■テクニカル的にも米ドル/円上昇のサインが出ていた
こういった説明がマクロ的で大きすぎるなら、ミクロ的なテクニカル上のアプローチの事例を挙げることもできる。最新のレポート(昨日)をもって詳細を見てみよう。本文は以下のとおり。
(出所:FXブロードネット)
米FOMC後ドル/円は一旦軟調、昨日陰線引けをもって7月高値と「ダブル・トップ」のフォーメーションを形成していく可能性が示される。しかし、それはあくまで一時のサインで、同サインの否定(つまり高値更新)をもって前記「ダブル・トップ」の可能性を否定し、更なる上値余地を大幅に拓く蓋然性が大きい。
昨日の陰線がもたらした反落波、このまま継続される場合は昨日の罫線自体を「強気リバーサル」のサインと見なせるが、そうでない場合は「アウトサイド」と見なし、これから高値更新があれば、却って上昇波の加速につながる。換言すれば、上昇途中のサインと見なすか、それとも頭打ちのサインと見なすかによって雲泥の差が出る。
総合的にみると、途中のサインと見なすのが合理的ではないかと思う。GMMAや一目均衡表が示すブル基調の強さのほか、チャート上に記しているように、8月安値を起点とした「逆三尊」の成立や上放れもこれからの高値トライ、また足元なお途中であることを示唆。
その上、プライスアクションのサインを整合的に見なければならないでしょう。前記「三尊底」の上放れに伴い、9月18日(A)罫線や9月20日(B)罫線が示した「強気リバーサル」の連続は典型的な上昇途中サインとして解読でき、事実上の「強気アウトサイド」サインでもあった。ゆえに、高値更新したとの勢いに繋がり、また9月21日罫線が一時示した「スパイクハイ」の疑いも否定したわけで、上昇トレンド自体の継続を示す。ゆえに、その延長線に位置する昨日の罫線、過度解釈すべきではなく、FOMCの通過で一旦陰線引きしたものの、結果的になお途中のサインとして機能していくと推測でき、またこれからの踏み上げを繋がっていく可能性さえ読み取れる。
言ってみれば、昨日の陰線を「ダブル・トップ」の前兆と見なす者はすでにショートを仕掛けたが、これから仕掛けてくるでしょう。この場合はやはりこれからの踏み上げの土台を作ってくるから、新規ショートポジションの増加はトレンド継続させる上不可欠、また有利であることを強調しておきたい。プライスアクションは相場の心理を読み取るツールでもあるから、整合性をもつ判断は重要だと思う。112円台は総じてサポートゾーンと化し、押しも総じて浅い程度に留まるでしょう。
(※執筆者注:プライスアクションの用語や知識に関して筆者の新刊『パターンを覚えるだけで勝率7割超! FXチャートの読み方~欧米投資家が好んで使うプライスアクションの教科書』(クロスメディア・パブリッシング(インプレス))をご参照)
最新のチャートは以下のとおり。比べてみれば、おわかりいただけるだろう。
■米ドル/円は115.65円前後までの上昇もあり得る!?
2018年年初来高値の更新を果たした以上、米ドル/円は2017年11月高値114.72円のブレイクをめざすだろう。その後のターゲットは115.65円前後(※)に定められる。場合によっては、2018年内の高値ターゲットの、さらなる上方シフトも必要だが、目先はまず前述の2つの目標を提示しておきたい。
(※執筆者注:「115.65円前後」とは、2016年12月高値を起点とした全下落幅に対する78.6%反騰の水準)
日経平均の方は、2018年年内に2万5000円の大台打診というのは、もはや保守的なターゲットになっているだろう。むやみに上値ターゲットを提示したくないが、ブル(上昇)トレンドにある以上、上値余地の拡大に注意していただきたい。
味覚の秋、まだ始まったばかりなので、米ドル/円も日経平均も、当面ブルトレンドを継続、また上値を追いやすい環境にある、という基本的な判断は不変だ。
■クロス円の多くは米ドル/円ほどのトレンドを描けないだろう
主要クロス円(米ドル以外の通貨と円との通貨ペア)に関しては、米ドル/円の恩恵を受けながらも、やはりドルインデックスの動向が気になる。
下のチャートに記しているように、8月高値を起点とした調整波は、ジグザグ変動構造が鮮明だったので、先週(2018年9月17日~)安値をもってすでに完成した可能性もある。
(出所:Bloomberg)
仮にそうである場合は、クロス円の多くは保ち合いの状況を保つことはできるが、米ドル/円ほどのトレンドは描けないだろう。
ただし、米ドル/円の高値更新があった以上、ユーロ/円など主要クロス円はベア(下落)トレンドへ復帰するリスクも低下したので、ユーロ/米ドルのベアトレンド復帰とユーロ/円の底打ち可能性は分けて考えたい。
このあたりの解釈はまた次回。市況はいかに。
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