■米失業率は48年ぶりの低水準に
先週、10月5日(金)の米雇用統計、NFP(非農業部門雇用者)は予想より悪い数字でしたが、7月、8月分の数字が大幅に上方修正され、失業率はなんと48年ぶりの低水準。これを受けて米10年債利回りも急騰し、2011年以来の水準となる3.24%をつけています。

(出所:Bloomberg)

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しかし、米金利があれだけ鋭角に上がると株価にはマイナス。米国株は下落しましたし、それに連れて米ドル/円も下げました。
これ以上の米金利上昇は基本的に株価にマイナスですし、米国株が下がれば米ドル/円も連れ安しやすいのでしょう。
【参考記事】
●114円台に乗せた米ドル/円だが120円到達には懸念あり! 英ポンド/円は下値警戒!?(10月4日、西原宏一)
気になったのが米小型株のベンチマークとして使われる「ラッセル2000」指数の下落。NYダウやS&P500に先行して動く傾向があり、「炭鉱のカナリア」(有毒ガスなどの発生を察知すると、鳴き声が止むとされる)的な存在だそうです。
このラッセル2000は先週(10月1日~)、2016年から引いたトレンドラインを下抜けしています。アメリカでは10日(水)、11日(木)にはインフレ指標である生産者物価指数、消費者物価指数が発表されます。強い数字になると、米金利上昇が加速し、株価に悪影響を与えるかもしれないので要注意ですね。

(出所:Bloomberg)
■中国の米国債売りとファン・ビンビン失踪事件
国慶節からの休場明けとなる今日(10月8日)、上海株が下落していますね。
中国政府は昨日(10月7日)、預金準備率の引き下げを発表しました。
中国製IT機器に「バックドア」(データを漏洩させるための裏口)が仕込まれているのではとの懸念から先週(10月1日~)、ZTEやレノボ・グループの株価が海外市場で急落しましたから、当局としては株価対策の狙いがあるようです。

(出所:Bloomberg)
「国家隊」(政府系投資家グループ)も買い支えするのでしょうが、中国当局の株価防衛策が効かなくなっていますね。
中国政府は徐々に手元不如意になってきているのかもしれないですね。
話題となった人気女優ファン・ビンビンさんの失踪・脱税事件にしても、うがった見方かもしれませんが、「税金を厳しく取り立てていく」という意向を示しているのかもしれません。
先週(10月1日~)の米金利急騰は中国政府が米国債を大量売却したことも一因だったようですが、これもアメリカに対する恫喝的な意味ではなく、純粋に手元資金を確保したいだけなのかもしれない。
【参考記事】
●114円台に乗せた米ドル/円だが120円到達には懸念あり! 英ポンド/円は下値警戒!?(10月4日、西原宏一)
(次ページでは米中貿易戦争による影響や今後の戦略の話題が…)
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