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バカラ村の「FX専業トレーダーの相場観」

英ポンド/円の売りが良いと考える理由は?
米利上げ確実でも米ドル買いになりにくい!?

2018年09月25日(火)13:05公開 (2018年09月25日(火)13:05更新)
バカラ村

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■市場のテーマ米通商政策とBrexit交渉に

 現在の市場のテーマは、米国の通商政策と、Brexit(英国のEU離脱)交渉になります。

 先月(8月)下旬ごろから、英ポンドはBrexit交渉の悲観的な材料には反応が鈍く、楽観的な材料には反応が大きく、そのため英ポンドは上昇し、英ポンド/米ドルで1.3297ドルまで上昇しました。

英ポンド/米ドル 日足
英ポンド/米ドル 日足

(リアルタイムチャートはこちら → FXチャート&レート:英ポンド/米ドル 日足

 これは、合意なき離脱(※)の可能性が高まり、先月(8月)上旬までの下げがそれを織り込みにいき、市場のポジションが売りに偏った結果、悲観的な材料には反応しにくくなり、楽観的な材料には反応するようになったためと考えています。

(※編集部注:「合意なき離脱」とは、2年間の交渉で合意に至らず、何の取り決めもないまま、英国がEUを離脱すること)

【参考記事】
EU離脱交渉に揺れているのに英ポンドはなぜ反発しやすい?バカラ村氏の答えは…
日本のBrexit報道は正確ではない!? ソフト・ハード・合意なき離脱の違いとは?(9月12日、松崎美子)

■目先、英ポンドは軟調な展開か…

 ところが、9月21日(金)に、メイ英首相が会見で、Brexit交渉は「袋小路に陥っている」「悪い合意であれば、合意なしの方が良い」と発言したことで、英ポンドは急落。英ポンド/米ドルは一時、1.3054ドルまで下がりました。

英ポンド/米ドル 4時間足
英ポンド/米ドル 4時間足

(リアルタイムチャートはこちら → FXチャート&レート:英ポンド/米ドル 4時間足

 同じような発言は、これまでにもありましたが、今回は英ポンド売りで反応しています。

英ポンドは、これまで反応が鈍かった悲観的な材料に、市場が反応してきていることになります。とすれば、先週(9月17日~)までの上昇で、売りに偏ったものが、かなり解消されたのではないかと考えています。

 ポジションの偏りが無くなってきたのであれば、今後は、悲観的な材料にも楽観的な材料にも反応しやすいのではないかと考えていますが、チャートからは、9月21日(金)の陰線が大きいため、目先、英ポンドは軟調になりやすいのではないかと考えています。

英ポンド/米ドル 日足
英ポンド/米ドル 日足

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■対中関税第3弾発動もリスク回避は緩和

 もう1つの市場のテーマとなっている通商政策の方は、昨日(9月24日)、米国が中国に対して第3弾となる、2000億ドル相当の追加関税を発動しました。

 ただ、当初は25%と言われていた関税率が10%になったことで、リスク回避が緩和され、株式市場は堅調な動きとなっています。

【参考記事】
米ドル/円、112円~113円台では売りか! 対中関税と中国株の動向がカギを握る!?(9月11日、バカラ村)
雲を上抜けた米ドル/円は113円を目指す! 対中関税第3弾発動でも市場はリスクオン?(9月21日、今井雅人)

■今週は日米首脳会談とFOMCに注目!

 今週(9月24日~)の注目イベントは、26日(水)に予定されている日米首脳会談と、FOMC(米連邦公開市場委員会)になります。

 日米首脳会談の内容によっては、米ドル/円やクロス円(米ドル以外の通貨と円との通貨ペア)の行方が、変わることになります。

世界の通貨VS円 日足
世界の通貨VS円 日足

(リアルタイムチャートはこちら → FXチャート&レート:世界の通貨VS円 日足

 米国の最大の貿易戦争相手国である中国への関税率が10%へ低下したこともあり、日本に対して、それほど強い圧力がかかることはないと思いますが、トランプ大統領は何をしてくるのかわからないため、警戒するところではあります。

■クロス円やNYダウはいったん調整!?

 テクニカル的に、ユーロ/円、英ポンド/円、豪ドル/円などは、上昇が続いたことで、主要な高値付近で上値をいったん止められています

ユーロ/円 週足
ユーロ/円 週足

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英ポンド/円 週足
英ポンド/円 週足

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豪ドル/円 日足
豪ドル/円 日足

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 NYダウも、上昇チャネルの上限付近まで上がったこともあって、一時的に調整しても良いような水準にいます。

NYダウ 日足
NYダウ 日足

(出所:Bloomberg)

 さらに、FOMCで利上げが決定されたあとの米ドル/円は、目先の高値を付ける傾向にあることからも、下がりやすいタイミングではないかと考えています。

■米利上げは確実でも米ドル買いにはなりにくい

 今回のFOMCでは、利上げは確実なため、メンバーの金利見通しを示すドットチャートに注目が集まります。

 現在は、FRB(米連邦準備制度理事会)が考える中立金利に向けて、あと4回の利上げが考えられていて、今回と12月、そして来年(2019年)に2回の利上げを行えば、打ち止めとなりますが、ドットチャートで利上げ回数が増えているようであれば、米ドル高へ推移することになります。

2018年6月FOMCで示されたドットチャート
2018年6月FOMCで示されたドットチャート

(出所:FRB)

 ただ、トランプ大統領は、FRBの利上げに不満を持っています。また、貿易戦争懸念もまだあり、今回の対中関税第3弾の関税率が来年(2019年)は25%へ引き上げられる可能性や、今後、第4弾の発動もあり得ることから、利上げ回数の見通しは、増えにくいのではないかと思います。

 とすれば、米ドル買いには、なりにくいのではないかと考えています。

■英ポンド/円の売りが良いと考える理由は?

 米ドル/円が、利上げを行ったFOMC後に上値が重くなりやすいことや、英ポンドが目先、軟調になる可能性から、今週(9月24日~)は、英ポンド/円の売りが良いのではないかと考えています。

【参考記事】
ドル/円は売りを想定した112~113円台へ。でも、売るなら来週以降と考えるワケは?(9月18日、バカラ村)

英ポンド/円 日足
英ポンド/円 日足

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ユーロ/米ドルは、これまで上値メドと考えていた水準付近まで到達したため、いったん調整するのではないかと考えていますが、長期的にはまだ上昇する可能性があると考えていますので、長期では押し目買いのままで考えています

【参考記事】
ベアトラップになったユーロ/米ドルは押し目買いへ! 悪材料織り込んだ英ポンドも買い(8月28日、バカラ村)

ユーロ/米ドル 週足
ユーロ/米ドル 週足

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