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田向宏行
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バカラ村の「FX専業トレーダーの相場観」

日銀が出口政策に向かうには早すぎる!
けれど、米ドル/円は上昇したら売ればいい

2018年07月31日(火)12:18公開 (2018年07月31日(火)12:18更新)
バカラ村

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■米欧の貿易摩擦はひとまず緩和

 先週(7月23日~)は、米欧首脳会談がありました。

 トランプ大統領は、自動車関税をかける可能性も示唆していましたが、EU(欧州連合)側が譲歩し、

●自動車以外の工業製品の関税をゼロへ

●貿易障壁の撤廃を目指す

●大豆の輸入を増加

などで合意し、貿易戦争は一時的に緩和されました。

 これからも、協議が継続されている間は、自動車関税が発動されることもないため、当面は、米国とEU間での貿易摩擦はやわらぎます。

■米GDPへの市場の反応は米ドル安だったが…

 7月27日(金)には、米4-6月期GDP(国内総生産)・速報値の発表がありましたが、前期比年率で+4.1%と、かなり良い数字となりました

米GDPの推移(%・2010年~)
米GDPの推移(%・2010年~)

※2018年4-6月期は速報値。ほかは確報値
※米商務省のデータを基にザイFX!が作成

 発表前は、さらに良い数字が出るとの期待もあったため、発表時の相場の反応は米ドル安となりましたが、この数字を見ると、米国の景気は良いことを表しています

米ドル/円 1時間足
米ドル/円 1時間足

(リアルタイムチャートはこちら → FXチャート&レート:米ドル/円 1時間足

■最大の注目は日銀会合。出口政策は時期尚早!?

 今週(7月30日~)のイベントとしては、本日(31日)、日銀金融政策決定会合の結果公表があります。さらに、8月1日(水)にFOMC(米連邦公開市場委員会)、2日(木)に英MPC(金融政策委員会)、3日(金)には米7月雇用統計の発表があります。

 この中で、市場がもっとも注目しているのは、日銀会合になります。

 日本では、低インフレが続いていますが、長期間の金融緩和の影響で、金融機関の副作用が懸念されており、金融緩和を柔軟化させて、副作用を緩和させるのではないかと言われています。

 すでに、出口政策期待からの円買いも出ているようですが、低インフレが続いている中で、日銀が出口政策に向かうには早すぎるように思います。

【参考記事】
金融政策変更報道は市場反応を探る日銀のリークか!? 材料出尽くしで来週は円売り!(7月27日、陳満咲杜)

消費者物価指数・コアの推移(%・2014年~)
消費者物価指数・コアの推移(%・2014年~)

※2014年4月~2015年3月の数値は消費増税の影響を除いた数値を掲載
※総務省統計局のデータを基にザイFX!が作成

■大事なのは市場に出口だと認識させないこと

 2013年には、バーナンキ元FRB(米連邦準備制度理事会)議長が量的緩和の縮小を示唆して、株価が下落し、テーパータントラム(緩和解除による市場の混乱)が起きました。

 同じように、日銀にとっては非常に難しい局面に来ており、市場参加者が出口だと認識するようなことになれば、日経平均が下がり、米ドル/円も下がることになります。

日経平均 日足
日経平均 日足

(出所:Bloomberg)

米ドル/円 日足
米ドル/円 日足

(出所:Bloomberg)

重要なのは、日銀が市場に出口だと認識させないことだと思います。

 ETF(上場投資信託)の買い入れに関しては、TOPIX(東証株価指数)連動型の購入配分を増やすとの予想もありますが、こちらは、為替市場への影響は軽微だと思います。

【参考記事】
日銀の金融緩和政策修正は「地ならし」程度のものに!? 米ドル/円はどう動くのか?(7月30日、西原宏一&大橋ひろこ)
米ドル/円は当面レンジが継続!? 日銀が大幅な政策変更をしないと考える理由は?(7月27日、今井雅人)

■FOMCや米雇用統計のインパクトは限定的!?

 8月1日(水)のFOMCは、パウエルFRB議長の会見がなく、9月の利上げもほぼ織り込まれていることから、無風通過だと思いますが、GDPが良かったこともあり、声明文で景気見通しが上方修正される可能性はあると思います。

 8月3日(金)の米雇用統計に関しても、あまり影響はないと考えています。

 トランプ大統領は、FRBの利上げに対して懸念を示していましたが、FRBの独立性からも、今後も利上げは継続していくと思います。

 GDPも良かったため、米雇用統計で極端に悪い数字が出ない限り、市場への影響は少ないのではないかと考えています。

■米ドル/円は環境的にも時期的にも上値限定か

前回のコラムでも指摘しましたが、8月の米ドル/円の月足は、直近20年、7割が陰線となっています。

季節性からは、「米ドル/円は下がりやすい」と言えます。

【参考記事】
直近20年、8月のドル/円は確率7割で陰線。ここからは中期的な円高を考える時期(7月24日、バカラ村)

 さらに、8月下旬には、日米通商協議が予定されており、その開催前に米ドル/円が上昇すると、トランプ大統領から米ドル高をけん制する発言が出てくる可能性もあるため、米ドル/円は上昇しにくい環境と時期にあると言えます。

 金利差や景況感からは米ドル買いとなりますが、季節性や日米通商協議前ということや、トランプ大統領のドル高けん制発言の可能性もあり、8月の米ドル/円は、上値の重い展開となりそうです。

 ユーロ/米ドルや豪ドル/米ドルを含めて、もみ合い相場が続いていることもあり、米ドル/円も、まだ下降トレンドにはならないと考えていますが、日米通商協議前で上がることはないと考えています。

ユーロ/米ドル 日足
ユーロ/米ドル 日足

(リアルタイムチャートはこちら → FXチャート&レート:ユーロ/米ドル 日足

豪ドル/米ドル 日足
豪ドル/米ドル 日足

(リアルタイムチャートはこちら → FXチャート&レート:豪ドル/米ドル 日足

 そのため、米ドル/円はテクニカル的にも113円はレジスタンスとなり、上昇すれば売りでいいのではないかと考えています。

米ドル/円 日足
米ドル/円 日足

(出所:Bloomberg)

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