■リスクオンの株高・円安が継続
ここ1週間で、日経平均は堅調に推移し、一時、2万4000円の大台に乗せる動きを見せています。

(出所:Bloomberg)
為替市場でも、全体的に円安傾向が続いています。

(リアルタイムチャートはこちら → FXチャート&レート:世界の通貨VS円 日足)
その背景になるのが、ここのところのリスクオンムードの高まりです。
これに関しては、前回、前々回の当コラムで紹介してきましたが、その流れは依然として、継続しているということです。
【参考記事】
●雲を上抜けた米ドル/円は113円を目指す! 対中関税第3弾発動でも市場はリスクオン?(9月21日、今井雅人)
●トルコ政策金利発表などの不安乗り切れば米ドル/円は「雲」を上抜け、113円が視野に(9月13日、今井雅人)
■米国の利上げは米ドルに有利な材料
足元の環境を、少し整理してみます。
9月25日(火)~26日(水)に、米国ではFOMC(米連邦公開市場委員会)が開催され、市場の予想どおり、政策金利の0.25%引き上げが決定しました。
これで、政策金利であるFF(フェデラル・ファンド)金利の誘導目標は、2.00%~2.25%となりました。

※FF金利誘導目標の上限を掲載
※FRBのデータを基にザイFX!が作成
米国は、先進国で唯一、政策金利の引き上げを継続してきており、他の先進国との金利差は、ますます拡大したことになります。

※日本の政策金利は短期政策金利の値を掲載
※FRB、各国の中央銀行のデータを基にザイFX!が作成
これは、明らかに米ドルにとっては有利な材料です。
■金利差を背景にした米ドル買いはさらに優勢に
そして、同時に公表されたメンバー全員による今後の見通しでは、年内(恐らく12月)にもう1回、そして来年(2019年)にあと3回の利上げを実施することが示唆されています。

(出所:FRB)
また、今回から、現在の金融政策を「緩和的」と呼ぶことをやめました。つまり今後、ますます先進国との金利差は拡大していく可能性が高まったということです。
とくに、日本は当面、利上げが実施される見通しがまったくない国であり、米ドル/円を考えてみると、金利差を背景にした米ドル買いというのは、中期的にはさらに優勢になっていく環境が整ったといえます。
■日米通商交渉の影響は先送りに
2つ目は、日米の通商交渉の行方です。
今週(9月24日~)、安倍総理と茂木経済財政担当大臣が訪米し、米国政府との交渉のテーブルにつきました。
安倍総理は、26日(水)に行われた日米首脳会談後の記者会見で、「TAG(日米物品貿易協定)の交渉開始で合意した」と発言しています。

日米通商交渉では、日本側はTAGの交渉開始で合意したと発表したが、米国側からは違った説明が…。ただ、今後も協議が継続していくのは間違いなさそう。写真は2018年4月の日米首脳会談時のもの (C)Joe Raedle/Getty Images
安倍総理によると、TAGは、これまで日本が結んできた包括的なFTA(自由貿易交渉)とは、まったく異なるとしています。
しかし、米国のライトハイザーUSTR(米通商代表部)代表は、日本とは完全なFTAの締結を目指すと発言しています。
その上で、まず、関税に関する協議を今後、数カ月の間に決着をつけ、その後、第2弾に進むと説明しています。
つまり、日本側の説明と米国側の説明に、ズレがあるわけです。
政治の世界ではよくある、「それぞれの国が自国向けに都合のいいように解釈して発言する」、その典型です。
ただ、どちらの側に立ったとしても、向こう数カ月間は交渉が継続し、結論はその後ということになるため、この問題の金融市場への影響は、先送りされたということです。
当面、この話題は、市場では聞こえなくなってくるかもしれません。
■米ドル/円は押し目買いのチャンス待ち
こうした環境の下で、緩やかなリスクオンの動きが継続しているということでしょう。
米ドル/円に関して言えば、当面の目標であった113円台に、いったん到達しました。

(リアルタイムチャートはこちら → FXチャート&レート:米ドル/円 日足)
ここでは、達成感から利食いの売りが集中するのではないかと考えていましたが、大体、そのような展開となっています。
ただ、一時的に達成感が出ただけであって、大きな方向が変わったわけではありません。中期的にはまだ、米ドル/円は上方向に向いていると考えています。

(出所:Bloomberg)
いったん、ロング(=買い)ポジションを決済した後も、米ドル/円での押し目買いのチャンスを狙っていきたいと思います。
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