに近づいてきました。
【参考記事】
●日銀の金融緩和政策修正は「地ならし」程度のものに!? 米ドル/円はどう動くのか?(7月30日、西原宏一&大橋ひろこ)

(出所:Bloomberg)
原因のひとつはイタリアかもしれませんね。来年(2019年)度予算をめぐって財政収支悪化への懸念が高まっています。
緊縮派の財務相が辞任に追い込まれる可能性も指摘されており、マーケットではイタリア国債が売り込まれて10年債利回りは一時3.1%を上回っています。

(出所:Bloomberg)
5月にイタリアの金利が急騰してユーロが売り込まれたときも1.15ドルはブレイクできませんでした。もし今回、1.15ドルが決壊すると1年ぶり。下げが大きくなる可能性があります。
それに加えて、米ドル/円は日銀の政策により上値の重い展開が予想されます。そう考えると、今週(8月6日~)はユーロ/円の戻り売りがいいのではないでしょうか。

(出所:Bloomberg)
(構成/ミドルマン・高城泰)
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