■日銀でバイ・ザ・ファクトの可能性も上値は限定的か
今週(7月30日~)は、31日(火)の日銀会合の結果発表に大注目ですね。
今回の日銀会合で政策を微調整するのではないかとの思惑が高まっています。そのため、先週(7月23日~)は長期金利が上昇し、日銀は先週、23日(月)、27日(金)と2回の指し値オペを行ないました。
月2回でも初めてなのに、今日(7月30日)午後2時には今月(7月)3回目となる指し値オペを行なっています。
「ナメてもらっては困る」という気持ちが日銀にあるのかもしれないですね。
7月31日(火)に発表される日銀会合の結果に注目。金融緩和政策の微調整があるのではないかとの思惑が高まっているが… (C)Bloomberg/Getty Images
事前のコンセンサスとしては、ETFの購入配分を変更し、日経平均型を減らしてTOPIX型を増やすというところ。
今回は、10月の政策変更に向けた「地ならし」程度ではという声も目立ちます。
【参考記事】
●日銀会合で緩和政策の修正はあるのか? 米ドル/円の上値は113~115円で限定的に(7月26日、西原宏一)
小幅の政策変更にとどまるようであれば、為替市場では「バイ・ザ・ファクト」となる可能性もありますね。
そうなったとしても、上値は限定的ではないかと思います。10月なのか、その次なのか、いずれにせよ政策の調整があり、テーパリング(※)が意識されるなら、ヘッジファンドを中心に円買いの「日銀トレード」を仕掛ける動きが強まるのでしょう。
(※編集部注:「テーパリング」とは、量的緩和政策により、進められてきた資産買い取りを徐々に減少し、最終的に購入額をゼロにしていこうとすること)
(リアルタイムチャートはこちら → FXチャート&レート:世界の通貨VS円 日足)
■Facebook、ツイッターの株価が20%急落
7月22日(日)にG20(20カ国・地域財務相・中央銀行総裁会議)があり、その前後にトランプ米大統領の米ドル高牽制発言や、今回の日銀への観測記事が相次いで出てきました。
「米ドル高抑制のための密約があったのでは?」と推測する向きもあるようです。
G20直前の米ドル/円は、113円台の高値水準にありましたから、仕掛けるには悪くないレベルでもありました。
タイミング的に考えると、何か密約的なものがあっても不思議ではありません。
先週(7月23日~)は、米国株市場でも波乱がありました。四半期決算発表をきっかけにして、Facebookとツイッターが20%程度の急落。
ナスダック総合指数で見ると、まだ調整の範囲内ですが、これまで指数をけん引してきたFAANG株(※)が軒並み崩れていますので、今夜(7月30日)出てくるアップルの決算には注目ですね。
(※編集部注:「FAANG」とは、フェイスブック、アマゾン・ドット・コム、アップル、ネットフリックス、グーグルの頭文字。読み方は「ファング」)
(出所:Bloomberg)
(出所:Bloomberg)
Amazonが過去最高益となったため、全体への影響は軽微ですが、Facebookが失った時価総額は13兆円。新興IT系企業は、好調なときもコケるときも規模がケタ違いですね。
FAANG株には陰りが見られるものの、先週(7月23日~)発表されたGDPは4.1%と米国経済は絶好調。トランプは経済成長率を3%台に高めると公約していましたが、実現へと近づいています。
先の話になりますが、より重要なのは10月末に発表される7-9月期のGDP。ここが強い数字だと年率3%台が濃厚となり、有利な形で中間選挙へなだれこんでいくことになります。
■FOMC前日のPCEデフレーターも要注意
日銀会合の翌日(8月1日)には、FOMC(米連邦公開市場委員会)の結果発表もあります。政策変更はない見通しですが、9月、そして12月と利上げができるのかどうか…。
声明文にヒントがあるかもしれませんし、それを占う意味では7月31日(火)に発表されるPCEデフレーターも注目されます。
8月2日(木)にはBOE(イングランド銀行[英国の中央銀行])の金融政策発表もありますが、利上げの織り込みは91%。この数字なら、まず、利上げするのでしょう。
BOEの翌日、8月3日(金)は米雇用統計と今週(7月30日~)はイベントが多いですね。
ただ、やはり重要なのは7月31日(火)の日銀会合ですし、FAANG株を中心とした米国株市場の動向にも要注意ですね。
7月31日(火)にはアップル、8月1日(水)にはテスラの決算が発表されます。
■引き続き、豪ドル/円の戻り売りで臨む
今週(7月30日~)の戦略は、どう考えますか?
米ドル/円は、ここから1円、2円上がることはあっても、113円台で目先の高値をつけたのかなと思います。ここからの下落が深くなるかどうかは、日銀次第なのでしょう。
(出所:Bloomberg)
一方で、米金利が上がっていくのなら米ドルも買われやすく、対ユーロの1.15ドル、対豪ドルの0.73ドルといった節目も、いずれ割っていくイメージです。
(出所:Bloomberg)
(出所:Bloomberg)
足もとではコモディティも弱含みなので、逆相関にある米ドルが強いというのは整合性がありますね。
(出所:Bloomberg)
(出所:Bloomberg)
コモディティが弱いということは豪ドルの下落とも整合性があることになるため、今週(7月30日~)も引き続き、豪ドル/円の戻り売りを中心に考えていきたいと思います。
(出所:Bloomberg)
(構成/ミドルマン・高城泰)
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